広い敷地に新校舎建設
4年後には再び白山へ
「諸学の基礎は哲学にあり」を教育理念に掲げている京北中学校・高等学校。これを提唱した学祖・井上円了は東洋大学の創設者でもある。来年4月同校の法人である「学校法人京北学園」は「学校法人東洋大学」になり、学校設置者が変わる。川合正校長は「東洋大学と法人合併したことにより、経営的な側面から本校の教育変革を支援していただくことになりました」と語る。
教育変革でまず注目されるのは、新校舎の建設だ。老朽化していた校舎は新しく建て替えられる。来年4月に東洋大学赤羽台新校地(北区赤羽)に一時移転。現在の学校跡地には東洋大学白山第2キャンパスが入る。
そして、東洋大学第2キャンパスだったところ(文京区白山)に同校の新校舎を建設。校舎の完成する平成27年に戻ってくる予定だ。敷地面積は現在の2.5倍になり、のびのびとした落ち着いた学習環境が確保される。
一方、教育面でも大きな見直しを図る。「これまで本校の特色であった『面倒見の良さ』と『親身な指導』を残しつつ、志望大学へ進学を果たせるよう、受験体制を見直していきます」と川合校長。すでに受験5教科の教員研修が始まっており、東洋大学の附属校である姫路高等学校や牛久高等学校とも教員研修を行い、互いに刺激を受けつつ、高め合っていきたいと考えている。
さらに東洋大学は、板橋区清水町に大規模な運動施設を建設中。完成すれば、その運動施設も利用することが可能になる。バスケット部、体操部、レスリング部など全国レベルの活躍で知られる運動部を持つ同校だが、東洋大学と施設が共有できることにより、野球部やサッカー部など、広いスペースを必要とする部活動も活発になりそうだ。
全員がセンター受験へ
新コーススタート
改革はハード面だけではない。来年度からはコース制も新しくなる。これまでは高校からだった特進コースが中学1年から「一貫特進コース」としてスタート。このコースでは、中学校で学ぶ内容は中3半ばで修了。高3では志望大学合格を目指し、演習中心の学習が可能になるよう、カリキュラムが変更された。
さらに高校では「特進コース」と「進学コース」にコース名を変更。「特進コース」は国公立・難関私大を目指せるよう内容を強化。「進学コース」では豊富な指定校推薦枠を生かしつつも、まずは一般受験で突破できる力を身に付けるシラバス・カリキュラムを刷新した。
「全員が日東駒専、さらにMARCHレベル以上を受験するような体制を目指しています」と高校副校長の野中政廣先生。進学コースは運動部の全国大会で活躍する生徒も多いが、「スポーツでも勉強でも全国レベルを目指せるようになってほしい。現在でも部活と勉強を両立させ、筑波・慶応義塾大学に合格する生徒もいます」と話す。
そうした生徒をバックアップするための具体策についても検討されている。
東洋大学には国際地域学部があり、留学生も多い。川合校長は「学部訪問などを積極的に行い、特に英語力が高められるようにしていきたい」と語る。同校の掲げる「国際時代を生き抜くための人材育成」の基礎を固めたい考えだ。
また現在東大、千葉大の学生がチューターとして授業に入っているが、今後はそれをさらに強化。放課後の補講でもチューター制を取り入れていく。さらにWEBの活用も検討中。家庭学習を促すため、テキストをWEBで配信。自分の苦手な科目も自学自習できるよう調整を進めている。 |
この他に学校内予備校の構想もある。外部から専門家の講師を呼び、放課後や長期休暇中に開校する予定だ。川合校長は「生徒だけでなく教師も一緒に学べる場であってほしい」と、教師と生徒が一丸となって学べる機会をつくりたいと語る。
教育理念の原点に戻る
生きる力の育成を
このような大変革により生まれ変わろうとしている同校だが、改革の根底にあるのは、学祖である井上円了の教え「諸学の基礎は哲学にあり」だと話す川合校長。混迷する経済状況、就職難など、さまざまな問題を抱える現代だからこそ、その教えに回帰する意味があると言う。
「哲学とはものを考え、行動するための基本です。本校の創設は明治時代。その頃の日本は激動の時代にありました。そんな時代だったからこそ、井上円了先生は『大衆に本物の教育をしなければいけない』と学校をつくりました。その当時からの考え『自分で生きていける力』、『情報に惑わされず判断する力』の育成は、現代にあってこそ最も必要なことではないでしょうか」と川合校長。
この教育理念の具現化のため、新生“京北中学校・高等学校”はさらなる飛躍を目指している。
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