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中学・高校受験:学びネット

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小松原女子高等学校

 
  東大生のコーチングもたらす受験テクと生徒の意識改革
2003年度より本格的に進学選抜を立ち上げ、来春、その成果が期待される小松原女子高等学校が、この4月、新たな取り組みを始動させた。現役東大生を中心とした講師陣による土曜の特別指導「東大学習コーチ」である。受験の成功体験を持つ講師が、生徒に伝えるのは受験ノウハウだけではないようだ。早くもマスコミの注目を浴びながら小松原女子高が変わろうとしている。

校 長: 小松原 誠
住 所: 〒330-0054 さいたま市浦和区東岸町10-36
電 話: 048-885-8625
交 通: JR浦和駅東口徒歩8分・JR南浦和駅東口徒歩10分
学生数: 712名 (2005.7.1現在)
ホームページ: http://www.komatsubara.ac.jp/

 

苦手意識を克服し、将来の進路に意欲

コミック誌の連載で好評を博し、間もなくテレビドラマ化される「ドラゴン桜」という漫画をご存知だろうか――。三流弁護士がダメ学校の再建に乗りだし「東大合格100名」を目標に学校改革を断行するという筋書きである。そんな劇的な学校改革を現実にやろうとしているのかと、マスコミの注目を集めている学校がさいたま市浦和区にある。3年前から本格的に大学進学のための選抜を立ち上げ、今年度から新たに「東大学習コーチ」を始動させた小松原女子高等学校だ。

いわゆる「進学校」ではない同校が、現役東大生や院生、OB、OGによる講義を企画した狙いとは。単に最先端の受験テクニックの習得だけを目指しているのではないことは容易に想像がつく。では、彼らに求めたのは何か。受講した生徒たちに現れた変化がその答えと結びついている。中学校までの学校生活の中で、なんとなく自信が持てず、将来の展望を積極的に語ろうとはしなかった生徒が、このコーチングを受けるにつれ、進路や将来の目標を定め、志望大学の名を具体的に上げるようになったという。わずか3回目のコーチングを終了しただけで。

同校の教務部長を務める渡部隆幸氏はいう。「免許を持った者だけが教師ではないと思います。人生の何かを伝えたり、生きる力を与えたりできる人が教師と呼ぶにふさわしいのでしょう」と。無論、それができる経験豊かな教員が同校には揃っているが、生徒と年齢が近く受験の成功体験や、その課程での試行錯誤の経験を昨日のことのように語れる東大生に、生徒が格別の親近感を持って影響を受けるのには納得がいく。
講師の選定にあたっては、面接による選抜と綿密な打ち合わせを行ってきた。東大生であることを無条件に評価したりはしない。優秀な学力、受験テクを持っていても、それを生徒に理解させる技量が備わっていなければ採用する意味がない。人間的な魅力ももちろん必要だ。一人ひとりの生徒をじっくり見て、生徒の学力や性格を把握した上で指導してもらえるよう、最初のコーチングでは特に時間をかけ、講師が生徒から話を聞く時間を十分にとったと言う。

専属東大コーチによる特別指導は毎週土曜に3時間(文系、理系の希望校に合わせて指導)行われるが、これ以外にも夏期に8日間の合宿を行い、さらに特別指導を充実させていく。受験指導はほかに週4時間の大学入試演習と、同じく週4時間の個別演習指導という「完全理解」に向けたカリキュラムが組まれている。学習に苦手意識を持っている生徒を、どこまで伸ばせるかの挑戦が始まっている。

普通科在学中に介護福祉士の資格を取得

国家資格である介護福祉士の資格を高等学校の3年間に、しかも普通科で学びながら取得を目指すという画期的なコースが、同校の「福祉特選コース」だ。一般的には高等学校卒業後に、資格認定校である専門学校において、2年間学び取得するケースが多い。この場合、資格取得は特段の事情がない限り、受験をしなくても保証されているが、学費面での負担が大きい。同校の「福祉特選コース」では、公的・民間の介護施設で実習を重ね、福祉専門学校の講師による受験指導を受けるため、在学中に国家試験を受験することができる。

同コースでは訪問介護員(ホームヘルパー)1級の資格取得も可能だ。こちらは230時間のヘルパー養成研修を受ければ認定されるため、ほぼ確実に資格を取得することができるという。

だが、資格を取れば即、実践に結び付くものではなく、福祉に携わるにふさわしい人間性を身につけさせることを、福祉担当の教員は常に念頭においていて指導に当たっている。訪問介護員1級という資格は、2級や3級の介護員を指導する立場にあるが、往々にして指導する立場の人間が2級、3級の介護員よりも、年齢や社会的経験が浅いということが起こる。また、介護対象の高齢者にも、その尊厳を十分に理解して接しなければならず、言動ひとつで信頼を損ねてしまうことがないよう、模範的な介護員の養成に努めている。  
同コースでは1年次から福祉実習や福祉援助技術といった専門研修を週に8時間組み込み、2年次からはそれら研修が週14時間に増える。このため、訪問介護員2級の資格なら1年の後半から2年の夏くらいまでに取得できるカリキュラムとなっている。

福祉関係の人材需要は高まるばかりだが、高等学校での福祉コースの認可は年々困難になっていると言う。同校では早くから認可を受け、公的施設などの研修先確保にも実績を残しており、今後福祉分野での人材輩出が期待される。

選択科目が進路にヒント

大学へ進学する、あるいは専門分野でのスキルを身につけるなど、15歳で進むべき道を決定し、高校に進学してくる生徒ばかりではない。将来の進路を定めるためのヒントを、まだつかめていない生徒が多いのが現実だ。

そんな生徒にとって、同校の総合進学コースは生徒自身の適性の見極めに絶好の選択科目を用意している。39ある多彩な選択科目の中から、週に8時間分を自在に組み合わせて独自の時間割を組むことができる。その内容はPC医療事務や簿記、版画やコンピュータグラフィック、グルーミングやトリミング実習、服飾、ファッションデザイン・・・とバラエティに富む。1年次は普通科の授業を、2年次から自在選択ができ、3年次には選択科目の変更も可能だ。ここで見つけた自らの適性を伸ばし、意欲を持って目標に向かうことができれば、3年間は何ものにも変えがたい大きなステップとなるだろう。

ある生徒が大学へ進学した。そのことを知った中学時代の教師は「あの子が、あの大学へ行きましたか・・・」と驚きを隠せなかったという。特に難関大学への進学ではなかったが、自分を見いだせず、意欲を見せることのなかった中学生が、同校に入学後、自身で選んだ目標に懸命に取り組んだであろう姿に、中学時代の教師は驚きをもってそういったのだ。生徒一人ひとりに寄り添い、伸ばす教育活動が同校の伝統である。

来年70周年を迎える同校は、今後も女子教育に絞った道を歩み続ける考え。その上で、時代が必要とするものは柔軟に摂取し、とどまることなく改革を進めていく。「東大学習コーチ」や「普通科での介護福祉士」あるいは多彩な選択科目の実現はその姿勢の現れである。それらの取り組みへの評価か、先月開催した学習塾対象の学校説明会に約250組が参加する盛況ぶりであった。来春の進学指導の成果が注目される。

 
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