最難関大学を目指す
スーパーセレクトクラス
入試改革より早3年。創設期を1段階とすると、昨年度の専願制入試廃止が2段階目。確実に生徒の成績や学業に対する意識は上昇してきている。そして来年度、3段階目となる改革は、さらにワンランク上のレベルを目指すスーパーセレクトクラスの誕生である。
東京大学を始め、日本の最難関と呼ばれる国公立・私立大学への現役合格を目標としたこのクラスは、学年1クラス・定員20名という小さなキャパシティでハイレベルの学力を持つ生徒を確保。一人ひとりに行き渡った細やかな指導で、生徒を確実に目標達成に導くようカリキュラムが組まれることになっている。
今までは埼玉栄中学というと、あまり受験勉強をしなくても受け入れてくれる学校と言った世間の認識が強かった。が、一昨年の専願廃止と相まって、受験生のレベルアップがさらに強まった現在では、埼玉栄中学入学は難易度がそこそこに高いというのが、大方の見解になってきたようだ。そこにさらにレベルの高いクラスの誕生とあって、塾を含む民間教育関係者や各小学校の関係者からの注目度は非常に高くなっている。
「同校には、同じ佐藤栄学園の姉妹校として、関東では屈指の進学率を誇る栄東中学が名を挙げています。この東中の受験生が併願校として同校のスーパーセレクトクラスを受験すれば、それ以外の生徒を含め、かなりハイレベルな受験結果が得られると思います」
そう語るのは、入試広報センターの本間一行センター長。実は、このクラスが設定される以前、今から約3年前に、埼玉栄高等学校では、αコースという特別選抜のさらに上をいく最上級選抜コースが誕生している。このαコースは確かに特別選抜コースよりも学習時間に割く割合が多いものの、人数が少ないため、選抜コースと合同の授業も多い。その中で、αコース以外のクラスの生徒が、αコースの生徒の成績を抜くという、相互での良い影響が見られた。同じように、中学でもスーパーセレクトクラスを作ることで、同学年内で互いを高め合うことができればいいと、本間センター長は話す。
「もちろん、入り口が違うわけですから、スーパーセレクトと通常のクラスを混ぜることはできません。しかし、通常クラスの生徒がセレクトクラスの成績を抜くことは十分に考えられます。導入以後の生徒の変化が楽しみですね」
現在のクラスで学ぶ生徒ももちろん、後輩に非常にレベルの高い生徒が入ることで刺激を受けると予想される。おそらく、この数年で学校全体の生徒の意識改革が成されることは間違いないだろう。
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モチベーションを高くする
スライド合格の撤廃
スーパーセレクトクラスは、0時間目や7時間目といった非常に多くの授業時間を確保しており、主要教科では高校のαコースを超える授業時間数を確保している。また、SAT(サカエ・アシスタント・タイム)を導入。生徒が志望する大学の卒業教員がその生徒を担当し、さらに専門性を高める授業も行われる予定だ。ただし、勉強ばかりしている頭でっかちな生徒を作りたくないと言う学校側の強い意志から、スーパーセレクトでも他のクラスと同様、クラブ参加を奨励する働きかけはあるという。他のクラスと比べ、0時間授業・7時間授業などの授業時間数が多いため、団体競技こそ無理だが、書道や一部スポーツなどの個人技術を磨く部活なら十分に参加する時間がある。
この文武両道を実現できるスーパーセレクトクラスへの進学を希望するものの、募集人数が20名と聞いて、躊躇する受験生も多いだろう。これに関し、本間センター長はこう語る。
「スーパーセレクトクラス受験では、ボーダーラインを定めていますが、それを超える生徒が20名以上いれば、そのほぼ全員を受け入れるつもりでいます。また、反対にボーダーラインを切ってしまう生徒が過半数だったとしても、そのラインを下げることはありません」。
つまり、来年度のスーパーセレクトクラスでは、クラスが40名になることがあるかも知れないし、まったく誰もいないということもあり得るのである。
また、この受験時に、スーパーセレクトクラスで不合格だったものの、他のクラスでは合格ラインに達していた場合も、合格とは見なさない。あくまでも、その生徒はスーパーセレクトクラスへの入学希望者と認識、もしも違うクラスで入学したければ、第2回、第3回入試を受験してもらうといったシステムになっている。こうして入学した生徒なら、モチベーションが高いために、目覚ましい成長を遂げる場合が多いと予想されてのシステムである。
「それまで1,000名に達しなかった願書が、一昨年に専願を廃止したところ、ハードルが上がりそれを超えてやろうという意志の生徒が増えたためでしょうか、いきなり1,000名を超えました。数こそ東中(4,000超)にかなわないものの、この急激な伸び率は他校には決して負けません。このため、今年は大胆に受験生数目標を1,800名から2,000名程度にまでアップし、学校説明会では、力を入れた説明を進めています。いつかは栄東中に追いつきたいと思います」。
このようにライバル心を燃やしているが、栄東とは対立しているわけではない。埼玉栄中学では、栄東中との初日以外の受験日のバッティングはしないように設定している。また、スーパーセレクト入試では、入試合格後に栄東中学にも合格した生徒に対しては、入学金の25万円をそのまま栄東中学にスライドできるシステムも導入。また、栄東中学説明会のパンフレットに埼玉栄のパンフレットをはさみ、説明会参加者に配布しており、かなりのインパクトを与えている。これは、同じ佐藤栄学園系列として、ともに発展するための策なのである。
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