応募者、実受験者数に伸び
2005年5月26、27日の2日間にわたって開催された、同校の学習塾対象・学校説明会には200を超える学習塾の担当者が集まった。冒頭、同校の高木修教頭より挨拶があり、続いて直近の入試結果の詳しい分析、来春の入試に向けた方針及び、教育活動、進学状況について説明があった。
まず、入試結果の分析として、ここ2年の応募者数と応募者に対する実受験者数の増加が見られた。例年2月1日、5日の2回の入学試験を実施しているが、2004年では第1回目の応募者数が前年の361名に対し440名に増加。2回目も313名が404名に増加した。
2005年の第1回は408名で前年より32名減らしたものの、第2回目は前年より36名増やし、400名台で安定している。また、2003年第1回目の実受験者数の割合が90.7%だったのに対し、2005年には94%に、第2回目は56.4%から67.9%にそれぞれ上昇している。これらの数字は同校のこれまでの地道な教育活動への取り組みが評価された結果だろう。
今春の入試における第1回目と2回目の合格最低点の比較では、2回目の受験生にかなり厳しい結果となった。1回目2科(算数・国語)は200点満点中106点、4科(理科、社会を含む)では340点満点中172点で、ともに5割強であったが、2回目は2科が126点、4科が213点と6割強に上っている。特に2回目の入試で2科を選択した受験生69名に対する合格者は4名で、競争倍率は17.3%と一層厳しいものとなった。1回目の2科選択受験生は408名受験で187名合格、競争倍率は2.2倍だった。
また、2005年入試の繰り上げ合格者は2名で、繰り上げ合格者決定の基準は、2月1日、5日の両日とも受験し、かつ同校が定める繰り上げ合格の範囲に2日とも入っている生徒であること。すなわち同校を第1志望とする受験生で、安定的な学力を持っていることが繰り上げ合格の優先基準となっている。
各教科の問題傾向と 来年の出題方針
国語――直近の入試問題は漢字の読み書き、物語、解説・評論文で構成。漢字は小学校で習うなかから出題しているが、小学生にとって少し馴染みの薄い言葉も出題された。
「足あとからルイスイする」や「ツウセツな願い」など。日頃から新聞を読むなどの習慣づけが重要となる。物語文では場面、背景から心情を読み取ることができ、解説・評論文では論理的展開についていくことができ、推論、検証するといった作業が求められる。
来年もほぼ同様の出題傾向だが、漢字の読みは出題しない。書き取りについては、漢字自体は小学校で習うが、読みは小学校で習わない漢字も出題する方針。「バンカン胸に迫る」の「万」のような用い方など。そのほか、記述式解答については全教科を通じ対応が必要。
算数――中学入学後に必要な基礎力を問うという基本姿勢で出題。例年、比、濃度、速度、面積、体積など立体に関わる問題で構成する。なかでも濃度、速度に関する出題は定番化している。試験前、問題を解く上での考え方や途中の計算を解答用紙に残しておくように指導がある。転記ミスによる減点を防ぐためと、部分点基準を満たしている場合の加点を行うためだ。余白での計算課程が正しく、正答を得ていると判断した場合の転記ミス、転記忘れは減点しない方針。
社会――地理、歴史、公民の3分野から出題。公民は例年、時事問題から出題している。選挙があった年なら選挙に関連する制度などを問う。地図、統計、歴史的な絵画などの写真をもとにした出題が多く、確かなイメージに裏付けられた知識を問う。今年は北朝鮮・韓国・中国と日本に関する問題及び、憲法の平和主義に関する問題などが出題された。
理科――高度な結論を知っているかより、結論を導くための正しい考え方ができているかを重視する。例年、コンパス、定規などを使って作業をする問題が出される。今年は配られた「シラカシ」の葉を観察し、スケッチと文章で表現する問題を出題。全体の形と葉脈などの細部が描かれているかどうかを、一定の採点基準に従って、複数の目で採点する。 |
物を探求し感動することが
本物の学力に結びつく
同校の前身は1883年創立の獨逸学協会学校である。以来、時代にあった感覚を取り入れながら120年の歴史を紡いできたが、一貫して道徳的、実践的理念を教育の根幹にすえてきた。長きにわたる教育活動の中で培われてきた教育的技量を最大限に生かしたカリキュラムは、身の回りの素朴な事象に興味を持ち、観察をし、思考するといった人間本来の知への欲求を満たすことを促している。身近なものに対する感動から発せられた知への欲求が、地球的なグローバルな発想と行動に結びつけられる理想的な人間教育を目指す。
中高一貫の6年間を2年ごとに区切り、発達段階に応じた3ブロックからなるコア・カリキュラムは実践教育と進学指導を効率的に行えるようつくられている。
中学1〜2年生の最初の2年間は実験・観察を重視し、木工から蒸気機関車までの物づくりを通じて理科、数学を総合的に学習する。暗記だけに頼る勉強法はやがて限界にぶつかるが、素朴な興味関心から深く探求する勉強法は、豊かなイメージに支えられ“使える知識”として定着する。今年の同校の入試問題に「シラカシ」の葉を用いた出題がされたのも、こういった考え方によるものだ。
次いで中学3年生から高校1年生では、物に即した具体的知識を理論的・体系的に整理しながら学習を進める。少人数で行われる「表現」の授業ではディベートを行うことで言語による論理的思考力を付ける。また、中学3年からの英文法、古典文法の授業を本格化させ学習の効率化を実現している。数学では体系的に構成されたオリジナルテキストを用い、英語はハイレベルな教材として知られる「プログレス21」を中心に学習を行っている。
最終の高校2年〜3年次は多様化する進路に応じ、自由選択教科、演習を中心に授業を進める。選択教科の授業は少人数制で多様的である。現代社会演習では書物、新聞記事などを題材に議論を行い、幅広いモノの見方を身につける。さらに、それらを文章にまとめあげる作業は、受験の小論文の予備練習としても効果的だ。両学年とも夏期講習が実施され、苦手分野の学習を補う補習や、さらに進んだ内容の学習を進める講習も随時行われている。
6年間を終えた生徒はさまざまな進路を選択している。獨協大学への推薦制度では例年、約8割の生徒がその基準を満たすが、同大学および獨協医科大学への進学は全体の5%程度となっている。ほとんどの生徒が全国のあらゆる大学へと巣立っていく。
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