バス停最寄り駅から徒歩数分、静かで涼やかな学習環境に恵まれた福岡雙葉中学校・高等学校は、カトリックの教えに基づく豊かな心と礼節や品性を身につけながら、視野を広く持ち、高い学力や志、コミュニケーション能力を鍛えた女性となるような教育が日々続けられている。
これは2008年の創立75周年から始められた『グローバルシティズン』と呼ばれる教育方針。やみくもに難関国公立大学合格だけを目指すのではなく、自分が地球社会の一員という自覚を持ち、行動することができる生徒や、目標に対する志を強く持って学生時代を送ることができる生徒を育成するものだ。この理念に基づいた授業を今回は取材することができた。
見学したのは中学と高校の英語と理科の授業。どの授業も1コマを45分と設定しており、多くの内容が学べるカリキュラムが組まれている。
中学2年の英語では、標準クラスと応用クラスに細分化して授業を行う。1クラスの人数は約15名ほどの少人数制。両方ともに比較級の単元を扱っていたが、基礎の単語やerをつけた比較級の使い方をじっくりと学ぶ標準クラスに対し、応用クラスでは文章例をあげて、どのような場合に比較級が使われるかを実践的に指導。どちらも生徒の中に溶け込むような教師の声が生徒の集中力を高め、質問にも積極的に答える生徒の姿が多く見られた。また、理科を学んでいたのは中学3年。内容は高校課程の前倒し授業の体細胞分裂。分裂の方法や、体細胞分裂は減数分裂とどう異なるのかなど、具体例を挙げた授業を行っており、どの生徒も興味深く教師の話に耳を傾けていた。その指導が終われば、どこまで理解できているかを確認する小テストが行われ、分かっていない部分を生徒自身が認識、弱点克服を行うよう指導が進められる。
一方、高校の理科は1年の物理。力と運動に関する基本公式についての単元を習っている。物理と言うと堅苦しい内容に思えるが、鉛直投げ上げ運動と時間と速度などの基本公式の基礎を、ボールを使った例を使用して解説。自由落下の場合・鉛直投げ上げの場合・鉛直投げ下げの場合というように細分化して指導することで、ほぼ全員の生徒が意味を理解した上で公式を暗記をしたと思われる。英語は高校3年の授業で、大学入試対策のライティングがメイン。応用と標準に分かれて授業を受けており、見学したのは応用クラスの授業で、英作文をライティングしていた。問題としては難しいはずだが、担当教員は「豊かな発想で柔軟な表現を」という指導を行っており、楽しみながら英語文を作成することで、基礎実力をつける授業となっている。
こういった指導の結果は年々増加する難関大学現役合格者数にも表れており、昨年度は卒業生160名中、国公立大学へ40名、早慶上智などをはじめ最難関私立大学へ90名を輩出、中でも医歯薬系学部や大学へは81名を合格させており、グローバルシティズンを取り入れてから、めざましい伸びを見せている。「一部の国内大学の医学部で行われているAO入試は、全国からわずか数名しか合格しない極端に狭き門ですが、そこにも毎年合格する生徒が出ていますね」と語る進路指導部の小園修部長は、多くの生徒を育ててきた教育者だ。 |