「愛と支援をおくります」
姉妹校からメッセージ
3月11日に発生した東日本大震災。同校は大きな被害は受けなかったものの、生徒の中には津波で家屋が全壊した者もいた。須田繁校長は非常変災時の今だからこそ、本校の教育の理念である「敬天愛人」が持つ言葉の意味を考え、その精神を日々の行動に生かしていくことが求められるという。
「『敬天愛人』とは易しい言葉で言えば、『自分一人では生きられない。自分と同様に周囲の人も大事にしていきましょう』ということです。どんなに良いことでも思っているだけではなく、言葉にして伝えたり、行動に移したりすることが大切だと感じています」
そんな思いが広がっていた同校に、オーストラリアの姉妹校・ピッツウォーター・ハウス・スクールズから激励のアルバムが届いた。手書きの寄せ書きには「あなたは一人ではありません」「千葉敬愛の生徒たちと日本人全員に幸せが訪れますように」というメッセージも書かれていた。まさに温かい心を言葉にして伝えるという行為であり、敬天愛人に通じる嬉しいプレゼントだった。
同校では昨年「国際交流部」を立ち上げ、活発に語学研修・国際交流を行っている。昨年9月にはもうひとつのオーストラリアの姉妹校であるフォレスト・ハイスクールから22人の生徒を短期留学生として受け入れた。地元・四街道市の「国際交流友の会」の協力の下、校内での交流にとどまらず、茶道や書道などの日本文化に触れたほか、ディズニーランドや鎌倉へも訪問。留学生たちは千葉国体も見学することができ、ホストファミリーの温かいもてなしもあり、大満足で帰国した。
同校が12月に修学旅行でオーストラリアを訪れた際には、フォレスト・ハイスクールを訪問。当日、大雨によりホールが浸水するなど、さまざまなトラブルが起こったにもかかわらず、フォレスト・ハイスクールは快く受け入れてくれた。その背景には、千葉敬愛が留学生を歓迎したことへの感謝の気持ちが表れていた、と須田校長は話す。
今後はピッツウォーター・ハウス・スクールズとも交換留学をする計画で、今年7月には千葉敬愛の1年生6人が短期留学に行った。今回留学した生徒は、来年、生徒たちの中心となり、ピッツ校からの留学生を迎える予定だ。千葉敬愛高等学校の生徒たちは、こうした国際交流の中から「敬天愛人」の精神は世界に通用することを学んでいる。
スクールバスを運行
幅広い地域から生徒を
県立高校の入試方法の変更に伴い、23年度から前期選抜に併願推薦を導入した千葉敬愛高等学校。
「多くの中学校の先生方から、『生徒たちが高校合格を手にしてから県立高校受験に向かうことができ、ありがたかった』という声をいただきました」と須田校長。来年度以降はこの併願推薦を定着させていくとともに「奨学生制度も活用してもらいながら、たくさんの優秀な生徒に入学していただきたい」と話す。
さらに来年4月からは勝田台駅方面からのスクールバスの運行を開始する。同校はJRと京成線が走る中間に位置し、京成線沿線の生徒は大きく迂回し、JR「四街道駅」まで来るか、京成線の駅から便数の少ない路線バスを利用する必要があった。そこで同校では、朝2便、夕方3便で365日運行するスクールバスの実施を決定。「ちょうど宇宙をワープして登校する感覚」と須田校長が話すように、生徒の時間的・体力的な負担はかなり軽くなる。
土日や長期休業中も運行するのは、部活動で学校に練習に来る生徒を応援するため。京成線周辺の中学校からは選択肢が広がったと好感触を得ている。 |
学びたい気持ちに応える
教諭研修の充実
同校では平成20年度から生徒の意識調査を実施している。これは学校生活について期待するもの、満足度等の項目について生徒にアンケートをとるもので、それによると「学校生活は勉強だけでない」という文武両道派も31.9%から38.1%と増えている一方、「学習面・進学面」を重視する生徒も32.4%から39.4%と増えていることがわかった。
そこで今年5月、学校独自による初任者研修会を実施。今年度採用した新卒教員4人を対象に、学校教育の意義から始まり、生徒指導や進路指導の現状について等、みっちり勉強する機会を設けた。
「採用させていただいた先生方は、将来、敬愛高等学校の担い手となる優秀な方ばかりです。生徒の意識が学力重視に変化しているのであれば、我々の教育活動も変えていく必要があります。生徒の期待に応えるためにも、しっかりと人材育成をしていきたい」と須田校長は語る。
今回採用されたのは「運動部の指導ができる」先生。しかも、自分たちがやってきた部活動とはあえて違うスポーツを指導している。それでも今年、ソフトテニス部が関東大会に出場。団体で3位に入賞するなど、実績を残した。「初任者研修会は、夏休み後にも実施し、今後は年間計画として位置づけたい」と須田校長。新人教員の成長に大きな期待を寄せている。
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