人格的な力量の高さと
豊かな文化を基盤とした学習
"昭和スタイル"とは、同校の特色ある教育を指す。では、これによって身に付く「グローバルな総合力」とは何か。
大泉校長はまず、縦横のつながりから生まれる「人格的な力量の高さ」、すなわち、社会で求められる人間関係力の高さを挙げる。
「本校の教育の強みはやはり、不易の全人教育。これにより、下級生は協働力を、上級生は指導力を身に付けていくのです」
縦のつながりとして、6学年の各クラス1〜2人で構成される「朋友班」や自治的な生徒会組織「光葉会」がある。「朋友班」では5年生がリーダーになり、上級生が下級生を教え導く形で、校内の美化やレクリエーションなどの活動を共にする。毎日の清掃は中学校・高等学校の校舎だけでなく、敷地内の幼稚部やグラウンド、正門、通学路にまで及び、緑あふれる学び舎は、隅々まで清潔に輝いている。
横のつながりを代表する伝統行事が、各学年の生徒と教師が、千葉県館山や神奈川県足柄の研修施設で、4泊5日の共同生活を送る「学寮研修」。勉強だけでなく、生活の作法を学んだり、茶摘みや地引網漁などの共同作業を通し、大自然の懐で心身を成長させる。
こうした全人教育は大きな感動をもたらし、生徒同士の強い絆に裏打ちされた思い出を作る。そのため、外部機関のアンケート調査で、同校の生徒の学校への帰属意識、満足度の数値が他校の平均に比べ、ずば抜けて高いという結果が出た。
次に挙げる力が、「豊かな文化を基盤とする学習」だ。例えば、同校では創立以来、予習・復習・宿題という家庭学習をふまえて、授業に臨む姿勢を大切にしてきた。
学習の機会は授業内だけではない。年10回のオリジナル漢字検定、VST(英語の語彙と構文のテスト)、朝礼時の「感話(3分間スピーチ)」は、語彙力や表現力を養う。生徒一人ひとりが、1年を通して、関心のあるテーマを追求する「私の研究」、学園祭の統一テーマに沿って、クラス単位で研究成果をまとめる「昭和祭研究」は、探求心やプレゼンテーション力、仲間との協調性、責任感などを培う。
さらに、外部検定試験も盛ん。各種コンクールに果敢に挑戦する生徒も多く、例えば、昨年度は5年生の生徒が、全日本スペイン語コンクールで優勝した。
学習面だけではなく、行事や式典に因んだ学園歌が、同校の生徒としての誇りや自覚、感性や共感を育む。
「豊かな文化を基盤に生徒たちは幅広い学力を身に付け、さらに高みへとチャレンジしていきます」
グローバルな社会で
貢献できる力
こうした伝統や文化が育む力を土台に磨かれていくのが、「グローバルな社会で貢献できる力」、すなわち、自ら発信・交流・行動する力だ。
英語で朝礼を行う「イングリッシュ・デー」、英語でミュージカルやスピーチなどの舞台発表を行う「イングリッシュ・フェスティバル」など、日々の生活や行事に、グローバルな感覚を身に付ける機会がふんだんに盛り込まれている。
その最たる機会が、2年生全員が昭和ボストンキャンパスで12日間の海外研修を行う「ザ・ボストン・ミッション」だ。生徒たちは各自のテーマごとにボストンを探索したり、現地の教師から英語の授業を受ける。また、地元の学校へ出かけて、生徒たちと交流したり、昭和ボストンキャンパスに迎えて、お茶や書道などを紹介して、日本文化を発信したりする。
今年3月の研修に同行した大泉校長は、「生徒たちは優れた適応力を発揮し、盆踊りの輪に地元の生徒たちを呼び込んでいました。いろいろな機会で自信を持ち、訓練を積んでいる昭和の生徒には、一歩を踏み出す力があると実感しました」と誇らしげだ。
普段の授業でも、英語は数学と並んで、習熟度別クラスを実施し、レベルの底上げを図る。英語の教員だけで30人以上という手厚さだ。 |
選択肢を広げ
自己実現へと導く
これら3つの力が個人の中で融合し、国際社会に通用する力として発揮されるのが、「グローバルな総合力」である。
「これだけ生徒がいれば、関心も人柄も多様です。しかし、本校の多角的な教育の中には、必ずその生徒にとってプラスになることがあります。結果として、6年間で大きく成長できるのです」と、大泉校長は自信を覗かせる。
個人の可能性を引き出す教育により、経済・法科・理工・医学系学部など、進学先も多様化。今年は新たに進路指導冊子「テレスコープ」を作成し、進路指導のさらなる充実を図る。冊子には全学年の教科の内容やポイントを掲載、目標や設計図が書き込める欄や資料もついている。生徒は早い段階から将来に目的意識を持ち、学習に取り組める。
生徒の自己実現にとって有利なのが、中高一貫校ならではのカリキュラムだ。中高6年間の学習課程を5年間で修了し、6年生はそれぞれの進学に合わせた学習に専念できる。
また、独自の「五修生制度」は大学附属校ならではのメリット。一定の条件を満たせば、高等部に在籍しながら大学の授業を聴講し、単位を取得できる。1年早く大学を卒業し、昭和女子大学大学院へ進むことも可能だ。今年度は約1割の生徒がこの制度を利用しており、同校の生徒の意識の高さがうかがえる。
昭和女子大学への推薦を得たまま、他大学を受験することもできる。5年生から豊富な選択科目が用意されており、進路に合わせてカリキュラムをオーダーメードできるのが強みだ。
「どの大学へ進むにせよ、選択肢を広げて、個が希望する進路の実現へと導いていきます。個を充実させ、心映えが美しく、社会で活躍、貢献できる能力のある女性を育てていきたいですね」
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