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2006/7 塾ジャーナルより一部抜粋

日本教育者セミナー 名古屋大会

  2004年4月19日(水)・20日(木) 於 メルパルク名古屋(名古屋市東区)
主催 日本教育者セミナー
 
     

 いま日本経済は戦後最長の「いざなぎ景気」を超す勢いで上昇している。しかし、少子化の影響を受けて競争が激化する教育業界は、依然として厳しい経営環境にある。また好景気の一方で経済格差が拡大。親の収入によって、子どもの教育環境が左右されるという教育の階層化問題も表面化してきている。

 学習塾を中心に、私学・専門学校などの民間教育団体が加盟する日本教育者セミナーは、4月19・20日の2日間にわたり、セミナーを開催。「競争を勝ち抜く経営戦略」をテーマとする講演や、日本の教育を巡る課題についてパネルディスカッションを行い、民間教育が進むべき方向を探った。

 今回のセミナーでは、全部で5つの講演とパネルディスカッションがプログラムされ、全国各地から学習塾関係者ら約80名が参加した。

 第1日目、最初に日本教育者セミナーの岡村寛三郎理事長が「激変の時代にどのような経営戦略が有効か。互いに学びあい意義ある大会としたい」と開会挨拶を述べ、2日間にわたるセミナーの幕をあけた。

 第1講座は「異業種に学ぶ!」。教育業界に劣らず、マーケット人口が減少している酒造業界から、株式会社宮崎本店の宮崎由至代表取締役を講師に迎え、「マーケット人口の減少による熾烈な競争の中で勝ち抜く」と題する講演が行われた。

 株式会社宮崎本店は、弘化3年(1846年)から続く老舗の酒造会社。熾烈な低価格競争を繰り広げる酒造業界にあって、独自の経営戦略と優れた経営手法で業績を伸ばし続けている。

第1講座 異業種に学ぶ! 「マーケット人口の減少による熾烈な競争の中で勝ち抜く」

株式会社宮崎本店 代表取締役 宮崎由至 氏 

異端系を自認

 当社は江戸末期の弘化3年に、現在地の四日市市楠町で創業しました。楠町は昨年に四日市市に編入されましたが、もともとは人口1万1千人の小さな町です。きれいな水に恵まれた地域で、江戸時代には酒造りの店が36軒もありました。しかし今は、当社1社だけが残っています。

 教育業界は少子化で生徒数が減少しているとのことですが、飲酒人口は人口減の二乗倍で減り続けています。なぜなら、少子化で入り口から入る数が少ないだけでなく、高齢化で、続々とマーケットから退場していくからです。

 したがってアルコール業界は、少ないパイを奪い合い、最悪のマーケティングを展開しています。低価格競争を繰り広げ、人々に短期間のうちに安く大量に酒を飲ませようというのです。その結果、いまマーケットに残っている人たちも次の健康診断でひっかかり、リタイアせざるを得なくなります。

 これに対して、私たち地方の酒屋は「良いものを少しずつ長く」をキーワードに、市場から退場者を増やさないマーケティングを目指しています。

 また一方では、海外マーケットに進出するという方法もあります。いま日本酒はアメリカでブームになっていますし、中国では焼酎が売れています。当社は2001年から海外でのOEM生産を開始しました。視点を固定しなければ、方法はいくらでも見つかるのではないでしょうか。

 私どもは「正統派の異端系」を自負しています。つまり、酒造メーカーとしてきちんとした製品やサービスを提供するが、業界の常識には染まらない。

 変化の激しい現代社会では、わずか数年で時代軸が大きく動き、常識にとらわれた主流派は、あっという間に転落していきます。ですから、常に異端であることを心がけ、「人のやらないことをやる」を実践してきました。

 例えば、1999年に業界で初めて品質管理システムの国際規格であるISO9001を取得。翌年には環境マネジメントのISO14001を取得しました。IT化も積極的に推進し、昨年、経済産業省の「IT経営百選」最優秀企業に認定されました。大手企業がやってから真似していては、競争から取り残されてしまいます。

「顧客」とは誰か

 経営には「三つの大事」があります。すなわち、「顧客満足」「社会貢献」「社員満足」です。

 「顧客満足」を高めるには、当然のことですが、「顧客」とは誰かをはっきりさせておく必要があります。というのは、当社の社員73名に「あなたのお客様はだれですか」と尋ねたところ、社員によって「顧客」が異なっていたからです。卸会社を担当している営業マンは「仕入れ担当の部長」と回答し、量販店担当者は「バイヤー」、飲み屋担当者は「飲み屋の親父さん」でした。「これは変だ」ということで、ようやく真のお客様はお酒を飲んでくれるエンドユーザーだと気づきました。

