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中学・高校受験:学びネット

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桐朋女子中学校・高等学校

 
  ペーパーテストでは測りきれない
生徒自身が思考を進めていく力
「口頭試問」で輝く原石を発掘する
「筆記試験で多少失敗しても、口頭試問での逆転は充分可能。私たちが知りたいのは生徒自身の『思考の過程』です」と語るのは桐朋女子中学校・高等学校の今野淳一副校長。口頭試問で評価する「思考過程」とは、初めて学ぶ内容を筋道立てて理解し、因果関係や発展的思考を問う質問に口頭で答える中で見えてくる。普段の学校や塾の授業をしっかり受け取る力ともいえよう。導入から46年間「論理的思考力」の公平な評価に磨きをかけてきた桐朋女子の口頭試問。今、その全容が明らかに。

校 長: 河原 勇人
住 所: 〒182-8510 東京都調布市若葉町1-41-1
電 話: 03-3300-2111(代表)
交 通: 京王線「仙川」駅徒歩5分、小田急線「成城学園前」駅よりバス15分(仙川駅入口下車、徒歩1分/JR中央線「吉祥寺」駅・「三鷹」駅よりバス30分(仙川下車、徒歩8分)
学生数: 1,656名 (2013.5.1現在)
ホームページ: http://www.toho.ac.jp/chuko/

 

一人ひとりの思考過程を
じっくり公平に見極める

 「この子だったら、桐朋女子で一緒に勉強していけそうだ、行事や部活動にも積極的に取り組み、楽しく学校生活を送ることができるという手応えが、口頭試問で得られるんです。それはペーパーだけでは測れない」

 実感をこめて語るのは、桐朋女子中学校・高等学校の今野淳一副校長。同校では、昭和42年に中学校入試を口頭試問方式のみに変更(平成3年に筆答試問が加わる)。46年間にわたり実施し続けてきた口頭試問に、同校はどんな価値を見出しているのだろうか。

 「導入した頃、すでに私立中学受験には、小学校で学ぶ以上の知識量を要する風潮があり、それに対し、当時の生江義男校長の中には『特別な受験準備は本来必要ない。小学校で生き生きと勉強してきたかどうか、そのまま中学・高校でも意欲的に勉強に取り組めるかどうか、基本姿勢が見える入試を作りたい』という想いがあったようです」

 この「日々受ける授業を大事にすべき」という大義は今も変わらず、口頭試問の根幹にある
。桐朋女子の口頭試問は、以下の流れで進行する。

【口頭試問の流れ】

@20〜30人のグループごとに準備室に入室し、40分程度の「準備」に取り組む。教員による授業を受けることもあれば、ビデオを視聴したり、文章を読んだり、作業をすることもある。

A受験生には「課題用紙」が配布される。「課題用紙」には4つ程度の課題が印刷されており、合間に時間が与えられ、課題に対する解答を書き込む。準備が授業形式の場合は「メモ用紙」も配布される。「メモ用紙」には授業を受けながら、ポイントを書き込める。@で示される複雑な図表はすでに印刷されている。

B一人ずつ試問室に入室し、10分程度の口頭試問を受ける。受験生はメモ用紙や課題の解答を見ながら、準備授業の内容について、複数の試問官から質問を受ける。試問は、課題の答え合わせから、なぜそうなるのか理由の説明、授業を踏まえた発展的内容などを扱う。

 「準備授業」のテーマは理科・社会の分野が多く、小学生にとって「身近な題材かつ初めて学べる内容」となっている。

 「しっかり授業を聞いていれば、課題も口頭試問も決して難しくありません。授業で初めて学ぶことを理解できているかどうか、人の話をきちんと聞く姿勢が身に付いているかどうかをまず口頭試問で確かめていきます」

受験生に「口頭試問」を再現
不安や不明瞭さの払拭へ

 同校では3月20日に初の取り組みとして、「入試報告会」を開催。参加した保護者と受験生約200人の前で、今年2月に行われた口頭試問の準備の様子を再現した。入試と同じ配布物を手に「準備授業」を聴講した保護者・受験生からは、「先生の解説を聞いていれば、理解できる内容だと実感できた」、「謎の多い口頭試問だったが、それほど難しいものではないことが、実際に見て、大変よくわかった」という意見が数多く寄せられたという。

 それでも「敷居が高い」という受験生のために、桐朋女子では口頭試問と筆記試験(算・国)のA入試とは別に、昨年より4科の筆記試験と面接のB入試を設けている。B入試で行う面接の評価はA入試の口頭試問と違い、「参考程度」である。

 「ただでさえ緊張している受験生が、答えに詰まる場面はもちろんあります。そういうときは、受験生自身が正しい答えに辿り着けるヒントを、試問官が与えながら粘り強く待つ。本人に『あ、そうか!』と気付いてもらいたいからです。口頭試問を通して私たちが見ているのは、受験生の頭の中で論理がつながっていく『思考過程』そのもの。自分勝手に解釈したり誤解することなく、一生懸命考えて、たどたどしくても自分の言葉で丁寧に答えてもらえれば大丈夫」

 解答にオリジナリティーや突飛な発想は「ほとんど必要ない」と今野副校長。口頭試問は、積極性や独創力ではなく、思考力や理解力を測るものだ。「特別な事前準備は何も要らない」という今野副校長に、あえて口頭試問対策を伺ったところ、ある卒業生の受験生時代の体験例を挙げてくれた。

 「両親が毎日切り取っていた新聞記事を読み、内容を説明し、母親から質問を受けて答える練習を繰り返したそうです。やり取りの中に『どうしてそうなったの? どうしてそう思ったの?』と理由を考えさせる質問を入れると、さらに良い訓練になると思います」

口頭試問から大学受験まで
桐朋女子が育む自己教育力

 同校は、中高6年間を2学年ごと3ブロックに分け、成長段階にふさわしい教育課程と目標を設けている。Cブロック(高2・3)では自由選択の授業を中心に、進路希望に応じて自身の時間割を組み立てるため、生徒の進路先は文理の枠を超えて多彩だ。今春の大学進学実績は、国公立大学16人、早慶16人、ICU上智7人、GMARCH34人。中学入学時からの学力の伸びは目覚しいものがある。今野副校長の言葉にも確信に満ちた響きがこもる。

 「やはり口頭試問で『この子は伸びる』ことが見えるのが大きいですね。不安定な時代だからこそ、自分で考え、自分で動ける人間になってほしい。Cブロックにもなると、自分で学び、取り組む『自己教育力』が身に付いていきます。それが大学受験の結果につながっているのではないでしょうか」

 とはいえ、最初から「自己教育力」が身に付いているわけではない。Aブロック・Bブロックの段階において、教員が生徒一人ひとりの面倒を丁寧に見る。高校では新カリキュラムが本格始動。桐朋女子の「自己教育力」は止まらない。

 
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