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2005/9 塾ジャーナルより一部抜粋

教育再生に向け、官民一体の厳格で鍛える正統派教育の原点に戻ろう

筒井 勝美(つつい かつみ)
1941年福岡生まれ。九州大学工学部卒業。九州松下電器(株)入社、16年間新製品開発エンジニアとして、工場長として勤務。1979年円満退職。同年、中学校受験専門塾「九州英才学院」設立。その後、高校受験部門を加え「英進館」と改称。現在は、生徒数15,000人を超え、中学入試・高校入試ともに西日本トップの合格実績を誇る塾の館長。著書に『「理数教育」が危ない!』(PHP研究所)『どうする「理数力」崩壊』(PHP研究所、共著)がある。
 
 前号まで様々な角度から見た「ゆとり教育」による学力低下の実態やそれらに起因する問題、教育改革提言を述べてまいりました。今回はそれらを総括して、現代社会が抱えている、過去20年近くに及ぶ教育制度並びに、その風潮に起因した諸問題を検証し、解決策の一端を述べたいと思います。また、取り返しのつかない、世紀の愚策とも言えるゆとり教育を推進してきた重罪人達の失策を指摘し、連載の締めくくりとします。おわりに、1年間にわたる執筆の機会を与えて頂いた塾ジャーナル様と、読んで頂いた読者の皆様に厚く感謝申し上げます。


教育問題に起因する現状の課題と解決策

〔1〕 小・中学・高校生のの不登校と、いじめや暴力、非行の陰湿化

 ゆとり教育への転換以来、児童・生徒のいじめや暴力・不登校を減らすためとして、校則を緩めたり、楽しさ重視の甘い公教育がスタートしました。しかし、その結果は意図していたものとは全く逆で、児童・生徒のいじめや暴力・不登校数は、年々増加傾向にあります(平成14年度からの不登校生のデータ上の減少は、学校に行かなくても不登校生対象の学校や塾に行っている生徒はカウントされなくなったからであり、実質的には上昇を続けている)。

 これらの原因の一例として、家庭での幼少期の躾不足や親や教師のリーダーシップの欠如が挙げられます。子どもを甘やかし、子どもの言う通りになっている大人たち。今の子どもたちは嫌なことがあれば、すぐに逃げ出してしまい、親も教師もそれを容認しています。不登校や中退は人によって様々な事情があるかもしれませんが、ほとんどが嫌なことから逃げ、最初のズル休みに味をしめた子どもたちの甘えも大きいのです。ドイツでは義務教育段階で、30日以上の長期欠席をする場合、医師の診断書が必要で、それを怠れば、親に罰金が科せられます。日本と違い、親に子どもを学校に通わせる「義務」を課しています。この教育への見識の違いが、子どもたちの甘えやわがままを増長させているのです。

 何事も最初が肝心です。子どもは天使ではありません。甘い親、教師の下では、子どもはどこまでもつけあがります。親や教師を敬う子育てをし、強いリーダーシップと強制力を持って、幼少期から社会のルール、マナー、金銭感覚、善悪の区別を厳格にしつけるべきです。また、子どもたちの身の回りの有害図書やビデオの取り締まりに、大人たちはもっと粘り強く勇気を持って取り組む責任があります。さらに、教師も友だち感覚ではなく、上下関係を明確にして生徒と接し、校則違反やいじめ、暴力、非行がわかれば、芽が小さいうちに厳しい処置を取り、大人主導の教育を実践すべきだと思います。つまり、「ゆとり教育」と「その風潮」、“子ども中心主義”の教育が、限度を遥かに超えた自由放任で、怠惰な子どもたちを増産させた反省を顧み、アメリカで近年成功したように、幼児期からの厳しい躾や家庭教育と学校における厳格な義務教育に回帰すべきだと思います。

 社会に出たら、学校より厳しい組織や規則が待っています。未熟な子どもたちを神聖化するのではなく、規律やマナーをきちり身につけさせると同時に、社会に出ても立派にやっていける強い忍耐力やストレスへの免疫力をつけてあげなければなりません。

〔2〕 小・中学・高校・大学生の理数学力低下と全般的な知力・思考力低下の危機

 この問題にはこれまでの連載の中で随時触れてきましたが、とにかく一番の原因は左翼思想の教育学者や日教組主導の「ゆとり教育」と「その風潮」です。また、それらに呼応したのが、教育審議会のメンバーで、夢と机上の空論しか語らず、現場を知らない学者や文化人、名誉職の素人集団を多用し、何の検証もせず、無責任集団にまかせてきたことです。

