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2006/3 塾ジャーナルより一部抜粋

改革を楽しむために

小松 郁夫(こまつ いくお)
1947年秋田県生まれ。東京教育大学大学院博士課程修了。東京電機大学助教授を経て、1993年10月より国立教育研究所学校経営研究室長に就任。その後、2回にわたって英国バーミンガム大学客員研究員となる。現在は国立教育政策研究所で教育政策・評価研究部長と初等中等教育研究部長(併任)を務める。また、横浜市教育改革会議委員(学校運営部会長)、川崎市教育改革推進協議会(座長)、足立区学校支援委員会(委員長)など、各自治体での教育改革に関与している。〈主な著書〉『学校経営の刷新』(共編 教育開発研究所)、『諸外国の教育改革と教育経営』(共編 玉川大学出版部)、『現代教育行政の構造と課題』(共編 第一法規)など。
 
変化の激しい時代には外界と柔軟に対応し、双方向で成長し、進化することが求められている。このことは個人にも求められるが、組織にも求められている。経験や環境の変化などに対応して、組織自身が新たな知識や技術を獲得し、迅速に行動することが求められている。さらに、組織内外の変化に興味や関心を持ち、思慮深く変化を観察することが重要である。そうすることによって、組織自らが担っている使命を自覚し、適正な価値観を獲得したり、生成することが求められている。そのような組織を「学習する組織Learning Organization」と呼んでいる。「単純、唯一な正解がない」と言われている現代社会にあっては、「何をするか」ではなく、「どう進めるか」が重要になってきている。すなわち、組織内外の要件と不断の対話を重ね、双方向で、ネットワークを活用しながら、自らも発展や進化を目指す組織が成功する組織となる確率が高い。

1.改革には「センスやひらめき」と「スキルやテクニック」の両方が必要

改革は現状への不満や不安が底流に流れている。あるいは、本来の組織目的などから考えて、十分にその機能を果たしていないか、非常に効率が悪く、期待されている成果の水準に到達していないなどの課題が感じられるものである。

そのぼんやりとした不満を見極め、自分が何に不満や疑問などを感じているかを少しずつ整理していかなければならない。その感覚は、教育組織が機能不全を起こしつつあることを感受する鋭敏なセンスやひらめきである。職員に何となく元気がない、子どもたちが活気がない、問題を起こすなど、機能不全を感じさせる予兆のようなものが必ずあるはずだ。そうした状況を感じ取ったときに、責任感あふれる一部の人たちが問題意識を共有し、何かをきっかけに一念発起することから、改革の胎動が始まる。それがやがて組織全体を巻き込み、平常時には不可能であった構造的な改革を成し遂げる動きとなる。

しかし改革はセンスやひらめき、情念だけでは成就しない。効果的に成し遂げるスキルやテクニックが必要である。最適なスキルやテクニックを開発し、それを上手に組み合わせて、リスクを回避し、あるいはリスクを最小限にして、効率的かつ効果的に目指す改革目的を実現するのである。目的、手段、方法、資源(ヒト、モノ、カネ、情報など)を要領よく設計し、時間の管理をしっかり行うことが重要である。どんなに良い改革の発想でも、時間がかかりすぎたり、経費がかさむような手法では、成功した改革とは言えない。

2.改革のためにはイノベーションが必要

そのためには、いろいろな段階で、イノベーション(革新、刷新、改良)が不可欠になる。イノベーションとは、新しいアイデアや方法を開発し、「刷新」、すなわち、「悪い点を取り除いて、すっかり新しくする」ということが重要になる。しかもそのイノベーションを合理的に進める必要がある。闇雲にあれこれ試行して、偶然うまくいった、ということはできるだけ避けたいものである。そのためには、類似の先行事例を徹底的に学習し、改革場面に最適なやり方を創造することが求められる。

