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中学・高校受験:学びネット

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女子聖学院 中学校高等学校

 
  豊かな「心の生活」で育まれる人間力 進学でも磨きのかかる学校に
今年4月、女子聖学院中学校高等学校の新校長として、阿部洋治校長が着任した。阿部校長は同じ法人の聖学院大学で長年教鞭を執った後、昨年から同校の副校長として1年間を過ごした。その中で、「キリスト教を土台にした教育の伝統が、豊かな"心の生活"を形成していることを改めて認識しました」と語る校長だが、取材中、豊かな"心の生活"と呼ぶ女子聖学院の日々とは一体どのようなものなのか。また、それを大学進学実績へと結びつけようとする同校の新しい取り組みについて話を伺った。

校 長: 阿部 洋治
住 所: 〒114-8574 東京都北区中里3-12-2
電 話: 03-3917-2277
交 通: JR「駒込」駅東口徒歩7分、東京メトロ南北線「駒込」駅4番出口、徒歩8分、JR京浜東北線「上中里」駅徒歩10分
学生数: 中学校 593名
高等学校 651名 (2011.07.1現在)
ホームページ: http://www.joshiseigakuin.ed.jp

 

3つの大きな翼の下で
営まれる「心の生活」

 「私は、女子聖学院とはどのような学校か知っているつもりでおりましたが、副校長として1年を過ごすうちに、ここには本当に豊かな"心の生活"がある学校だということを、驚きをもって発見したというのが実感です」と阿部校長。

 安心感や人への信頼。そうしたものが自然に生み出されてくる教育の伝統がある。その理由は、ある卒業生の言葉に象徴されている。

 「この春の卒業生が、女子聖学院は親鳥の大きな翼の下にある学校だと話してくれました。私はその翼は3つあると考えています」

 一つは礼拝において実感される神様の大きな翼。二つ目は教員の翼だ。教員は生徒を指導する際、決して押しつけをしない。厳しく指導はするが、怒鳴ったりせず、生徒自らの気付きを待っている。それはまどろっこしく思われるほどであるが、全教員の態度は一貫している。「ですから、生徒たちの心の中に、教師に対する信頼の気持ちが生まれる。だからでしょうか。生徒たちは驚くほど、お互いを認め合っています」。

 例えば、大学受験の勉強のために、早い時期に部活動をやめてしまう生徒がいても、それを揶揄する生徒はいない。お互いを尊重する個人主義が確立されているからだ。一方、運動会のように勝負にこだわる時は、一致団結して助け合って戦う。かなり勝ちを意識しているにもかかわらず、仲間に身体的な障害を持っていたり、運動が不得手な生徒がいても、彼女たちを排除するようなことはしない。こうした個人尊重と団結力が三つめの翼だ。

 「10代の一番大事な時期に、このような"心の生活"が送れることは、とても重要なことです。今、教育に期待されている人間力、コミュニケーション能力、多様な価値観への対応、問題に向き合う姿勢…。そうしたものはすべて"心の生活"の上に積み上げられるものだと私は考えています」

学校行事に全力投球
それが大学合格への道

 「このような学校ですから、私は、女子聖学院は大きな可能性を持った学校であり、今の時代に必要とされる学校だと思います。そして、もっと磨きをかけることによって、スパルタ的受験教育とは違った意味での大学進学実績があがる学校になると確信しています」と、阿部校長は意気込みを語る。

 「人間力を身に付けることと進学実績を上げることはアンチテーゼのような捉え方をされることがありますが、私は違うと思います」

 同校では卒業生が学校を訪れ、新高1生に大学受験の体験談を話す機会を設けている。ほとんどの卒業生が話すのは「学校行事、あるいはクラブ活動を一生懸命やらないと、大学には合格しない」ということだ。

 今年、ICUに合格した卒業生は、生徒会長で運動会の実行委員長だった。しかもバレーボール部の部長も兼任。忙しい中で、どう時間をやり繰りするかを考えたこの生徒は、毎日手帳に今日勉強することをメモし、できたことから線を引いて消していった。こうして部活動や学校行事の中で、集中力や向上心を高めていったことが、大学受験を乗り切る原動力となったのだ。

 また、この他の上位大学に合格した卒業生のほとんどは、運動会、記念祭(文化祭)、合唱コンクール等の学校行事やクラブ活動にも積極的に取り組んだ生徒たちであった。

 城築校長補佐は「本校の大学受験は総力戦。団体戦です」と話す。お互いを励まし合うからこそ戦えるという。今年の大学受験では明治大学に14人、医学部に4人合格と例年より進学実績を伸ばすことができた。一方で東京藝術大学にも2人合格と、上位大学を目指すだけでない自由に個性を伸ばす指導もしている。今後はそうした成果がもっと表れる仕組みを作り上げていく考えだ。

各教科で6年間の
指導目標を設定

 「自学自習のできる生徒を育てたい」という方針の下、昨年5月から始まった放課後の自習室の設置。今年はサポート面をさらに強化していく。中1では英語と数学を中心に、わからないことがあれば質問できるように教師が待機する。中2・3は英語で実施していく。

 また、昨年より中学では数学の習熟度別のクラス分けをやめた。

 「上のクラスになった生徒はいいのですが、下のクラスに割り振られた生徒は気力を失っていく。生徒間に亀裂が入るのです。中学の3年間は人間としての基礎力を身に付けていく大事な時期。高校に入ってから頑張れる基礎力・人間力を培っていくことを優先させたい」と阿部校長。

 一方、指導体制も見直していく予定だ。同校の教育理念は「賜物(たまもの)を活かす」。生徒一人ひとりが持つ賜物を見出し、それをどう社会で生かすかを考えていくものだ。その理念に基づき、同校では個々の生徒に応じた、きめ細やかな取り組みをしてきたが、それが各学年によって指導内容の違いを生むこともあった。

 「これはサッカーに例えるとわかりやすい。選手がどんなに一生懸命でも、フォーメーションがきちんとできていなければ勝てません。生徒の賜物はそれぞれであり、教師自身の賜物にも違いがあるわけですから、学年によって取り組み方が異なるということがあってもよいと思う。しかし、6年間全体をまとめるものがないと成果が出ない。ですから、その仕組みを作ることにしたいのです」

 阿部校長は「こうした教科力を伸ばす方針を掲げながら、本校はやはり『教育の本流をいく学校』という自負を感じています。本当に人間を育てるための中等教育を行う。そしてこの教育が、大学受験にもしっかり取り組める生徒を育てていくこと、これが教育の本流。勇ましい言葉になりますが、私はこれで勝負をしたい。世に問うていきたいと思います」。

 
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