 その結果、クレームが激減しました。当社は年間600万本のお酒や焼酎を製造しています。例えば1年間に、ラベルが汚れているとか、王冠がとれているというようなクレームが100本あったとすると、クレーム率は6万分の1です。しかし、1人のお客様が600万本も買うわけはありません。お客様にとっては、クレーム率は常に1分の1です。顧客が誰であるかがわかり、一人ひとりのお客様が大事だと気づいたことで、会社が変わり始めたのです。

 2番目の「社会貢献」は、当社の企業理念でもあります。今から10年以上前に社員全員で企業理念をつくり、そこで「酒類の製造販売を通じて、社会に貢献できる企業を目指します」と謳っています。

 ところが、2002年に当社が三重県経営品質賞の奨励賞をいただいたときのこと。審査の過程で、審査員が現地調査のため来社しました。そのとき「企業理念を社員全員で共有しているのは素晴らしいですね」と褒めていただきました。しかし続けて「お客様にはどのように広めていますか」と聞かれたのです。想定外の質問でした。正直に「広めていません」と答えると、「理念に共感して購入する消費者も多くいるはず。ぜひ広めてください」とアドバイスされました。

 社員に「お客様に広める良い方法はないか。ただし、費用をかけないで」と相談すると、ある社員が「商品のラベルに印刷すれば、お金をかけずに何百万人にも広められます」とアイデアを出しました。それを聞いて社員たちは「素晴らしい」と拍手喝采です。しかし、私を含めて役員たちは皆青ざめました。なぜなら、ラベルに堂々と印刷できるほど社会貢献していないことに気づいたからです。本気で社会貢献に取り組み始めたのは、そのときからでした。

 また、社員の意識も変わりました。当社の地元の楠町では、毎年春と秋に清掃運動があり、各家庭から1人ずつ、各事業所からは3人ずつ清掃作業に参加しなければなりません。当社も名簿から順番に3人を割り当てていました。しかし、何事も割り当てられるとおもしろくありませんから、まじめに掃除していなかったと思います。

 ところが、企業理念をラベル印刷してから変わりました。昨年は、社員73名のうち50名が自主的に参加。それもフォークリフトやトラックまで持ち出して、大活躍です。町の人たちから感謝され、社員たちも「やってよかった」と満足気でした。

 ところで、一口に「社会貢献」といっても、その内容はボランティアや寄付などさまざまです。当社は社員と話し合い、社会貢献の基本は「雇用の場の確保」と「納税」であるという考えで一致しました。雇用を守り、税金を納めてこそ、社会貢献できる企業であるという考えです。リストラ効果で利益をだしても社会貢献にはつながりません。

競争を勝ち抜くコアコンピタンス

 3番目の「社員満足」をどう実現するかは難しい問題です。私は、社員満足度日本一といわれている会社を訪ね、良い方法を教えてもらいました。社員に「入社してから一番嬉しかったこと」と「一番辛かったこと」を尋ねるのです。「嬉しかったこと」が増えれば、満足度が高くなるというわけです。

 社員にアンケートをとったところ、「嬉しかったこと」は「社員旅行で海外に行けた」とか「賞与が多かった」などさまざまでした。しかし、何人かは似通った答えを書いていました。例えば、ある社員は「電車に乗り合わせたサラリーマンが『宮の雪はうまいな』と話しているのを聞いたとき」。また別の社員は「勤め先を聞かれて『宮崎本店』と答えたら『いい会社に勤めているね』と言われたとき」でした。要するに、当社の製品や当社そのものを高く評価してもらえたときが一番嬉しいというのです。

 一方、「辛かったこと」のほとんどはクレーム。社員にとって、お客様が怒っていることが一番辛いことでした。

 つまり、「社員満足」は「顧客満足」「社会貢献」とつながっているのです。「三つの大事」の根っこはひとつ。企業理念のもと、正しく経営していくことで、初めて実現できるのだと思います。

 ただし、「競争」に勝ち抜くには、コアコンピタンス、つまり独自性や優位性が必要です。

 では、当社のコアコンピタンスは何か。これも社員と議論を重ねました。「鈴鹿川の恵まれた水」という意見もありました。しかしそれでは、江戸時代に36軒もあった酒屋のうち当社だけが残った説明にはなりません。当社がほかと違っていた点は、唯一、創始者から代々、人がやらないことをやってきたこと。「革新性」にほかなりません。「革新性」がなければ、とうの昔に潰れていたでしょう。今後もこのコアコンピタンスを生かしていきたいと考えます。

― 一部抜粋 ―
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