駒込駅より徒歩数分という恵まれた通学環境ながら、緑豊かな広い学舎を有する女子聖学院は、約100年に及ぶ歴史と伝統に基づいた女子校である。ここで行われる6カ年一貫教育では、確かな学力以外にもキリスト教に基づいた豊かな人間教育を学べるために、受験年齢の生徒からだけではなく、受験生を持つ保護者からも注目が集まっている。その教育の一端に触れることができる体験授業が7月17日に開催された。
夏休み直前の土曜日ということもあり、当日参加した保護者・生徒は延べ200名以上。各自好きな教科を1科目または2科目を選択して受講できる。
体験授業に先立って、説明のために入室した美しく装飾されたチャペルに圧倒されていた生徒に小倉義明校長から挨拶の言葉があった。
「夏休みで浮かれてしまうことも多い時期に女子聖学院へ勉強に来てくれたことを嬉しく思います。どの教科も、優しくわかりやすく皆さんに教えてくれる先生ばかりなので、楽しんで受講してください」と言われ、保護者の横で緊張の面持ちで座っていた生徒たちも各々が安堵の表情を見せていた。
この日実施された体験授業は国語・算数・理科・社会の4教科。英語は小学校によって進度の差が大きく、まだ馴染んでいない生徒が多いということで外されている。
国語では、ある図の形を一人の生徒が言葉で表して、それから想像される元の図をほかの数名の生徒が黒板に書くという授業。言葉で正しく現象を伝えることの大切さ・難しさを知った上で、喜怒哀楽という人の感情をほかに伝えるために幅広い表現が必要であるということが指導された。
算数では折り紙を使った図形の指導が行われた。折り紙で様々な図形をつくるだけでなく、その対角線の関係や対角線で分割された図形の形などを、自分で作成することで理解を深める授業となった。
社会では世界地図を使用。国旗の形をしたシールを地図上に貼りながら、各国の位置関係を確認。
理科では小学生にも馴染みのあるリトマス試験紙の代わりになる薬剤を、身近な食材であるカレー粉の中から化学的に取り出し、濾紙に染み込ませてオリジナルの試験紙を作成。自ら作成した試験紙を大事そうに持ち帰る生徒の姿があちらこちらで見られた。
この後、緑多い校内を見学した生徒や保護者が再びチャペルに集まり、来年2月1日から5日にかけて行われる入試についての説明を受け、パンフレットを見ながらメモを取る保護者の姿もあちらこちらに見られた。
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校長補佐 城築 昭雄
女子聖学院の教育の基本は、教科学習・進路学習・人間教育の3本の柱から成っています。
進路学習では、職業研究や学部・学科研究を行い、進学先だけでなく将来に就きたい仕事の内容にも詳しく触れていき、そのためにはどのような知識が必要かを考え、進路を決めていくように指導します。また、教科学習では、本校オリジナルの教材や、6年間という期間を生かした前倒し授業や習熟度別授業・土曜講座などを行い、確かな学力と豊かな知識を身につけていきます。
そして人間として生きていく上で最も重要な心の教育である人間教育は、キリスト教の教えに基づいて行われます。勉強だけに先走らず、様々なことに携わることができる精神的にも知識的にも豊かな人間性を育むことを基本に、子どもを過剰に大事にするのではなく、他者を大切にする心を持たせることで、社会に出てもほかを助けることのできる人材を育成していくのです。特に挨拶は基本中の基本として指導しますが、まずは教員が生徒に通りすがりに必ず声をかけることで、挨拶をする心を導いていくなど、強制ではなく自然に躾ができるようにしています。
今回の体験授業には非常に多くの生徒や保護者の参加をいただき、好評を得ることができましたが、これは「やるからには良い授業を」を合い言葉のように準備に励んだ教員の努力が実を結んだ結果でしょう。彼らは通常の授業に影響を及ぼすことなく、何日も準備を続けてきました。その教師の姿を見て、さらに生徒たちも心を引き締めたことと思います。また、今回受講した生徒たちも満足感で溢れた表情を浮かべておりましたので、来年冬に再度あの笑顔に会えることを期待しています。
今後、10月に行う塾対象説明会をはじめ、様々な受験に向けてのイベントを行います。また、個別の学校見学も予約形式で行っておりますので、興味のある方はぜひ一度ご連絡ください。
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