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2004/07 塾ジャーナルより一部抜粋

第49回 受験情報システム 定例セミナー

2004年4月22日(木)/ 於:大阪梅田 阪急グランドビル
16年度の入試を終え、早くも新たな受験生は来年度へ向けて準備を始めている。それは、迎え入れる民間教育関連企業や私立各中学校でも変わりなく、今年度の反省を基に、より良い中学入試のための一歩を踏み出しているところは少なくない。そのためには、少しでも早い前年度入試の情報入手が不可欠となる。
今回、受験情報システム主催で行われた定例セミナーは、16年度の入試情報を公開するとともに、その内容についてプロによる分析が行われるとあって、非常に多くの塾や民間教育関係者が参加し、熱心に耳を傾けていた。
 

第1部 2004年度/関西中学入試を徹底分析する

代表取締役 高橋 伸和氏

■関西地区全体と男子校・女子校・共学校の流れ

 今回、受験情報システムが発表した内容によると、関西地区とその周辺では、中学受験率は京都を除いて軒並みアップしている(京都では立命館宇治の大幅減とともに、中堅女子校・共学校の従来の志願者層が大阪や奈良に流出した)。

  特に大阪では、全体の6年生児童数が79,765名であり、その前年の15年度の79,332名と比べても400名弱の増加であるにもかかわらず、受験者数は16,940名から18,662名。増加率は10%を上回る大きな動きを見せた。同じく和歌山県でも増加率は12%以上。この増加の影響が周辺地域の中学入試にも影響をきたしており、関西地区全体で受験熱はヒートアップしている。日本で最高の中学受験市場を誇る東京を含む首都圏では受験率は14.8%、対して関西では23.6%。東京と大阪のみで比べても、東京21.4%、大阪23.4%という数字が出ている。これを見ても、中学受験は「西高東低」化していることがわかる。

  さて、今年度の入試傾向では、注目されたのがやはり新教育改革におけるゆとり教育の影響である。特に算数では、ある程度のレベルを保とうとする動きがあり、合否のボーダーが算数の成績によるものとされる学校が多かった。ほとんどの中学では受験回数を複数回に設定しており、男・女・共学の分類で見ると、男子校は偏差値50以上を合格範囲としている学校への受験者数が1回目よりも2回目がかなり多く、成績上位校に人気が集中するという「チャレンジ志向」の強い受験となったが、女子校では増加しているものの、全体の率としてはかなり低く、後期日程では一部の特定校に志願者が集中して、残りは共学に流れるという「少数受験共学併用型」の動きを見せた。また、共学では上位校・中堅校・下位校のすべてにおいて「本命進学型志向」の受験者数、男子校ほどではないものの、成績上位校の人気高という結果となった。総合的にも、人気は男子校・共学校で向上、女子校では下降しており、この結果を踏まえた今後の女子各校の動向が注目されるところである。

■勝ち組へ流れた学校 その秘訣とは何か

 各学校個別の視点で今年度受験を見た場合、大阪・兵庫・京都地区のほとんどの学校が統一入試日である1月31日から2月1日の後、4日までの3日間に入試日が集中しており(2月4日以降にも受験は行われているが、これらの中での勝ち組は、上位校の後期日程として広く認知されている伝統校のみ。新規参入校ではニーズがほとんどなく、この時期に大量の受験生を確保するのは困難)、受験者数を大幅に増やした学校と減ってしまった学校の2極に分かれる結果となっている。大阪府下だけでも2000年度から2004年度にかけて入試を行った学校は128校から138校へ、受験回数は延べ244回から延べ312回へ増えるという受験マーケットの肥大化が進んでいる中、この勝ち組・負け組への2極分化は当然と言えよう。では、いかにすれば勝ち組となるのか。各校の受験制度からその一端を見て取ることができる。

  まず、募集回数の増加や後期日程の新設により、受験者数を伸ばす方法がある。この方法で成功した中、特筆すべきは大阪府上宮中学校の2次B日程である。人数確保のための日程ではなく、レベルを保つことを重視、今後の進学実績上昇につないでいくという考えが見られる。また、連続日程を採り入れた学校も多く、明星・帝塚山学院などで好成績を上げている。ただし明星は日程的に最難関の灘と併願できない状況にあり、一部進学塾では両手を挙げて歓迎できないという厳しい意見も見られている。一方、帝塚山学院は小学部もあるため内部進学者に支えられている状況が強い。今後のさらなる改革が期待される。

  入学希望率が極めて高く、周辺入試最難関校のひとつとなったのが西大和学園。今後は大阪のハイレベル私学入学希望者がこちらへ流出することもさらに多くなると予想されるため、大阪府内の各学校からも大きな関心が寄せられている。

  新設コースやコース変更を採り入れたのは上宮太子やプール学院など。ただし、定員割れするのを覚悟でレベルを保ったプール学院とは異なり、上宮太子では依然厳しい状況が続くと予想され、抜本的な学校改革による教育の見直しが求められている。

  また、複数日程を複数回受験するW受験者数が多かったのが関西学院と清風。延べ受験者数は多く、合格率は高かったものの、この方式が続けば今後の動向がいかに動くかを静観する塾も多い。

  聖母女学院は今年度最も多彩な入試改革を行ったとして、受験生だけでなく各教育関連企業や塾などでも話題が高まっている。実績としても京大医学部現役合格などの輝かしい結果を出しているため、来年度に向けて改革後の整理がどのように行われるのかは、依然注目の的である。また、親和も女子校最難関と言われる神戸女学院の併願校として人気が高く、結果最難関校のひとつとなっており、こちらも受験生の注目率は高い。

  さて、これらの受験制度の中で、全く新しい入学試験を行った学校もある。摂陵のS入試や神戸国際のA1・A2選考などが新型ではあるが、これらの中には作文のみを受験科目とし、生徒の考え方や文章能力などで合否を決めるという受験制度が見られた。この場合、進学校を目指すという学校の教育方針と合致した方法であるとは考えにくいため、この方法で入学した生徒が今後どのような実績を出すことができるのかが甚だ疑問であるという声も多い。こちらに関しても今後の再考が行われるべきであろう。

  今回の受験でも様々な入試改革や制度の変更が各学校単位で行われた。来年度は新教育課程で中学年・高学年を過ごしてきた生徒が初めて受験年度を迎える年となる。ゆとりを重んじる教育の中で長い間育ってきた生徒を、各学校がどのような方式で受け入れようとするのか。白熱する中学受験率の高騰の中、各学校の動向に今後も目を離すことができない。

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