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中学・高校受験:学びネット

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青山学院中等部

 
  「地の塩、世の光」を体現する
平和のために遣わされた者の誇り
「青山スピリッツ」とは、世界の平和に貢献し、他の人たちの幸せを考え進んで奉仕する生き方を選び取ること。青山学院中等部の教員と生徒は、戦後の開校以来、この大きな課題を継承し、一途に向き合ってきた。体験型授業を重んじる独自のスタイルが培う創造力や思考力への評価は高く、来秋は次世代型の新校舎も着工される。グローバル化の大波を迎えつつ「学ばせる目的は何か、子どもを守り育てる、とはどういうことか」、愚直なまでに自問し続ける同校の「現在」に注目したい。

部 長: 山本 与志春
住 所: 〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25
電 話: 03-3407-7463
交 通: JR山手線、東急線、京王井の頭線「渋谷」駅 宮益坂方面の出口より徒歩約10分/地下鉄「表参道駅」B1出口より徒歩約5分
学生数: 761名 (2013.7.1現在)
ホームページ: http://www.jh.aoyama.ed.jp

 

青学の中等部の生徒として
「今」を生きる姿を魅せる

 2時限目が終了すると、授業道具と聖書を持った中学生たちが、礼拝のため講堂へ向かう。笑顔と笑い声で廊下の空気が温まり、いろんな方向から生徒が合流するたび、元気なパワーの塊となる。だが、礼拝の始まりを告げる鐘が鳴ると講堂に静寂が広がり、オルガンの音色と若々しい声の讃美歌が響く。この日のお話は青山学院女子短期大学の宗教主任。カンボジアの小学校を訪れた体験に重ねて、マタイ福音書7章12節「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなた方も人にしなさい」を説いていく。1日15分、豊かな時間がそこにある。山本与志春中等部部長は語る。

 「初等部出身の生徒たちに、『中学から青山学院に入学する子たちに親切にしてください。初めて聖書を見る彼らに開き方を教え、讃美歌も大きな声で歌うこと。そうすれば、中等部受験の新入生も恥ずかしがらずに歌えるようになります』と入学式前に話します。隣人愛を学んできた生徒たちですから、素直に実践してくれます」

 5月、「母の日・家族への感謝の日礼拝」で朗読された作文には、始業式に見知らぬ初等部出身の生徒から昇降口で「おはよう!」と声をかけられて、友達になれた嬉しさが綴られていた。昨年11月に開催された中等部祭で、生徒自身が決めたテーマは、「誇り〜今を楽しみ、そして魅せる」。山本部長は、生徒の心の成長と決意を感じたという。

 「私も本当に勇気づけられました。『自分たちは決して恥じることのない、しっかりとした生き方をしています。青山学院中等部生として、堂々とした姿を見てもらいたい』というメッセージ。自分たちのアイデンティティを、誇りを自覚していると感じました」

生徒が、学校を創る
新校舎で育まれる人間力

 「生徒が学校を創り、環境を整えていく。新校舎では生徒の活躍がハッキリと見えるようにしていきます」

 2009年から始まった青山学院全体のキャンパス再開発「アカデミック・グランド・デザイン」。来秋、中等部の新校舎建設に着工する。一昨年より1クラス32名体制へ移行、新校舎では全学年8クラスとなる。少人数制と習熟度別授業は30年前から採用。教員や生徒が交流しながら学ぶ体験型授業は、新校舎を得てどのように変わるのか。

 「各フロアに教科ごとの教室群を置く『教科センター型』の新校舎で、教科学習に力を入れていきます。各教科の特徴を打ち出した教室を作り、各フロアにメディアスペースを置き、生徒の作品や発表物、生徒の関心を高められるようなものなどを展示します。学年間の交流も増えて、生活の隅々に『学び』の楽しさが伝わる環境にしたい」

 新校舎には、電子黒板やタブレット型教材などに対応する通信環境のインフラも整える予定だ。だが、山本部長の考える次世代型の授業には、ICT化による効率化と逆の発想があるようだ。

 「お互いが啓発し合うことに、学校という場で学ぶ意味がある。聖書にも『人は友によって研磨される』という言葉があります。テクノロジーが進むほど、人と人が面と向かって一つの課題に共に立ち向かい、発表し合い、人の意見を聴く、といった活動がいま以上に重要になってくる。もう一つ重要なのは『自然に触れる』こと。生徒全員が植物や生き物を育てる機会を作り、命あるものを世話して、花を咲かせ、実を実らせる過程を生徒も来校者も実感できる場を作りたい」

 教員の存在意義にも、山本部長は未来像を見据える。生徒のコミュニケーション力を発揮させる場を作り、発想や創造力に必要な基礎知識を体系的に学ぶ意欲を持たせる。生徒の主体性を発揮させコントロールしていく「演出家」のような役割だ。教員志望の卒業生が、放課後に後輩の学習をサポートする「スタディルーム」も開講、頼もしい援護となっている。

共存共栄の世に平和を創る
自ら考え判断し、動く人に

 「グローバルな人材とは、日本が世界に勝つための人材ではない」――山本部長が最近、生徒に向けて話すことだ。覇権・帝国主義のような考え、日本の国や企業だけ豊かになればいい、という発想は改めるべき。

 「相手を尊重し、違いを認めながら生きることが『世界人』の最低条件、と生徒に伝えています。世界の人々と手をつなぎ、共に豊かに幸せになっていくにはどうしたら良いかという課題に対し、知恵を出し、実践できなければ、真のグローバルな人材とはいえない」

 同校では、年5回の定期テストでは順位を公表していない。その代わり、生徒の作品や発表成果など、展示には積極的だ。「競争意識というより、『僕にもできることがある』という相乗効果」が狙いだ。週1時間の「聖書」の時間では、実生活で問題となっている事象をテーマに、ロールプレイやディスカッションを行う。そのためには統計や文献の調査が欠かせない。3年選択授業では「本物」に触れる体験重視の講座が並ぶ。学ぶことの楽しさから火がつき、体系的な基礎知識を自ら求めて獲得していく自主学習で、生徒の力を引き上げていくのが同校のスタイルだ。生徒が時間を管理して教室移動をする新校舎では、「自ら学び、動く」姿勢が、より確かなものになりそうだ。

 昨年、山本部長が明言していた言葉を今年はこちらから問いかけてみた。――今こそ、御校が育てているような子どもたちがリーダーになる、ならなくてはいけない時代だと思いますか?

 「もちろん。共存共栄の社会に真に求められる『グローバルな人材』を我々は育てている、という想いがあります」

 
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