学力に差のある生徒を伸ばす
説明会は、松下秀房校長の挨拶の後、企画委員の塩谷耕先生が「新たな教育体制」と題して来年度から実施する学校改革について説明を行い、最後に入試・広報担当の福原慶明先生が具体的な募集要項の概略について話した。
松下校長は中学・高校の入試結果と大学入試結果に触れ、学校の課題について次のように簡単に説明を行った。
(1)中学入試結果は、特待生20名の影響で上位者は増えたものの、偏差値が30〜50と非常に幅広い。どの生徒も伸びるよう指導していくことが課題である。
(2)高校入試は、推薦入試による入学者が増え、一般入試は減った。
なかには公立中学の内申点と試験の点数が相関しない生徒がおり、内申点の甘さを感じる。
(3)大学入試結果は、4年前は早稲田など難関私大に40名以上合格したが、その後減少した。真の学力がついていなかったのではないかと反省し、伸ばす方法を模索、一部教育改革を行ったため、来春は良い結果が出せると考えている。
(4)来年度からは中学・高校とも特進コースを設置する新しい体制で教育を行う。
(5)特進ばかりに力を注ぐのではなく、どの生徒も伸び、希望の進路に進めるように教育にあたっていく。
低い偏差値の学年を伸ばした新教育システム
企画委員の塩谷耕先生は、現在高校3年生の学年主任で、生徒たちとは中学1年生からともに過ごして来た。入学時には、偏差値が32〜33と低く、高校1年の時点でも学力はあまりついていなかった彼らをなんとか伸ばそうと、前倒しで新教育システムを一部導入したところ、かなり成果があった。
塩谷先生は、これらの経過を率直に語った後、来年度から導入する新教育体制について詳しく説明をした。
まず、在校生については、3つの柱を中心に教育にあたった。
1つ目は、進学に対する意識を早期に高めていく指導として、高校1年生を早稲田大学や明治大学などへ連れて行き、OBに案内してもらったり、「社会人特別授業」としてベンチャー企業の社長に講義をしてもらう、大学教授の出前授業を実施するなど様々な試みを行った。この中で、大学ツアーは非常に成果があり、早稲田に進学したいと願う生徒が多く出てきた。
次に補習体制・講習会の整備を行った。「高1八ヶ岳夏期進学教室」という5泊6日の勉強合宿を2回実施することにより、それまで5割前後だった参加率を9割近くまで向上させた。これは予習・復習の習慣付けに非常に役立った。
ほかに成績不振者のための多くの補習や夏期講習も実施した。
3つ目は、家庭学習を充実させる踏み込んだ指導を行った。生徒任せにせず、いつまでにどの参考書を何ページ理解するか、問題集を今日は何ページするかなど、一人ひとりの生徒に具体的に指導した。3つの中で、予想以上に効果的だったものは、この家庭学習を定着させる指導だった。 |
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平成17年度から「進学コース」と「特進コース」を設置
次に塩谷先生は、来年度の新教育体制について詳しい説明を行った。
入学してくる生徒たちの学力には大きな差があるため、「進学コース」と「特進コース」に分け、指導にあたる。中学では2年生から、高校では入学時から学力と進路に合わせて分ける。
「進学コース」はクラブ活動や高校生活を楽しみたい生徒などに適したコースで、毎週行われる「キャリアアップゼミ」でモチベーションを高め、授業で入試科目を完璧にフォローする。AO入試や推薦入試対策も充実させる。
一方「特進コース」は、国公立大・難関私大を目指すコースで、生徒一人ひとりの希望の大学に対応した152種類の時間割が組める新カリキュラムを用意し、きめ細かく指導を行う。
また、中学では「マスターゼミ」と「アドバンスゼミ」で自信をつけさせる。「アドバンスゼミ」は、中3の特進コースの生徒を対象に、英語と数学の発展的な演習を行う。「マスターゼミ」は、それ以外の中1〜中3の生徒が対象で、つまずいた箇所に戻り、演習を重ねてクリアさせていく。
塩谷先生の現高校3年生の実績に基づいた新教育体制の説明は、非常に説得力があり、有意義な説明会となった。
「特進コース」、「進学コース」、2つの学校をつくる気持ちで改革
松下秀房校長
今回の改革は、創立110年のうちでは、初の思い切った改革です。
昭和20年後半までは、本校はレベルの高い進学校でしたが、ここ数年は、中学入学者の減少により大学進学実績は下降気味になっています。
入学時に偏差値に大きな差のある生徒たちを、多種多様な進路に合わせてどのように伸ばしていけばよいのかということが、本校の課題でした。習熟度別の指導なども実施しましたが、なかなか良い結果は出せなかったため、「将来構想委員会」を立ち上げ、教員全員で改革に踏み切ることにしたのです。
そして、新しく2つのコースをつくりましたが、「特進コース」ばかりに重点を置くようなことはせず、2つの学校をつくったつもりで、指導して行きます。
本日は、現場の教員が本音をお話しすることで、少しは感銘を与えることができるような説明会にしたいと考えて、企画しました。後に塾の先生方から激励の言葉をいただき、喜んでおります。
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