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中学・高校受験:学びネット

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サレジオ工業高等専門学校

 
  技術力、創造力、チームワークに磨き
企業も認めるプロジェクト型教育
 
ものづくりに求められる高度で専門的な技術力は無論、プロジェクト型教育により生徒の実践力、発想力、バイタリティー、協調性に磨きをかけているのがサレジオ高専である。企業もその意義を認め、各プロジェクトに関わった学生の採用に積極的だ。思いがけずに生まれるアイデアや、挑戦する勇気は人との関係性から生まれる。そのことを体得できる教育を実践しているのがサレジオ高専だ。

校 長: 田中 次生
住 所: 〒194-0215 東京都町田市小山ヶ丘4-6-8
電 話: 042-775-3020(代表)
交 通: 京王相模原線「多摩境」駅下車徒歩8分 JR横浜線、京王相模原線「橋本」駅下車、多摩車庫行き「響きの丘」バス停前
学生数: 811名 (2005.9.1現在)
ホームページ: http://www.salesio-sp.ac.jp

 

今年4月、東京都町田市の新キャンパスで再スタートを切り、サレジオ高業高等専門学校は以前にも増して充実した工業技術教育を実践している。育英高専時代から70年に渡って培ってきたキリスト教精神に基づく倫理観を追及する職業人の育成に、ユニークなプロジェクト型教育を取り入れることで着実に成果を上げている。

ソーラーカーでオーストラリア大陸を縦断する「ワールド・ソーラー・チャレンジWSC」では2001年に環境特別賞を受賞し、2004年の「アテネ文化オリンピック」ではサーキットレース6位、ラリー9位の好成績を挙げた。このほか環境型自動車エコノムーブ(電池自動車)や、ガソリン1リットル、時速25kmで走行距離を競うエコノパワー、全国の高専がロボット技術の知恵を競うロボコン、与えられた課題のコンピュータソフトウェア作品を競うプログラミングコンテストで、学生たちはものづくりへの挑戦を繰り返している。そして、この夏3度目のチャレンジとなった鳥人間コンテストもまた、学生たちの創造力の牽引役を果たすプロジェクトといえる。

設計から飛行までを 支えた鳥人間Net Work

読売テレビ放送主催の「鳥人間コンテスト」に同校が初めて出場を決めたのは3年前。人力飛行機で飛行距離を競うこの大会に、ひとりの生徒が挑戦を名乗り出た。電気工学科教授で応用技術センター副長の依田勝さんは以来、学生とともに毎年、鳥人間コンテストに向けた熱い夏を送ることになったという。

コンテストには全国から航空工学の腕に覚えのあるチームが出場。その多くは大学生や社会人チームで、十代で出場にこぎつけられるチームは珍しい。審査員が設計図による書類選考を行い、機体を組み立てた後も安全上のハードルをクリアしなければ出場できないためだ。

1年目は設計に時間をかけすぎて、製作時間が足らず出場を断念。だが、その設計図に審査員は高い評価をくだし、異例にも翌年の出場権を約束してくれた。これに奮闘した学生たちは1年かけ「滑空機部門」への挑戦を始めた。ところが、その翌年は台風の影響でコンディションは最悪、プラットホームから20数メートル飛んで落ちてしまった。
そして今夏が3度目の挑戦だった。設計段階で何としても航空専門家の意見が欲しかった。ここで依田教授の人的ネットワークが活かされ、航空機メーカーの専門家の丁寧な指導を受けることができた。設計のみならず、機体に最適な素材、部品の材質選定までそのアドバイスは貴重だった。学生らは熱心に耳を傾け、部品ひとつから手作りした。依田教授は部品を加工するための道具さえも手作りした。必要なものはとにかく作り出す以外にない。

町田への移転で格段に広くなった作業場“夢工房”で学生たちは創意工夫を繰り返した。依田教授は目を離さないが口は出さない。「ぼくは食料を運び込んだりして見ているだけです。ただ、マイナスの仕事をしようとしている時、つまり改良しようとして逆に性能を落としかねない作業を選んでしまった時だけは注意します」とあくまで学生を見守る。
今年は大会当日までに日数を余して機体が完成した。校庭でわずかに機体を浮き上がらせる練習もした。プラットホームが使えないので、機体につけたゴムを皆で引っ張る体力勝負の予行演習となった。「皆で力を合わせて、ワーワー言いながら練習しました」と依田教授。その後はパイロットとなる学生に操縦感覚を身につけさせるため、グライダーを使って練習を重ねた。この時も設計を指導してくれた専門家の人的ネットワークにより、グライダー同好会の協力を得ている。人力飛行機の製作を通して単に技術力だけでなく、人との関わりの中で生まれる総合的な人間力が育まれていった。

大会前日、機体は学生の手作りの運搬用トレーラーに納められ、琵琶湖東岸を目指した。機体の操縦席横にはローマカトリック教会で青少年教育に携わった聖ヨハネ・ボスコ(写真)が“同乗”した。そして、ついに機体は116メートルを飛んだのだ。卒業生も駆けつけて見守るなか、白地にブルーの"SALESIO"のロゴが空に舞った瞬間だった。

ものづくりの楽しさを味わう体験入学

実験を繰り返し作ったロボットが動いた時、身近な電気製品の原理が分かった時、その感動はものづくりへの好奇心を膨らませる。サレジオ高専に学ぶ学生たちには夢を追いかける“きっかけとなった出会い”があったのだ。同校ではものづくりとの出会いの機会を提供しようと毎年、中学生体験入学会を開催している。中学生にものづくりの心弾む期待感や興奮を味わって欲しいと、電子工学科、電気工学科、情報工学科、デザイン工学科の各学科が工夫を凝らした体験教室を準備している。

一例として、普段、何気なく使っている電子レンジや電磁調理器の原理を紹介し、実験で簡単な調理器具を作る体験コーナーがある。作った調理器具で実際にホットケーキを焼いて試食する。募集広報室の佐伯義文教諭は「焼け具合を見て器具の性能を調整し、2時間半の実験が終わる頃には上手に焼けたホットケーキが食べられます」と話す。
また、コンピュータ制御工作機械を使い、オリジナルキーホルダーやコースターを作る「コンピュータでものづくり」のコーナーも人気を呼んでいる。上達すればコンピュータを自ら組み立てたい中学生にとっては、どこにもないオリジナルパーツを手作りできる魅力的なコーナーだ。

今年は7、8月にそれぞれ1日ずつ体験入学会を実施し、いずれも100人程度の中学生が参加した。今後は9月11日(日)、10月9日(日)に開催され、同伴した保護者を対象に施設見学も実施される。ただし、開催週の火曜日までに参加予約が必要で、各体験コーナーは定員になり次第締め切られる。体験項目の一例は次の通り。

▽ 作って乗ろう!自走式EVカー▽創作LED(発光ダイオード)アートを作ろう
▽ 六足歩行ロボットの製作▽ソーラーカーを解剖しよう▽シューティングゲ
ームを作ろう▽君が監督!パソコンでロボカップサッカー▽パステルやマーカーでイラストを描こう▽オリジナルアクセサリーやカップを作ろうなど。
当日、各コーナーでの指導は教諭が当たるが、参加中学生は2〜3年生から作
業を教わりながら製作を進める。「ものづくりは先輩から教わりながら、また、教わったことを後輩に伝えながら進めていくものです。そのことを感じ取ってもらえれば」と佐伯教諭。ここでも人との関係性を大切にする考え方が表れている。

 
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