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中学・高校受験:学びネット

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岡山理科大学附属中学校・高等学校
(中高6年一貫コース)

 
  中高大の緊密な連携が活きる 少数精鋭の中高一貫校
開校から8年目の若い中高一貫校が、きめ細かい指導と系列大学との連携で好実績を上げている。岡山理科大学附属中学校・高等学校(中高6年一貫コース)の昨春の卒業生は27名ながら、香川大学医学部医学科をはじめ、筑波大、広島大など国公立大に6名、関関同立など難関私大へ延べ33名の合格者を出した。医歯薬系大学へ進学を希望する生徒が多く、切磋琢磨の環境のもと一人ひとりの能力を最大限に伸ばす教育が行われている。具体的な実践を取材した。

校 長: 新倉 正和(工学博士)
住 所: 〒700-0005 岡山県岡山市北区理大町1番1号
電 話: 職員室086-256-8517
事務室086-256-8519
交 通: JR岡山駅東口からスクールバス15分/
JR岡山駅西口から「岡山理科大学行き」乗車、
終点下車/JR津山線「法界院」駅下車徒歩20分
学生数: 中学校  158名
高等学校 (中高一貫コース)55名 (2009.9.1現在)
ホームページ: http://www.kake.ac.jp

 

圧倒的な授業時数と手厚い受験対策

 JR岡山駅東口から専用バスで15分。四季折々の植物が目に鮮やかな半田山の山頂に岡山理科大学附属中学校・高等学校はある。理大町という町名が示す通り、大学と大学院のキャンパスも同じ敷地内にあり、中高大の緊密で効果的な連携を実現させる環境といえる。

 「一人ひとりの能力を最大限に引き出し、伸ばすとともに、自ら学び自ら考える人間を育てる」を教育理念に、同校が中高一貫校として開校したのは2002年。公立志向がいまだ強い地元で、医歯薬系大学を中心に難関大学進学を目指す生徒、保護者に選ばれてきた。

 6年間の一貫教育でまず注目すべきは、圧倒的な授業日数の多さだ。中学での年間授業日数は250日(公立175日)で、うち週3日は7時間授業が実施されている。高校では公立との差はさらに広がり、6年間を通じた授業日数差は459日にのぼる。授業時数の多さは、学習の深度と進度に影響をもたらすことは言うまでもない。中学1〜2年次(ジュニアクラス)に、英、数の習熟度別クラス編成を行うことと十二分な授業時数の確保によって、中学主要教科の学習を中2までに終了させている。

 中3からは高校の先取り学習が進められるが、この段階でPREP(難関大進学)とMEDICAL(医系進学)にクラスが分けられる。両クラスは高1進級時点で文・理それぞれの進路確認の後に再編成されるが、中3でのクラス分けは進路に対する動機づけという意味あいから重要だ。入学時から「医学」など明確な目標をもっている生徒が多いせいか、MEDICALに籍を置く生徒の休み時間の使い方や授業中の集中力には、強い自覚が見られるという。

 具体的な志望大学が決まる高2の終わりまでに、高校主要科目の学習は終了し、高3では演習中心の授業が行われる。7時間目以降は特別強化補習トワイライトセミナー(希望者対象)が用意され、東大、京大、国立大医学部への現役合格をサポートしている。また、毎週土曜には塾講師による受験ノウハウを身に付ける講座も開講し、課外授業を充実させている。

 ユニークな取り組みとしては、イングリッシュ・イマージョン教育が興味深い。外国人教員による英会話授業を15名程度の少人数制で行うほか、芸術系科目(音楽、美術)を英語のみの言語で行っている。

アカデミックな環境が生む
理科への探究心

 同校で学ぶメリットは、新倉正和校長自身が岡山理科大学の教授であることからも察せられるとおり、大学との緊密な連携にある。MEDICALクラスでは、大学の研究施設を利用して医学、薬学、理学の各博士による生命科学の学習や、体験学習によって医学への理解を深めるプログラムが実践されている。こうした大学との連携は、医学を志したり、生命科学の研究者を目指したりする生徒の学習意欲をかきたてている。

 もっと初歩的な段階での、いわば“中大連携”にも活気がみられる。中学の理科では周辺で採集した昆虫や植物の研究を行うが、その授業が生態系研究の第一人者といわれる教授によるものであったり、課外活動として取り組むロボットづくりが工学部教授による指導だったりと、一般では考えられない恵まれた環境がそこにはある。素朴な興味関心から深い探究心が育まれていく様子が想像できるのである。

 取材当日は中学校理科の実験授業で3名の大学生が教諭を手伝う姿が見られた。通常の授業とは違って、実験ではフォローする人手がより安全で実効的な授業を創るため、学生が一役かっているわけだ。また、生徒は希望すれば自習室で大学生による補習を受けることもできる。チューター制と呼ばれる自習支援で、教師とは違い年齢が近い先輩からの補習とあって生徒には好評のようだ。

 新倉校長は「実は岡山理大には教員志望の学生も多く、そうした学生にとってチューターとして中学生の学習を見ることは、学生の側にとっても有意義な良い経験といえるのです」と話す。まさに大学ぐるみの手厚い指導という印象を受けた。

 そんな指導のもと、大きな成果をあげる生徒も現れた。一昨年、高2生グループが、、「落葉分解微生物の機能を利用した環境改善」という研究をすすめ、その考察を日本学生科学コンテストに応募したところ、「読売新聞社賞」を受賞した。こうした研究は高大連携の成果であることはもちろん、中高一貫校だからこそ得られた時間的ゆとりの産物ともいえる。

 また今年、生物系三学会中国四国支部大会が主催した研究発表大会では、植物相互間の生化学的な関係性を研究した「落葉のアレロパシー」を発表した同校のグループが、高校生ポスター発表部門で「最優秀プレゼンテーション賞」を受賞、理科大学附属の強みを発揮した。

 これら生徒の話をするとき、新倉校長にはその生徒の顔が思い浮かぶようで、「プレゼンをした生徒は○○君・・・」などと話す。学校取材をしていて、現場教員ではなく、校長が一人ひとりの生徒を把握していることは珍しい。そこに小規模校ならではの家族的な温かさを見た気がした。

 

 
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