学校は生徒が主役!
学習環境をより快適に
「気持ちの上では快適性、居住性では日本一の学校。設計の段階からそうした意気込みで構想を練りました」。そう話すのは石倉尚事務長。
馬込キャンパスを囲む歩道には木々が植えられ、「杜の回廊」が学校全体を包み込むようつくられる。正門から玄関まで続く道には桜並木、一般の人も通行する遊歩道わきにはビオトープと、自然を身近に感じることができる環境が用意されているのも大きな特徴だ。
圧巻は玄関ロビー。1階の玄関を入ると中庭テラスまで見通せる広々とした空間が来校者を迎えてくれる。中庭は吹き抜けになっており、太陽光が降り注ぐ設計。一部には樹木や芝生も植えられる。またテーブルやイスも置かれ、生徒はそこでランチもできる。
「生徒は一日の中でも学校にいる時間が一番長い。学校は生徒が主役の舞台ですから、学習以外の場面でも生徒が快適に過ごせるよう、生徒目線で設計しました」と石倉氏。
学校全体は教室ゾーン(ホームルームクラス、エントランス、教職員室等)、体育ゾーン(体育館、プール、武道場、テニスコート、弓道場等)、芸術ゾーン(音楽室、美術室、多目的ホール、家庭科調理室等)と、学習内容別に3つのゾーンに分けられている。ゾーンニングにより、生徒はそれぞれの活動を集中して行えるようになっているのだ。
また、教室はすべて2階以上で、各階ごとにイスとテーブルが置かれたラウンジも設置。生徒が自由におしゃべりしたり、生徒と先生同士がコミュニケーションをとったりできるスペースも確保されている。
さらに太陽熱、地熱、風力、雨水など、自然のエネルギーを活用できる設備も導入される。それらで学校全体のエネルギーを賄えることはできないが、「生きた教材として活用していきたい」と石倉氏。一般の人も通行する遊歩道近くに置かれるビオトープは、理科の教師の意見も取り入れ、環境学習に役立てられるものを構想中だ。
加えて、地域住民との交流も積極的に図っていきたいと、休日には校内施設の一部を開放する方向で話し合いも始まっている。
馬込キャンパスは、今年の6月から本格的な工事がスタートし、来年の12月に竣工する予定。最寄り駅の都営浅草線「西馬込駅」から徒歩5分の立地で、周辺主要駅からのスクールバスも計画されている。
現役で行きたい
大学に送り出す
立正の教育理念は日蓮聖人の聖訓にある言葉「行学二道」。学校で学んだこと(学)を実際に行動で示すこと(行)のできる生徒を育てることが教育目標としている。
「新キャンパスになっても、これまでの教育理念は変わることなく受け継がれます。中学校では少人数制をさらに進めて、きめ細かい指導を行っていきたいですね」と石倉氏は語る。
中学課程では1クラスの人数は現行の37〜38人を25〜30人にまで絞ることも視野に入れている。また英語と数学は習熟度別の学習を行い、基礎固めに力を入れていく。
「中学生の時期はキチンとした学校生活を送ってもらうことが大事。むやみに先取りするのではなく、まずは学習環境を構築してあげることが学力の基礎になります」と石倉氏。
立正では部活動も人間形成に大切な要素として重視。多くの生徒が部活動を楽しみながら、学業と両立させている。
「部活動に参加することによって、先輩・後輩等の人間関係について学んでいく。結果として学習効果にも反映されるのです」
全国大会レベルで活躍しているゴルフ部、柔道部、水泳部、陸上部の体育部のほか、文化部では吹奏楽部などが人気。同校ではクラブ活動を紹介するパンフレットもあり、受験生に大好評だ。
さらに立正では、中学課程の1年から大学進学を見据えた特別講座、補習を無料で実施。6年になると夏期・冬期休暇中に集中講義も開講される。塾や予備校に通わず、大学合格を勝ち取る生徒も少なくない。
「私どもはごく普通のお子さんを6年間お預かりして、現役で行きたい大学に送り出すという姿勢で指導しています」。本当にその生徒に合った進路とは何かを見据えた進路指導を行っている。 |
手厚い奨学金制度で
学びたい意欲をサポート
23年度の入試では2月1、2日にそれぞれ午前と午後、7日に午前の試験を行った。24年度は変更の予定だが、第一志望の生徒がより多くチャンスを得られるようにする。今年は入学辞退者の割合が例年より少なく、その成果を上げることができた。今後はその数をもっと増やしたい考えだ。
石倉氏は「一度、本校に学校見学に来ていただけると、約8割以上が受験をしてくれます。パンフレットだけでなく、ぜひ本校に来て、生徒の姿を見てほしいですね」と語る。見学者の印象に残るのは「立正生の素直な姿勢」だ。
「当たり前のことですが、誰にでも挨拶ができる。そんな本校の生徒の姿を見て、安心される保護者の方が多いと感じています」。初めての中学受験で、「うちの子が入学してもやっていけるのか」と心配する保護者は少なくない。そんな保護者の目に、明るく学校生活を楽しんでいる立正生の姿は時に頼もしく、我が子とオーバーラップして見えるという。
また、同校は5種類の就学金制度があり、家庭状況が急変し、就学困難になっても柔軟に対応する。入学成績優秀者、成績優秀者、体育・文化活動の成績による者のほかに、経済的な理由で通学困難と認められた場合には、次年度の学費は1年免除される。さらに立正大学に進学する者のうち、成績優秀者は大学1年次の学費も免除される。
新キャンパスへの期待がますます膨らむ立正中学校・高等学校。完成・移転後はさらに注目を集めそうだ。
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