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中学・高校受験:学びネット

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駒込中学校・高等学校

 
  長期的な経営戦略と個性重視の教育理念で 歩留まり率9割の人気進学校へ躍進
少子化や不況を背景に、首都圏の私立中学入学者数はこの2年間で3,800人が減少。多くの私学が定員割れを起こす中、今年度の入試で「一般受験の歩留まり率88.9%」という驚異的な数字を達成した学校がある。天台宗の教え「一隅を照らす人間の育成」を建学の精神に掲げ、329年の伝統を持つ駒込中学校・高等学校だ。歩留まり率10%が当たり前、という熾烈な競争下に、受験した生徒のほとんどが入学を決めるのはなぜか。河合孝允校長は、その根拠は「経営戦略」と「教育理念」にあると明快に語ってくれた。

校 長: 河合 孝允
住 所: 〒113-0022 東京都文京区千駄木5-6-25
電 話: 03-3828-4141(代)
交 通: 東京メトロ南北線「本駒込」駅から徒歩5分、東京メトロ千代田線「千駄木」駅から徒歩7分、都営三田線「白山」駅から徒歩7分
学生数: 中学校 252名
高等学校 1,145名 (2011.07.1現在)
ホームページ: http://www.komagome.ed.jp

 

高校入試でも
公立と戦える私学に

 河合校長は、今年度の中学入試全般を「第一志望校が"第一に入学したい学校"から"併願確約ができる学校"へと逆転したため、蓋を開けたら、第一志望で入学したはずの生徒が上位校へ流れた」と分析する。

 しかし、これを予測していた同校は違った。歩留まり率を上げるためにとった戦略のひとつが、独自の「プレテスト」だ。参加した生徒は入試の手応えをつかむことで、入学後の自分や大学進学へと夢を膨らます。「具体的な体験をさせることで、数は絞られてくるが"顧客"は増える。入試そのものの質を転換することで、入学を確保しています」。

 また、個人塾3,000塾以上とのダイレクトなネットワークも、安定した生徒獲得に結びついている。

 一方、この3年間、2月1日午前入試を中断したことで、午前の合格校ではなく、同校を選ぶ固定の第一志望層が増加。さらに、今年度の午前入試復活で、この層のW受験が増え、3年前より格段にレベルの高い生徒が入学するようになった。早期化する中学入試とは逆を行く河合校長の英断が、見事、結果を出したのである。

 高校入試においても、その決断は逆へ動いた。受験者の公立志向で、多くの私学が中学入試での生徒先取りにシフトしていく中、難関国公立大学受験を対象にしたスーパーアドバンスコースを立ち上げ、日比谷併願で募集するという、公立高校入試への対抗策を打ち出したのである。結果として、約160人もが日比谷併願で受験してきた。

 「高校から私立の募集を探しても見つからない、大手塾も中学入試のデータだけで動いているというのが現状です。しかし不況でも、中堅以上の大学へ我が子を入れるために投資したいという親は多い。私学は高校入試でも、公立のトップ校と戦っていくべき時代に入ったんです」――河合校長は熱を込める。

 中学入試に失敗しても、もう一度チャンスがある「リベンジスクール」というのが、高校入試のキャッチフレーズだ。

上位層の生徒が集まり
レベルを押し上げる

 昨年の「日能研模試」では、首都圏私学の中で、偏差値の伸び率ナンバーワンの学校へ躍進した。数年前は高校偏差値55止まりだった同校が、どうやって受験者や保護者から熱い眼差しを浴びるようになったのか。

 河合校長が最初に目指したのは、「同じ帯の人気校」だ。すると、より上位層の生徒が集まってきたため、その層を対象に、難関私立大学受験向けの「特進コース」を開設した。進学実績が出た頃に、偏差値60程度の生徒を受け入れるための「アドバンスコース」を中学・高校に新設。今春は12人もの国公立大学合格者を出すまでになった。今年度立ち上げた「スーパーアドバンスコース」は偏差値70レベルだ。

 「市場の人気を得るには、リスクを負っても、階段を一歩ずつ上がる経営戦略を持てるかにかかっている」と河合校長。レベルアップした生徒たちは、眼差しが強く、質問のレベルも高い。教員も変わらざるを得ない。無理に偏差値を上げなくても、集まってきた生徒たち自身が、学校のレベルを押し上げてくれた。

 さらに、中学・高校とも入試レベルが上がったことを受け、来年度からはコース名を「アドバンスコース」に統一し、入試を一本化する。全員がGMARCH以上をねらえる学校、という姿勢をより鮮明に押し出した。

都立トップ校ではなく
駒込が選ばれる理由

 独自の経営戦略と並んで重視するのが、私学ならではの教育理念だ。「トップ校からではなく、本校から一流大学へ進学することの意味が問われているんです」。実際、日比谷合格を辞退して、入学してきた生徒もいる。

 そんな同校が進めるのは、「オーソドックスな古き良き時代の学校づくり」。建学精神の下、心の教育を貫いてきた。核になるのは、物事の是非を自ら気付かせる「気付き教育」だ。2泊3日の「比叡山研修」をはじめ、さまざまな機会を通し、生徒はものの見方を身に付け、自己の在り方を見つめ直す。

 「自分に気付くと、他者を認める力が生まれるため、本校の生徒には他者を許容する力があります。自分も友達も誰もが尊いというのが、仏教の『唯我独尊』なのです」

 一人ひとりの個性を認め、「今のままでいい」というメッセージを受け取った生徒たちは、明るくのびのびと成長していく。

 この心の教育を21世紀型に再構築したのが、「国際理解教育」。オーストラリア・ニュージーランド高校留学制度、シンガポール・マレーシア修学旅行など、豊富な機会で世界に通用する国際感覚を身に付けていく。

 文京区唯一の共学校として、長年自立した女性の教育に力を注いできた同校は、女子の人気も高い。河合校長がある女生徒に入学理由を尋ねると、「真四角に干された雑巾にならなくて済むと思いました」という実にユニークな答えが返ってきた。

 進学保障と個性重視という明確なメッセージが、こうした飛行力、思考力を備えた子どもたちを引き付けるのだ。同校の躍進は、私学にとってのビジョンの大切さの証明に他ならない。

 
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