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中学・高校受験:学びネット

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暁星国際学園「ヨハネ研究の森コース」

 
  自ら学ぶ、時間割のない学校
 
先生も生徒も、共に学ぶ研究員。一斉授業も細切れの時間割もない。全員が自ら計画を立て自ら学ぶ。暁星国際学園「ヨハネ研究の森コース」は、文部科学省の研究開発学校として2001年4月にスタートした。既存の学校とは大きく異なるシステムの下、新たな「学びの共同体」を形成している。

校 長: 田川 茂
住 所: 292-8565 千葉県木更津市矢那1083番地
電 話: 0438-52-3296
交 通: JR「木更津」駅東口よりタクシーで約15分、スクールバス運行もあり
学生数: 小学校  11名
中学校  27名
高等学校 59名 (2005.1.1現在)
ホームページ: http://www.gis.ed.jp/

   

基本は「自学」

「ヨハネ研究の森コース」には学年別クラスは存在しない。小学4年生から高校生まで全員が、大学や大学院のような研究室に所属する。1つの研究室は、1〜2名の先生と10名ほどの生徒で構成されている。ただし、先生と生徒は教える側と教わる側という関係にはない。共に「学び手」として生徒は研究員、先生は主任研究員として位置付けられている。

 学びの基本スタイルは「自学」。生徒は研究室で、自ら立てた学習計画にそって学ぶ。午前・午後・夜間と大きく区切られた学習時間に、数学の問題を解く生徒も読書する生徒もいる。休憩も自由だ。
主要5教科など「基礎・基本」は、自学用の教材を使用し各自のペースで学習を進める。習熟度は調査テストによってはかられ、未習熟であれば自ら再トレーニングを行う。


全員で「プロジェクトX」

「基礎・基本」の知識を発展させるために、「社会科学」「自然科学」など各種講座も設けられている。

全生徒が共通のテーマを研究する「共同研究」やチームに分かれて行う「グループ研究」もある。今年のグループ研究は、NHKのテレビ番組「プロジェクトX」からテーマを選んだ。例えば「日米逆転!コンビニを作った素人たち」や「『奇跡の心臓手術に挑む』〜天才外科医の秘めた決意」など、生徒は8チームに分かれチームごとに番組を選択。それぞれのプロジェクトがどのように成功したかを調査した。なかには、登場人物に直接取材したチームもある。その研究成果を学園祭で発表。写真や資料も展示した。

「共同研究やグループ研究学習では意見を述べ合い、論理的思考力を養います。また、疑問を追究していく過程で人文科学、自然科学、社会科学、情報科学へと興味が広がり、新たなテーマ発見にもつながります」と大下宏和主任研究員。

 最初はどう学べばよいかわからない小中学生も、先輩にならって「自ら学ぶ」術を身につけていく。

 現在、同コースは小学4年生から高校3年生までのおよそ100名。そのほとんどは寮生活を送っている。鈴木久仁也主任研究員は「ときには喧嘩しながら、信頼関係を築いていっています」。 研究発表会の前夜には、白熱した議論が深夜まで続いていたという。



AO入試による選抜

 気象予報士試験に最年少合格を目指す中学1年生。漢詩の世界で才能を発揮している高校2年生。個性にあふれた生徒たちが、それぞれ興味の対象に取り組んでいる。
「従来の学校教育では、与えられた課題を決められた時間内に解くことが求められてきました。そのため、時間をかけてじっくり学びたい生徒は居場所を失くしてしまいます」と鈴木主任研究員は話す。

 同コースには、地元の学校に馴染めず不登校になった生徒や、高い能力を有しながら学力としては評価されず、進路に悩んだ生徒もいる。
「ここでは自分の持ち味を発揮できます」。
入学後、生徒たちは生き生きと学び、各自のテーマを発見していく。 卒業後の進路は、AO入試を実施している大学への進学が有力だ。実際に、昨春の卒業生がAO入試で九州大学に合格した。

 同コースの入学試験もAO入試である。受験生は、必須となっている体験入学(1泊2日)に参加したあと、提出するエッセイと面接によって合否が判定される。
「ヨハネ研究の森コース」は、既成の枠にとらわれずに深く学ぼうとする意欲ある生徒を歓迎している。

生徒インタビュー

高校2年 早川 太基 君

「ヨハネの森の仙人」と呼ばれている早川君。漢詩を詠み、中国古代の楽器・琴(キン)を奏でる。漢詩の才能が高く評価され、すでに複数の大学から誘いを受けている。

─ 漢詩に興味を持ったきっかけを教えてください。
早川 美しい自然が好きで、小学生のころから詩や和歌に親しんでいました。漢詩と出会い、漢字の力強さに惹かれました。視覚的効果の強い漢字が、言葉にできない無限の気持ちを表現してくれるように思います。

─ 入学する以前から漢詩を勉強していたのですか。
早川 入学は中学3年のときで、まだ古文も漢文も読めませんでした。猛勉強したわけではないのですが、英文法を勉強しているうちに、漢文も読めるようになりました。勉強はつながっているのだと実感しました。

─ なぜヨハネに入学しようと思ったのですか。
早川 地元の中学校にいたとき、ずっと違和感がありました。友達と話していても楽しくなかった。このまま高校に進学してどうなるのだろうと考えているうちに頭痛や吐き気がして、とうとう不登校になってしまって……。ここは他校とは違っていたので入学することにしました。

─ 入学してみて、どうでしたか。
早川 初めのころは仲間と馴染めず、帰りたかった(笑)。でも先生が真剣に話を聞いてくれました。本だけを相手に1人だった僕の、言い尽くせぬ気持ちを一つひとつほどいてくれました。それに、学校全体が勉強したいという空気だったのもよかったと思います。

─ 仲間との関係はどうですか。
早川 共同体ですね。特に意識せずに「ああ、いるな」という感じ。自分の居場所があるからお互いに寛容になれるような気がします。

─ 入学してから3年目ですね。自分で変わったと思いますか。
早川 地元に帰ったとき、何人かに「しゃべり方が変わった」と言われました。自分の中に人に伝えたいものが備わってきたからと、思います。

─ 将来はどのような道に進む予定ですか。
早川 まだ、わかりません。最近はベルギリウスという古代ローマの詩人に関心があり、ラテン語を勉強しています。また、これまで数学を避けてきたのですが、音韻や音階から数の世界にも興味が湧いてきました。僕の中では全部がつながっているので、1つに決められません。ただ、最後に「楽しかったな」と満足できる人生を送りたいと思っています。

暁星国際学園には、「ヨハネ研究の森コース」のほかに、すべての授業を英語で行う「インターナショナルコース」、難関国公立大学や私立大学を目指す「特進・進学コース」という特色あるコースがそろっている。

  寮があり、海外からの帰国子女も多く、全国から志の高い小・中・高生が集まってきている。

 
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