 ゆとり教育の目的は、授業時間数や学習内容・宿題を減らして増えた自由な時間を子どもたちに与えれば、彼らは伸び伸びと育ち、自由な発想力で、学習意欲や思考力が高まり、教育効果が上がると錯覚していました。しかし、結果は全く逆となりました。基礎知識や学力もなく、社会も知らない子どもたちが何かの勉学や研究に自発的に没頭する動機は皆無に近いのです。増えた自由時間はテレビやゲームの時間にそっくり入れ替わり、教科書内容も授業時間数も減少した現行の学習指導要領の下で学んでいる子どもたちの学力が低下するのは必然です。そればかりか、遊び癖や怠け癖がつき、勉学や将来の勤労意欲の低下(フリーターやニート等)にまで悪影響をもたらすことになったのです。

 “自由にさせれば易きに流れる”子どもの習性を知った現場の見識のある教師やわれわれ実践的な塾人であれば、このような愚策はやりません。現場を知らない学者や文化人の意見に片寄らず、現場と現実を知った者の訴えをもっと採り入れ、「ゆとり教育見直し」を強力且つ早急に実施すべきです。理数教科書内容の充実、授業時間数の増加(総合学習時間は理数教科に振替を)、全国一斉学力テストの長期継続と教師の指導力向上を図り、現場教師たちの手間を煩わせるだけで、効果の薄い「絶対評価制度や総合的学習の時間」の廃止等、現場教師が教材研究や教科指導に専念できる環境作りをおこなわなくてはいけません。

ゆとり教育推進者たちの詭弁に対する反論

 「ゆとり教育」では、集団教育を“管理教育”として、古い教育、個を尊重しない悪い教育と決めつけてきました。“子どもを校則で縛るな!子どもにもっと自由と人権を!”と子ども中心主義の教育を進めてきた結果はどうなったでしょう。これまで述べてきた通り、明らかに失敗です。夢と机上の空論主導の理想主義的教育行政は、未熟な子どもたちを神聖化し、自由にさせれば期待通り社会で立派に活躍できる若者が育ち、教育効果が上がると錯覚していました。

 社会に出ると、会社や組織、規則や人間関係の中で成り立っており、集団や組織などいろいろな環境に順応して生きていかなければなりません。自己主張ばかりせず、時には個を殺し、集団の中で全体の成果と自己の利益を調和させ、全体が伸びた結果、自分も幸せになるという昔風の管理教育のほうが、未熟な小・中学生教育には長所が多いのです。

 また、「ゆとり教育」推進学者たちは管理教育が悪と言うのと同時に、受験学力・ペーパーテストが良くても役に立たない、と声高く言ってきました。しかし、ペーパーテストほど公平に、また正確に本人の実力が出るものはありません。ペーパーテストの答案や点数に、子どもの弱点や長所、教材の良し悪し、教師の指導力、生徒の努力の程度が出るのです。

 つまり、ペーパーテストの結果として表れる点数・学力はすべての教育活動の集大成なのです。例えば、プロ野球に置き換えれば誰でもわかりますが、1点を取ることに全選手が必死になります。もちろん、その1点で勝敗が決まるからですが、その1点は選手のスキル・体力・精神力・監督の采配等、すべての集大成です。なぜ、スポーツだったら善で、勉学なら悪なのでしょうか。

 また、受験学力は学校での学習内容とは別物ではなく、その応用・発展編です。特に難関校の受験学力は基礎学力をしっかり身につけ、多くの応用問題をこなし、高度な思考力がなければ太刀打ちできません。単なる付け焼刃の詰め込みでは合格できず、何も知らない教育学者が言うように、テクニックで合格できるほど決して生易しいものではないのです。しかも、理数学力をはじめ、生きる力を養うための多くの知識を叩き込むには、子どもが嫌がっても強制的に勉強させなければならない時期があります。受験勉強こそ、強制的にでも勉強させる、願ってもない時機なのです。さらに強制的にさせることによって、学力だけでなく、忍耐力やストレスへの免疫力をつけることができます。現代の日本が抱えている青少年に関する多くの問題が「ゆとり教育」による“子ども中心主義”に起因しているのです。一刻も早く家庭も巻き込んだ厳格な義務教育に回帰した真の教育改革をやらなければ、日本の未来はありません。そして、大人たち全員が自分の子や孫のみならず子どもたちを見たら常に、“勉強しているか?頑張っているか?”という“合い言葉”を掛け合う国民運動を展開するなど、日本国民の美徳であった“努力と勤勉”を取り戻したいものです。

 いずれにせよ、これだけ衰退した教育力を立て直すことは容易なことではありません。今こそ、教育再生に向け、公立・私立学校や塾などが協力し合い、官民一体の厳格で鍛える正統派教育の原点に戻るべきだと思います。

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