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中学・高校受験:学びネット

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成城中学校・高等学校

 
  国公立大学26人現役合格
男子育成スペシャリストの威力
秋晴れの9月17日(土)・18日(日)、成城中学校・高等学校では「成城祭」(文化祭)の活気が校内に満ちていた。今年のテーマ『REVIVAL(復活)』には、東日本大震災からの復興への願いをこめた。明治期から国家・社会に有為な人材を育成することを理念としてきた当校の精神は、現代の生徒にも脈々と受け継がれている。創立130周年記念事業の新校舎造成、新設した「国公立クラス」が今春卒業と、成城の躍動に迫る。

校 長: 中田 秀夫
住 所: 〒162-8670 東京都新宿区原町3-87
電 話: 03-3341-6141
交 通: 都営大江戸線「牛込柳町」駅西口より徒歩1分
学生数: 中学校  726名
高等学校 912名 (2011.11.1現在)
ホームページ: http://www.seijogakko.ed.jp

 

伝統の進学校がリニューアル
学校改革の源は生徒のやる気

 創立130周年記念事業として平成24年秋に新校舎が完成予定の成城中学校・高等学校。新校舎には、2教室分のスペースの自習室、多目的の理科室、コンピュータ教室、カフェテリア、トレーニングルームなど最新の設備が整い、グラウンドも全面人工芝へと生まれ変わる。大掛かりなリニューアルだが、工期中も在校生は、現校舎でこれまで通りの生活を送ることかできる。

 「自習室は下校時間より少し長めに使えるようにしたい。進路指導教員や、近隣の大学に在学中のOBにも声をかけて、講師として常駐させたいですね」と目を輝かせるのは、着任2年目の中田秀夫校長。教頭時代から現在も、日々教壇に立つ現役の生物教師でもある。

 「高校の新学習指導要領で、理科が必修3科目となり、物理・生物・化学のどの科目も使える理科教室が必要でした。授業の流れもずっと良くなりますよ」

 中田校長の学校改革のもと、平成22年度の高3から文系理系ともに新設した「国公立クラス」が今春卒業、目覚ましい結果を残した。近年の国公立大学の現役合格は、平成20年度の20人が最高。今春は26人と躍進した。中田校長は、表情を引き締めたまま、「まだまだです」と一括した後、こう続けた。

 「精鋭の国公立文系クラスの生徒は、食らい付きが非常に良い。でもそれは教師がアレコレやらせているからではない。生徒のやる気や気迫は、本人たちが作り出している空気なんです」

 特に英数は、知識量の手ごたえのある、文科省検定外の高レベルの教科書を使用しており、高校の内容の一部を中学で学ぶ「単元別先取り授業」も行う。が、中田校長は、「テキストやプリント類の質が良いからといって、生徒の"やる気スイッチ"がオンに入るわけではない」と言い切る。心身が目まぐるしく成長し、扱いも難しい思春期の男の子たち。一体何が、彼らの闘争心に火をつけるのだろうか。

教員総出で挑む"原石"探し

 中田校長は、中学での成績が下から2番目だった生徒を、高1で担当したことがある。高3で物理の上位者クラスに入り、東京工業大学に現役合格。成城では珍しいことではないという。

 「中高6年間の男子の成長は幅があるので、伸びしろに期待が持てるんです。『だらしなくてダメだ』と言われている生徒を観察すると、実は頭が良い子だと気付いたり。思考が面白い子、ひらめきがキラリと光る子を見つけるのは本当に楽しい。『石ころに見えても、磨けば実は宝石』という生徒と、彼らのスイッチの入る場所・タイミングを教員たちは鵜の目鷹の目で探しています。スイッチが入れば男子は変わることを我々は経験から熟知しています」と語る中田校長は本当に楽しそうだ。「アイツは本当は頭が良いから、どうにかしよう」と教師に思わせる生徒たちは、まず別のことに興味を持っていて、勉強しない。そういう生徒には、早いうちから三者面談を頻繁に行い、生活習慣を改めるよう積極的に働きかける。おだてたり叱ったり諭したり、教師と約束をさせたり。保護者にも家庭での対応を具体的に指示する。校長にゲーム機器を預けた生徒は、1年で生活習慣が変わり、現役で旧帝大に合格した。

 生徒に深くかかわる教師自身にも、厳しさが求められるのは言うまでもない。

 「男子は、相手がどれくらい優秀か判断して距離を測るので、彼らに認められないと授業が務まりません」

 教員の授業能力が厳しく測られるのが、希望者対象の夏期・冬期進学講習だ。

 「日々努力して、実力のある先生の進学講習には、生徒が山のように集まります。予備校の先生よりもウチの先生のほうが良い、と聞くと嬉しいですね」

 上質な知的感動を受けた生徒たちは、休み時間も自分たちで勉強するようになるという。中1・2までは教科担当による指名制の補習があるが、中3では「もっと勉強したい」生徒のために、発展レベルの補習クラスを設けている。

マネジメントできる
ジェネラリストを養成する

 取材当日は成城祭もたけなわ。「師親会」(PTA)が主催するカフェで、在校生の保護者たちに話を聞いた。

 「同じ先生方が中高6年間を担当するので、息子のすべてを熟知している。男の子の扱い方をすごくよく知っていて、『こうしたら、こう出る』という展開の二つ三つ先まで読んで対応してくれるので本当にありがたい(PTA会長)」

 「学外活動の際は、現地集合・解散。近くて新宿駅、遠いときは強羅。親の送り迎えは禁止されているので、中1のときから子どもは地図を頭に描き、自主行動するよう訓練されます。子離れ・親離れの一歩ですね(PTA副会長)」

 校名の由来である『詩経』の文言、「哲夫成城―哲夫ハ城ヲ成ス(知徳の優れた男子は国を築く)」の言葉通り、企業のトップで活躍するOBは多い。「マネジメントできるジェネラリスト」を輩出する使命感が成城にはある。

 「常にイノベーションし、新機軸を生み出さねばならない時代。ジェネラリストであり続けるためには、広範囲の分野の基礎知識を、特に中学でしっかりと身に付けておきたい。またマネジメントするには、人間関係力を身に付けることも大切です」

 家庭学習は、習慣や知識の定着に留まらず、セルフコントロールのできる大人に必要な「自治自律」を目標に、教員たちにより計画的に指導される。基礎と検証の反復とシミュレーション、将来につながるタテヨコの人間関係力を獲得するため、部活動も奨励している。

 「哲夫成城」の人材育成の底力が、これほど求められている時代はない。

 
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