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中学・高校受験:学びネット

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2006/1 塾ジャーナルより一部抜粋

子供たちには真の国際力を

小見山 健次
建築家。
群馬県赤城村生まれ。東京電機大学工学部建築学科・阿久井研究室卒。株式会社エムロード環境造形研究所主宰。独立行政法人中小企業基盤整備機構・商店街活性化シニアアドバイザー。主な著書に「1級建築士受験・設計製図の進め方」(彰国社)/「専門学校・専門校の設計」(建築資料研究社)。家づくり大賞グランプリ/バリアフリーデザイン大賞/前橋都市景観賞/他受賞多数。
 

パソコン日記

あわただしく朝食をすませた高校生の次男を最寄り駅まで送ると、家内はおもむろにパソコンの前に座り込む。秋の風が心地よい10月の初め、ミュンヘンへと旅立った長男のブログが開かれる時間である。家内にとっては、お茶をすすりながらのこのわずかな時間が至福の時であるらしい。大学院に進学した彼はしばらく前からホームページを立ち上げていて、飛行機で発つ直前まで携帯電話でブログを更新。乗り換え先の空港からは日本語フォントの入っていないインターネットカフェのパソコンを使ってまで英文で書き込んできた。一日として更新を怠らないその徹底振りは、母にとっても息子を異国に送り出したことを意識させてくれないらしくパソコンを開くことで長男の留学生活を丸ごと追体験する毎日なのである。ブログとはご承知の通りパソコン版の日記である。写真も貼り込め、しかも読んでくれた他人の意見やホームページの案内までもが付いてきたりする。単なる日記のイメージではなくてまさに開かれた最新の情報伝達ツールなのである。送ってほしいと言われて郵送した品物は5日もかかって到着した。それでも早いほうだと驚かれるがインターネット上での意見や会話は電波にのって瞬時に海を超える。葉書や手紙の時代はとうに終わっていると実感せざるを得ない昨今なのである。

世界とかかわる

産業や経済面での海外提携や国際化については、すでに誰もが日々の生活の中で実感している。日頃愛用している家電製品は部品も含めて中国や東南アジア製がほとんどだし、衣類や食品や日用品にしても然り。今さら話題にすべきことなど本当に少ないが、身近なところでは私の職業である建築設計にも似たような話題がある。
住宅や店舗、医院、旅館、公共建築と様々な設計を手がけてはいるがスタッフ5人ばかりで営む田舎の小さなアトリエ事務所である。そんな事務所ではあるが実は1年ほど前から設計図の製作では中国にある建築設計事務所と協同している。設計図の一部をお手伝いしてもらっているのである。残念ながら私個人は英会話もおぼつかないくらいだから今のところ中国語は全く駄目。それでも協力関係が成り立つということは相手が日本語を話し、書けるからに過ぎない。しかし少々大げさかもしれないがこの関係は昨今の国際情勢的に言うと日本にとっては危険な関係ということにもなるらしい。大手企業の技術提携の実態を見れば明らかなように、これまでの日本にとって中国企業は日本の技術を使った製品作りにただ単に豊富で安価な労働力を提供してくれるだけの存在だった。しかしそうした関係の中で高度な技術を身につけた企業はすでに自国の資本で独自に起業するところが増えている。日本への優秀な留学生も目白押しである。中国や東南アジアを安価な労働力の供給源として、いわば利用してきたはずの日本企業にとっては、軒を貸して母屋を取られる勢いとも映る情勢なのだ。

機は熟した

このように国際化の視点はその経済活動による力関係の色眼鏡で見てしまうと単に競争社会が浮き彫りになるばかりである。文化や風土の違いを楽しみ、助け合い、互いに認め合える人間的な関係を築くことこそが国際交流の真の目的のはず。そのために言葉の壁が一番の障害となるわけで、これからの子どもたちには中途半端でなくきっちりと語学を習得してもらい、大いに国際力を高めてもらいたいと真に願う。その意義や目的を大人たちは正確に伝えなければならない義務がある。情けない話だがこんな私でも中学校以来10年は英語を勉強してきたし、大学ではドイツ語も数年に渡って勉強してきたはずがいずれもモノにできなかった。当時の自分の家庭環境も学校環境も海外に目を向けて語学習得を迫るような学習環境としては不十分だったと言い訳するしかないのだが、今や私の息子たちですら家族と共に何度も海外旅行を経験しているし、先日のあるイベントに参加した中学生たちに聞けば実に3人に1人は海外渡航経験者だという。国際化の波は余暇の行楽旅行をも含めて生活にかかわる様々な分野から容赦なく私たちの日常に深く深く関わってきている。すでに機は熟しているというべきだろう。

文化は寛容さで

言葉の習得が手掛かりとはいえ、言葉は相手とのかかわりにとって表現手段の一つでしかないから食習慣や生活感覚の違いなど文化にかかわる違いへの順応は言葉だけで解決できるはずもない。そうしたことは生活習慣として理屈ぬきで受け入れ、慣れるしかない。ましてや異国の友人と親しくするためにはそうすべきなのだと留学生たちも口を揃える。こうした寛容さは人が人を受け入れ、信頼し合うための基本的なスタンスでもあるだろう。寛容さによらない表層的な受け入れは欺瞞や妥協や卑下を伴うばかりで、決してお互いの関係を深めることにはつながらないはずだ。

ところで最近の子どもたちの間には「好きなものだけを食べる症候群」という現象があるらしい。学校給食でも野菜をはじめとした特定の料理がかなりの割合で残され、栄養のバランスが崩れた子どもたちが増えているというのだ。そんな状況を前提に食文化を語るわけにもいかないが、そもそも症候群の原因が家庭環境に起因しているだろうことは明らかである。子どもたちの未来を語る当の大人たちが、彼らの未来に向けた志向にブレーキをかけていることをよくよく認識しておく必要があるだろう。

身を正して向き合う

人とのかかわり方や、人としてのマナーが正しく身についていない大人が多過ぎることはとりわけ問題である。マスコミを賑わす汚れた政治家や企業家たちも然り。建築の世界で社会問題となった耐震強度改ざん事件などもその典型例だ。この事件を期に政府は、建築申請の検査体制をこれまでの性善説的な発想から性悪説的な仕組みに変えると発表した。同じ日本人同士の関係ですら互いを信用し得ない殺伐とした関係に収束しようとしている現実がある。誠意や真心、思いやりの心などは相手の立場で人を捉えることが出来た時に初めて伝わる尊い感覚である。教養も一歩間違えば単なる悪知恵にすりかわってしまうくらいに危うい価値観の上に成り立っている。

学校や塾という学びの場を介して私たち大人は必要な国際感覚を育むための知識やモラルを子どもたちにどうやったら学ばせることが出来るだろうか。競争社会を助長するばかりの誤った国際力ではなくて、協調し理解し合うために必要な豊かで夢のある真の国際力を身につけさせたい。それには私たち大人がまずもって身を正すこと。子どもたちと真剣に向き合うこと。少なくともそれだけは間違いなく必要になるだろう。

 
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