確かに、多くの科学的な発見や発明が、試行結果の偶然の所産として創発(それまでの経緯からは予想もできなかった新しい展開が生まれる)することもあるが、最初から奇跡や幸運を期待するのは、やはり間違っている。改革の戦略をしっかりと策定し、その方向性を見定めつつ、戦術や方策を考案することが改革のリーダーに求められる。

3.改革の本質

全国で多くの行政改革に携わり、自らを「改革屋」と自称する、上山信一氏は、その著『だから、改革は成功する』(ランダムハウス講談社)の中で、「改革の本質はこれだ」といって、3点を挙げている。

改革の本質の第一は「改革」と「改善」は違う、ということである。「改善」とは、「既定の、つまり日常の戦略と組織のなかでの努力」のことであり、「改革」は、「これまでの戦略、組織、そして仕事のやり方そのものを否定する作業」のことを指す。

この違いは、仕事の本質を考えてみるとわかりやすい。普通、私たちは仕事をしながら、なにか不都合を実感したり、もっと上手に、あるいはもっと楽に作業ができないかを考えながら、ちょっとずつでも改善を試みていることがある。能力の発達という面でも、経験を積んで仕事に成熟してくると、自然に効率を上げることができるし、時間の短縮も可能になることが多い。しかし、同様な手法では、その質的改善も一定の限界があり、なにかやり方そのもの、手順そのものを見直したい衝動に駆られるであろう。そこに改革という新しいシステムの開発が生まれる素地が誕生する。それまでの手法を否定し、それまでの日常的な仕事ぶりを転換することが宿題となる。おそらくは、改善と改革に携わる当事者のメンタリティもずいぶん異なるに違いない。

改革の本質の第二は、組織の体質そのものを変えるという点にある。最近の改革にかかわるキー・ワードの一つに「持続性、持続的な」という指摘がある。組織論を考察するときに、人間そのものに例えることができるが、例えば健康が優れないことを改善するためには、一時しのぎの特効薬の服用だけでは不十分であり、体質そのものを健康な体に強化する必要がある。改革の成果は持続させ、組織そのものの体質を変化、進化させる必要がある。組織の改革が必要とされた背景には環境が急激に変化し、今までのままでは生き残っていけない状況に遭遇していることが多い。

4.組織を変える七つの診断ツール

上山氏が仕事をしていたマッキンゼー社では、経営診断するときの初歩的なツールの一つに、「七つのS」というのがあるという。企業組織を、英語の頭文字Sで始まる七つの要素に分けて考えるものである。「企業理念Shared Value」、「戦略Strategy」、「組織能力Skill」、「組織構造Structure」、「運営の仕組みSystem」、「人材Staff」、「経営風土Style」である。この七つのSがすべてそろって、同じ方向に向かって動けば、体質が改善され、新しい難局に直面しても、十分に適応可能な組織に進化していると思われる。

5.永遠不滅ではない組織

さて、改革の本質の三点目は、組織の存在そのものを否定することも考えることである。しかしこのことは非常に難しいであろう。特に公的組織の場合は、関係者が自らの組織をまるで永遠不滅の組織であるかのように思いこんでいるし、自らの職や身分も絶対安定したものとして、安心しきっている。組織を存続させる予算も遠い彼方まで継続的に税金で保証され、しばしば自然に右肩上がりで増え続けるに違いないと信じている者さえいる。こうした課題を乗り越えるためには、まずは組織の情報を開くことが肝心である。その上で、民間や第三者の参画を検討し、連携した事業展開も視野に入れる工夫が必要となる。
改革の必要性を不断に確認し、的確で最善のテーマを創出することが基本となる。そして、組織のリーダーをしっかり改革のプログラムに巻き込み、課題解決の内容に即して、組織そのものを柔軟に編成し、動かすことである。公的組織の縦割りや縄張り意識などは、改革を妨げる大きな要因となる。時には大胆に他者の力を借りる決断をしなければならないこともある。

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