国立大学2人合格
中高一貫生が大健闘
今春の卒業式で、中高一貫第6期生を送り出した共栄学園中学校・高等学校。第6期生の大学合格実績は、千葉大学の薬学部と法経学部にそれぞれ1人ずつ合格。また早稲田、慶應、上智、東京理科大と最難関大学の合格も過去最高の数字となった。さらに現役大学合格率は88%と、全卒業生の78%を大きく上回った。他の上位進学校と遜色ない実績を出し始めている。
この躍進の要因を、今年同法人の春日部共栄中学高等学校より赴任してきた松宮博教頭はこう分析する。
「TUK(勉強するための部活)が非常に充実してきたこと、また衛星授業への参加率が高いことが挙げられると思います」
衛星授業には高3生300人中、80人以上は参加。クラブ活動が盛んな同校では、下校後、予備校に通うのが難しい生徒も多いが、このような方法で生徒は学業と部活を両立させている。
「また、本校の先生たちは、大学のことを非常によく研究していると思います。生徒が希望の学科や学部を申し出ると、すぐにマッチした大学のアドバイスができる。勉強についても生徒の質問に即座に対応しています。先生のレベルが高いことも合格実績上昇の要因だと考えています」
当日出願は30分前まで
受験料も複数回で同一に
同校では、受験生と保護者が受験しやすい体制をつくるため、来年度の中学入試から改訂を行う。
1点目は「早い時期に合格確定がもらいたい」という声を受け、第1回と第2回を2月1日、第3回を2日、そして第4回を3日に設定したこと。
2点目は受験料を一律2万円に設定。複数回受験できるようにした。しかも願書の各回の欄に丸をつけるだけ。手続きも大幅に簡略化している。
3点目は前日までだった窓口出願の締め切りを、試験当日の1時間から30分前まで受け付けることにしたことだ。
「東京の中学入試の場合、急きょ受験する必要が出るケースが少なくありません。しかし、2月1日や2日の結果を見てから3日に受験しようとしても、すでに締め切っている学校がほとんど。受験したくてもできない生徒の救済にもなればと思っています」と松宮教頭は話す。出願には通知表のコピーが必要。他校を急遽受験するケースも想定し、「通知表のコピーは複数とっておくと便利」とアドバイスもしている。
4点目は、入学手続きの最終日は締め切りの15時を過ぎても、連絡をもらえれば対応するようにした。これも他校の発表を待つ保護者の立場を考えての改訂点だ。
他にも、第2回の特待・特進入試の問題は昨年までは難度を上げていたが、来年からは他回と同レベルにする。
「1回目には緊張から力を出せなかった生徒も、2回目で実力を発揮してほしいと考えています。1、2回と続けての受験をお勧めしたいですね。さらに2回目は4科になりますので、理社の得意なお子さんにもチャレンジしてほしいと思います」と松宮教頭。
5月に開催された塾説明会での反応はとても良く、「非常に受けやすくなった」という評価をいただいたという。塾説明会も4人がけのテーブルに塾の先生2人、そこに同校のスタッフ2人が座って懇談する意見交換のしやすいスタイルも好評だった。
目標を高く持つことが
学力向上のカギ
今年、同校に入学した中高一貫生は86人。「積極的な生徒が多く、授業中でもよく発言しています。廊下を通っているだけで、頑張っている様子がわかるほどです」と話すのは、中学主任の足立俊子先生。入学時の学力適性から3ランク上の大学へ現役合格を目標とする「3ランクアップシステム」で、着実な学力向上を図っている。 |
「具体的には、日々の学習の習慣づけを重視しています」と足立先生。松宮教頭は3ランクアップには「とにかく高い目標を持つことが大切です」と言葉に力を込める。
「先日、中1生が質問に来た時、その生徒の目標大学を聞きました。私は『その大学も素晴らしいけれど、目標はもっと上、東大でもいいのでは』と話しました。すると生徒の目はきらきらと輝き、その後に出した難関大学の問題をスラッと解いたのです」
目標を高く持つことで、生徒の可能性は大いに広がる。松宮教頭はこれまでの経験から、「教師が生徒に対して情熱をぶつけることができれば、必ず応えてくれます」と語る。
さらに今年から同一法人の共栄学園と春日部共栄、さらに共栄大学との連携を強めていく構想も進んでいる。共栄学園の生徒が春日部共栄に転学したり、共同で研究やボランティア活動をしたい考えだ。数学等の問題集も共通のものをつくろうと動き始めている。
「今年から共通の『至誠一貫』という教育理念を掲げています。これは自分本位ではなく、人には真心をもって接しなさいという意味です」と松宮教頭。学校法人が一丸となって、お互いを高め合っていく方針だ。
共栄学園としては「文武不岐」(文と武は別のものではない)という教育理念がある。「私は『武』というのは部活やスポーツだけでなく、その生徒の好きなこと、趣味やボランティア活動、家のお手伝いも『武』だと捉えています。勉強もやりたいことにもとことん取り組んでほしいですね」。
生徒の支えになるためには、労を惜しまない教師と、高い目標に目を輝かせる生徒。共栄学園の勢いはますます盛んになりそうだ。
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