理系をはじめとする
大学進学実績がアップ
これまでの進学指導が定着し、着実に大学進学実績をあげている千葉商科大学付属高等学校。今年は明治、法政、東京理科大など、難関大学と呼ばれている大学への進学も、昨年を大きく上回る実績を残した。特に理系大学の合格者数は57人と著しい上昇を見せた。
遠藤行巳副校長は「生徒がよく頑張ってくれたと思います。それにとても意欲が出てきていますね。自分たちから『こういう補習がしたい』とリクエストがくるようになりました」と話す。例えば1年次で終わった教科を、センター試験対策のためにもう一度復習したいといった声が上がってきている。
「これまでの卒業生の姿を見て、頑張れば志望大学に合格できるということが見えてきているのだと思います」。教員たちも生徒の学力向上が励みとなり、指導に自信をつけているとも話す。
特進・進学クラスのある普通科だけでなく、商業科にも意欲を持って入学してくる生徒が増えている。
「千葉商科大学に進学する生徒が多いのですが、向学心が高く、他の大学でも学びたいという生徒も多くなりました」。そのため、今年の後半からは、学力アップを図る体制を作りたいと考えている。「国語」と「英語」の補習を行い、「国語」「英語」「簿記」の3教科での受験が可能な商学部、経済学部のある大学受験をサポートする考えだ。
さらに力を入れてきた簿記の補習についても、個々の生徒のレベルに合わせたクラス分けをする予定。
「簿記が得意で、2級が合格しそうな生徒と3級をやっと超えたレベルの生徒では、学びたいと思う内容が違います。同一のクラスでの指導では、どちらの生徒も満足することはできません。教員の数は倍必要にはなりますが、少人数制にして対応していきたいと考えています」と遠藤副校長は話している。
土曜授業の実施で
学習内容の定着を
同校では、24年度から週6日制を全コースで実施する。新カリキュラムも作成中で、現在は隔週の土曜授業を毎週にしていく予定だ。授業時間数が増えることで時間的な余裕ができ、行事や勉強に落ち着いて取り組める。加えて遠藤副校長は「授業の体系も変わってくるのではと思っています」と話す。
「授業には3つの体系があると考えます。ひとつは『教えて覚えさせる方法』、もうひとつは『教えて考えさせる方法』。あとは『考えさせて学ぶ方法』です」
最後の「考えさせて学ぶ授業」は、これまでも総合学習を中心に行ってきたが、余裕が出てくることで、「総合学習以外の教科でも積極的に取り組めるようになる」と遠藤副校長。教える内容や生徒の状況に合わせて、この3つのパターンを一番いい形で組み合わせていくことができそうだ。
「それに何よりの利点は、毎週土曜日、定期的に授業が組めること。週をまたいでしまうと、勉強した内容を忘れしまい、もう一度教え直さなくてはならないこともあります。そうしたことをなくし、確実に学習内容を定着させていくことできる。来年はさらに授業が充実すると期待しています」 |
学びの意欲を喚起する
キャリア教育
遠藤副校長は今後の課題として、「キャリア教育」と「英語教育」に力を入れていきたいと語る。
「自分にはどういう仕事が向いているのか。他の人は自分のことをどう思っているのかなどを考える。弁護士になりたい生徒がいたら、他の職業とも比較させ、本当に自分に向いているかどうかを考えさせるなどを通して、自他の理解能力、情報収集能力、問題解決能力、コミュニケーション能力を育成したい」と、ある特定の職業に就くためだけのキャリア研究だけでは得られない、多方面からの検討を促していく。
「キャリア教育によって、社会で自分を生かせる道とは何かを模索する。目標が定まった上で勉強をするのとそうでないのとでは、意欲が違いますね。目指すものが明確になることは、落ち着いた学校生活の基盤でもあります。そうした意味でもキャリア教育は重要な意味を占めているのです」
また、高等学校の学習指導要領で、「英語の授業を英語で行うことを基本とする」となったことを受け、「英語の授業だけに限定せず、数学や理科の授業で使う単語(キャパシティー等)の用語を解説したりするなど、日常的に英語に触れる機会を増やしたい」と語る。
遠藤副校長は今年を「本校がこれまで積み上げてきた実績をもっと外部にアピールする年」と位置付けている。昨年の学校説明会では、特進コースの生徒たちが自分たちで研究したことを発表する機会を設けた。来校者の評判も良かったため、今年も引き続き実施。加えて、塾や中学校の先生方にも気軽に学校見学に来てもらえるよう、「授業公開」の日を決めて、アナウンスしたい考えだ。
「本校はいつ授業を見にきていただいても構わないのですが、それでも来にくいこともあるでしょうから、あらかじめ日にちを決め、『どうぞおいでください』と呼び掛けていきたいと思っています」
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