4つのコースできめ細かく指導
小松原女子高等学校では、平成15年より進路に合わせて4つのコースを開設し、1年次よりコースごとに指導を行っている。4つのコースとは、「特進選抜・進学選抜」、「福祉特選」、「福祉進学」、「総合進学」である。
「特進選抜・進学選抜」は、国公立大学への進学を目指すコースである。名称の違いは、「特進選抜」は、上位者で入学金と施設費にあたる43万円が免除されることが異なる。クラスは同じである。
このコースはほかのコースが週5日制である中、週6日制であり、7限目の授業も実施し、夏・冬・春の勉強合宿も行い、十分授業時間をとってセンター試験への実力を養成する。また少人数制の授業のほか、1人1台のノートパソコンを使った個別指導も実施して確実に学力を伸ばしている。
「個別指導では、ブースに分かれた教室で、センター試験に対応したソフトを使い、個々のレベルに合わせた問題を解いていきます。もちろん授業ですから、教員がつき、質問などに答えています。生徒たちはIT機器には慣れているので、非常に楽しいようで、進んで取り組んでいますよ」と白鳥君好副校長は微笑む。
このコースに入学した1期生は来年が受験である。なかには数学で全国模試の偏差値70
を取る生徒もおり、非常に楽しみであるという。
全国初
高レベルの資格が取れる「福祉特選」
もともと福祉教育においては定評のある同校だが、昨年度より普通科にホームヘルパー1級と介護福祉士受験資格、福祉用具専門相談員資格が取れる「福祉特選」を設けた。
このような高レベルの資格取得を実現する普通科の高等学校は、唯一小松原女子高等学校だけである。
専門科目を多く採り入れたカリキュラムで、高校卒業時には、福祉系専門学校を卒業した場合と同等の実力がつくので、その分時間も費用もかなり省けることになる。しかし、このコースは同校の長年の実績や努力があってこそ実現したものである。その点について白鳥副校長は力強く語る。
「最も困難な点は実習施設を確保することです。我々は1施設ずつ時間をかけて開拓してきたから今があるのですよ」。
生徒たちは順調に実習などもこなし、難易度の高い介護福祉士の受験資格を取得できるのは間違いはない。3年次の1月には国家試験が行われ、合格すれば即戦力として就職することもできる。しかし、さらに社会福祉士を目指す生徒も多いので、福祉系大学や専門学校への進学のための指導も行っている。
また、福祉にかかわるコースとして、短大・4年生大学への進学を目指す「福祉進学」も設けている。このコースは、「福祉特選」に比べ、専門的な実習は2年次からで、通常の授業が多いのが特色である。
資格面でもホームヘルパー2級は取得できる上、その後の進学・受験のための幅広いカリキュラムが組まれているため、ほかの進路を視野に入れている生徒にも好評であるという。 |
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「系」の選択授業で、適性を知る「総合進学」
「総合進学」は、最も生徒数が多いコースだ。このコースの特色は、将来を考え、適
性を確かめ、その上で大学や専門学校などの進路を決めることができるよう、従来の
高校の枠を超えた多くの選択科目を用意していることである。
ユニークなシステムで、2年次から生徒は興味・関心に合わせて6種類の「系」の中
から1つを選び、週8時間分の授業を受ける。「系」とは、いわば授業をジャンル分けしたもので、「美術・イラスト選択系」、「愛玩動物選択系」、「家政食物保育選択系」、「看護選択系」、「情報ビジネス選択系」、「音楽選択系」があり、ほかに英検など検定の合格を目指す「資格選択科目」がある。例えば「看護選択系」を選択すれば、看護数学・看護理科・介護実習・個別指導などの科目を学習することになる。
この「系」は、3年次で再度選び直すこともできる。また、生徒の興味が広がり、進路につなげることを重視しているため、「系」にこだわらず、「美術・イラスト選択系」から「工芸」の授業を選択し、「音楽選択系」から「合唱」の授業を選択するなどという例も認めている。
「系」の中で最も人気の高いものは「愛玩動物選択系」だという。カリキュラムの中には、「愛玩動物飼養管理士」資格を取るための授業や、トリマー実習などもある。
実習は学校内で行われ、授業は専門の講師ではなく、トリマーなどの資格を自ら取得した従来の教員が行う。
「このコースに限らず、福祉のコースでも教員がホームヘルパー1級を取り、教えています。自分の体験を踏まえながら教えるので、充実した授業になっています。新しいコースを開設し、最も変革が求められるのは教員です。ベテランの教員が多いのですが、新しいことにチャレンジし、非常にがんばっていますよ」と白鳥副校長は熱く語る。
同校ではこのほか年2回「教員授業評価アンケート」を生徒に実施し、教員のより一層
の成長を目指している。
教員らの情熱と誠意ある指導で、同校は新しいニーズに対応した女子校へと確実に前進している。今後も注目していたい。
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