2012年、水戸短期大学附属高等学校から「水戸啓明高等学校」に改称した同校。コースも探求型4コース(普通科3コース、商業科1コース)に改訂。個性ある進学校として新たなスタートを切った。
注目されたのは理系に特化した「サイエンス・フロンティア(選抜特進理化コース)」だ。そのクラス1年1組には男子22人、女子5人が入学。担任の藤原博之先生は「全員理科が得意科目。実験を実施した時には、全員がよく見ようとドッと教壇に集まってくるほど。積極的な姿勢に驚いたのと同時に嬉しさも感じました」と話す。
このクラスの多くは、昨年同コースが新設されることを知り、入学を希望してきた生徒。将来何になりたいか目標を持っている生徒も多く、医師や獣医、薬剤師、システムエンジニア等の夢を持って入学してきた。
こうした生徒の夢をサポートするために、このコースにはさまざまなプログラムが用意されている。8月の夏休みには「サイエンスイマージョン」という3日間の特別カリキュラムを実施。これは外国人講師が英語で講義が行うもので、学習テーマは「DNAの抽出実験および構造の学習」や「天体」「二酸化炭素の発生」「コンピューターサイエンス」など多岐にわたっている。授業は1日5時間。英語によるボキャブラリーの学習も含まれており、最終日には学習した中から1テーマを選び、英語でプレゼンテーション発表も行った。
すでに1学期から化学の授業では、物質の名前を英語で覚えたり、週1回給食の時間も同校のネイティブの英語教師とともに会食したりと、英語に接する機会を多く設けてきたこのコース。これには藤原先生の「将来、海外に出て活躍できる人材になってほしい」という思いが強く込められている。
さらに力を入れているのは数学だ。このコースは朝7時半登校。朝学習で数学の問題を解いている。基本的な問題からスタートし、「ケアレスミスをなくし、速く、いかに工夫して解くか」にポイントを置いている。
藤原先生は「やらされているのではなく、生徒が自分から取り組む姿勢を持ってほしい」と話す。入学当初から、なぜ勉強するのか考える時間をとり、進学しないと就けない職業があることを話したりするなど、週に1度はHRの時間で語りかけた。 |
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「目的意識を持って入学してきた生徒が多いので、皆、真剣に考えてくれています」と藤原先生。鹿嶋など遠方から通う生徒も少なくないが、遅刻や欠席はゼロ。生徒の意気込みから藤原先生の言葉が浸透していることがわかる。
今年度からすべてのコースで「課題探求学習」をスタートさせた同校。テーマを決め、自ら取り組んで研究するものだが、このコースの生徒は「テーマを決めるのが早い」と藤原先生。医療現場で患者のニーズの調査や、パソコンのゲームソフトを開発し、特許取得を目指すといったテーマがすでに出ている。「アドバイスしないとテーマが決まらないのではと思っていましたが、とんでもない。学習が前倒しで進んでいます」と嬉しい悲鳴が上がっている。
「生徒にはいろいろなものを見て、聞いて、体験してほしいですね。これまでも茨城大学の教授を招いて、アレルギーについて講義をしていただいたり、東京大学の教授には海の自然エネルギーについて話してもらったりしました。これからも教科の枠を超え、教科書からでは学べないことをたくさん教えていきたいと思います」
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