サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関東校・ 関東一覧
   

青山学院中等部

 
  新世代のリーダーは「仕える人」
真のグローバリズムに導く全人教育
「今こそ、本校が育てているような子どもたちがリーダーになる、ならなくてはいけない時代だと思う」と明言するのは山本与志春中等部部長。昭和22年、男女平等教育の先駆けとして開設された青山学院中等部は、キリスト教に基づく「平和な社会に貢献する人間の育成」を貫いている。知識偏重にならない体験型授業を重んじる指導方針は、大学卒業時に多くの総代や学業表彰者を輩出する成果を見せている。「進学校ではない」と言い切る同校が、長年紡いできた懐深い全人教育の魅力とは。

部 長: 山本 与志春
住 所: 〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25
電 話: 03-3407-7463
交 通: JR山手線、JR埼京線、東急線、京王井の頭線「渋谷」駅宮益坂方面の出口より徒歩約13分・東京メトロ(銀座・千代田・半蔵門線)「表参道」駅B1出口より徒歩約7分
学生数: 781名 (2012.7.1現在)
ホームページ: http://www.jh.aoyama.ed.jp

 

自己肯定感を与える学校
面倒見すぎず、常に見守る

 青山学院中等部の入試は例年1回のみ。今春も140名の募集人員に1,100人を超える志願者を集めた。

 「本校は受験生の心に響く良問を届けたいと思っています。公正な判定を行うため、入試問題の精査に相当な時間をかけますから、この完成度で問題を年に2つ作るのは困難です」と語る山本与志春部長は、1回の試験で定員が充足する学校も複数回入試を行う現在の傾向に、「学校間格差を拡大させる」と警鐘を鳴らす。子どもと家族は、中学受験生層の中の特殊な偏差値に振り回されている。

 「中学受験生は同じ学年の中で、全国規模で捉えたら本当に優秀なはずなのに、劣等感を抱え、自信がない子が多い。本校では毎日の礼拝をはじめ『今の君が良い』と認めていますので、自己肯定感が高い生徒が徐々に増えるんです。そして、自主性を育てるには、大人が過剰に面倒を見てはいけません」

 中学から入学した生徒たちは、初等部出身の同級生とともに成長しながら、それぞれの生き方や個性を尊重することを自然に学ぶという。同校は10年前に週6日制から5日制に戻した経緯がある。中学という発達段階においては、担任が毎日学校にいて、常に先生から見守られている実感を持つことが、生徒の健やかな成長に大きく影響することを教員が再確認した結果だ。絶妙なバランスで「面倒を見すぎず、常に見守る」の独自の人間育成哲学は、大学附属校という魅力と相まって、根強い支持を受けている。

実体験こそ豊かな発想の源
少人数で多彩な授業を展開

 青山学院全体のキャンパス再開発による校舎改築に先駆け、昨年から1クラス32名体制に(3年生は高等部と同じ42名)。同校では40年前から、少人数制と習熟度別授業をフレキシブルに組み合わせてきた。教員や生徒同士で相互交流しながら学ぶ授業に、より一層ゆとりが生まれ、グループ学習や体験・発表が増加。1クラス32人の恩恵を一番受けたのは、知識習得に時間を要する社会科だ。ある社会事象が「なぜ起こるのか」、意見交換しながら深める時間がようやく確保できるようになった。各教科とも知識を教える講義は極めて少ない。数学の授業では、定義の成り立ち等を探求する作業を行い、教科書を読めば理解できる問題演習は宿題となる。レポート提出も多く、自主学習で生徒の力を引き上げる。

 「理科実験ばかりしていても知識は定着しないと思った時期もあります。でも、青山の理工学部の教授が『中等部で学んだ学生は、大変なイマジネーションを持っている。彼らの発想の豊かさは、自分で実験し失敗し、経験したものを身に付けてきているからだ』と言ってくれた。必要な『知識』は、後から調べれば簡単に習得できる。でも『体験』には時間がかかる。大事なのは『体験しておくこと』なんです」

 英語は発話の授業を活発に行い、教科書は青山学院英語教育センター作成『SEED』を使用。同じキャンパスの強みを生かし、昼休みや放課後には大学留学生との会話を楽しむ「チャットルーム」を開設、英語圏に加え、今年から韓国・中国からの留学生を招いている。国語は、「聞く・話す・読む・書く」の言語活動のうち、7割を占める「聞く・話す」力を強化。少人数クラスによる、聞き取り訓練やスピーチなど、言語スキルをバランスよく鍛えている。

 3年選択授業では、約20講座から2時間選択。経済の講座では、企業応援のために株を買う意義、企業の社会貢献について学んだ後、実際に企業(伊藤園・東宝・ワタミなど)のIR担当者に来校してもらい、質疑応答を行った。美術で「テンペラ画」に挑み、絵画技法の歴史を学ぶなど、「本物」に触れる体験重視の講座が並ぶ。

 年5回の定期テストでは、順位を公表しないが、2・3年で3回行われる学力テストでは、順位を本人にのみ伝える。それは高等部で受ける青山学院大学への推薦(8割が進学)に備え、自分の相対的な位置を知るためでもある。

相手の幸せと繁栄のために
青山スピリッツの原点へ

 週1時間の「聖書」の時間で学ぶキリスト教の教えは、「愛と奉仕、共に生きる共同体の形成」。その理解を深めるために、実生活で問題となっている事象をテーマに、生徒はロールプレイやディスカッションを行う。1年生のテーマは、「コミュニケーションや自己表現・差別」、2年生は「平和・自死・死刑」、3年生では「脳死、臓器移植、先端医療」など、現代の我々が抱えている重いテーマに生徒たちは果敢に挑んでいく。統計や文献を調べて情報を得て、発表し、話し合いを続ける。最後には、各々のテーマを「卒業論文」に昇華させる。これらの実践的なディスカッション、キリスト教の教えは、生徒たちに、どんな指針を示すのか。山本部長の答えは明快だ。

 「これからのグローバル社会では、多様な国の人たちと一緒に働き、宗教や民族の違いを乗り越えて一つにならなくてはいけません。キリスト教から学べることは、本当の意味で相手との違いを認め、相手が大事にしているものを尊重し、共に生きることの大切さ。また、それを行動として実践できるリーダーを本校では育成しています。これからの未来に必要な真のリーダーとは『仕える人』。人を使うのではなく、人に仕え、平和な社会を作る人。大勢の人に支えられて自分が生かされていることを知り、他の人たちの繁栄や幸せを考えた生き方を選び取る。それが青山スピリッツの原点です」

 「個」と「共生」のダイナミズムが、青山学院中等部には息づいている。

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.