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2005/7 塾ジャーナルより一部抜粋

技術立国崩壊の危機 連載第5回 筒井 勝美
ゆとり教育からの脱却は学力向上だけでなく
ニートやフリーターの抑止効果も

筒井 勝美(つつい かつみ)
1941年福岡生まれ。九州大学工学部卒業。九州松下電器(株)入社、16年間新製品開発エンジニアとして、工場長として勤務。1979年円満退職。同年、中学校受験専門塾「九州英才学院」設立。その後、高校受験部門を加え「英進館」と改称。現在は、生徒数15,000人を超え、中学入試・高校入試ともに西日本トップの合格実績を誇る塾の館長。著書に『「理数教育」が危ない!』(PHP研究所)『どうする「理数力」崩壊』(PHP研究所、共著)がある。
 

ニートやフリーターが及ぼす社会への影響

 ここ1、2年「ニート(NEET)」という言葉が多く聞かれるようになりましたが、彼らは学校にも行かず、働きもせず、職業訓練もしていない若者です。このようなニートは全国に52万人とも63万人いると言われ、家事手伝い者を含めると85万人にも及びます(図表1)。15歳から34歳の約2.5%を占め、その数は増加の一途をたどっています。同じくフリーターも90年代から急増し、今では400万人を超えるまでになっています。

 ニートやフリーターの増加は労働力人口の低下につながり、国にとっての資源である労働力が減少するのですから、経済成長率が低下する一因となります。前号までの本誌記事でも述べましたが、若者の理数離れにより、日本の科学技術のレベルは世界のほかの国々から追い抜かれようとしていることを考慮すれば、技術立国として成長してきた日本の経済がますます低下していくのは目に見えています。すでに、企業では「2007年問題」として団塊の世代の定年が集中する2007年に技能の伝承など特に製造業において危機意識を感じています(図表2)。

 また、ほかに類を見ない速さで超高齢化社会に突入し、社会保障費が年々増加、国の歳出の約25%までをも占めるようになった日本にとって、少子化の影響による年金問題など、解決すべき問題が山積しています。ニートやフリーターの増加は、本来なら社会保険料を払うはずの若者が生活保護を受ける立場になりかねず、巨額の財政赤字を抱える日本にとって頭の痛い問題です。経済的な自立ができていない彼らが増加することは、いずれ社会の負担、国のお荷物となり、国の衰退の要因ともなります。なぜニートやフリーターは近年急激に増加しているのでしょうか。また、ニートやフリーターを一掃するにはどのような対策を取るべきなのでしょうか。

ニートやフリーターは実社会からの逃避である

 ニートやフリーターの増加理由としてひとつは、不況により、企業の採用人数が減少したことが挙げられます。確かに、高校や大学を卒業しても、定職がなく仕方なくフリーターになるということもあるでしょう。しかし、それ以上に若者の働くことに対する意欲の低下や価値観の変化があるのではないでしょうか。

 実際、ニートの半数の人は就職を希望していますが、残りの半数は働く意欲すらありません。その理由としては、「他人との関係が築けない、周囲の人と交流できない、自分の気持がうまく表現できない、ストレスの原因になっている問題を解決しようとしない、社会の動きについていけない」など、対人関係や協調性に問題があるようです。また、勤務時間や就業規則に縛られたくない、きつい事、責任ある事はしたくない等と、少しでも自分に負担のあることを避けようとする、わがままで自己中心的な一面が前面に出ています。

 また、自分がきつい思いをしてまで働かなくても親が養ってくれるといって、いつまでも親に依存し、自立できない背景もあります。ストレスや苦痛を伴ってまで自分が働かなくても誰か(親)が何とかしてくれる…このような幼稚さや他人への依存心が今の若者に蔓延しているのではないでしょうか。

ゆとり教育は過保護教育、ニートやフリーターの増殖の一因だ

 わが英進館の中途採用の入社試験にフリーターをやってきた若者が時々応募してきます。彼らになぜフリーターをやってきたのかと尋ねますと、ほとんどが共通して、「会社の勤務時間や就業規則に縛られたくなかった。上からとやかく言われたくなかった」と答えます。

 もちろん、そのような習慣がついた若者が厳しい職場環境でやっていけるはずがなく、体よくお断りします。他企業においてもニートやフリーターに対する印象は冷ややかです(図表3)。

 「ゆとり教育」の特色の一つは、子どもたちに対し“自主性を持たせるため、もっと自由に伸び伸びと”など、子ども中心主義の子どもへの安易迎合教育です。しかし、自由や自主性にはおのずから責任や周りとの協調や節度などが必要で、子どもたちに初めからそれらがわかるはずはありません。また、指導する教師側にもそれらの微妙なさじ加減を適切に指導するだけの社会体験や見識を持ち合わせた指導者は限られています。

 その結果、我慢して周囲の環境に合わせたり、人に迷惑をかけないなどの集団規律やマナー、学習習慣など、一番大事な子どもの育ち盛りに毅然とした態度で苦言の一つも言って指導しなければならない教育が後退し、自由放任の教育が長年続いてきました。その上、近年の少子化による過保護体質が重なり、集団になじめないわがままな子たちが増産されました。それがニートやフリーターが増加する大きな要因となったのです。

 子どもたちは、いずれ社会人となり、職業人として、親として、厳しい実社会のなかで自立し、責任を全うしなければなりません。つまり、そのような様々な厳しい社会環境の中でも生き抜いていけるだけの精神力や知力、学力を育ち盛りにつけてやることが教育に携わる者の責務であると思います。そのためには、頭の柔らかい義務教育段階でしつけや精神面、学力面を厳しく鍛えてあげることが必要であり、「ゆとり教育」は、子どもの将来を考えていない目先の事なかれ教育です。

 また、三重県の教育サプライの福士英実社長も力説しておられますが、今の中学生が学んでいる教科書にも問題があります。「職業」に対する学校教育の指導のあり方です。昔の家庭科の教科書では「どんな仕事も個人・国・社会のためにするものであり、有意義なもの」と明言していました。しかし、現行の教科書では企業の長時間労働を「企業中心社会が諸悪の根源」のように、企業などで働く職業人を小馬鹿にした扱いをしています。これでは子どもたちが就業することの意義を感じず、正社員希望者が減少し、若者がフリーターやニートになってしまうのは仕方のないことです。(図表4)。

 社会に出れば、もっと激しい競争が待っています。ゆとり教育は学力低下だけでなく、子どもたちのわがままを助長し、競争心・向上心の低下までも招いてしまったのです。

 また、児童・生徒が皆同じ勉強をし、行動することを勧めてきた昔の学校教育は、個人の意思を尊重しない「管理教育」と批判されましたが、子どもたちは学校という集団生活の中でその環境に順応し、他人に迷惑をかけずに行動することを学んでいました。それが社会に出て、会社や組織の中で働き、良好な人間関係や家庭を築く下地になっていったのです。

 ところが、個性や自由をはきちがえた現在の放任教育が、自己主張ばかりで行動しない、わがままで、実社会になじまないニートやフリーターの増加に深くつながっているのです。今こそ教科書の抜本的見直しなど、昔の堅実な教育の長所を参考にし、日本の将来のため、これまで以上に技術立国としての地位を確固たるものにしなければなりません。 

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