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中学・高校受験:学びネット

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東北工業大学高等学校

 
  生活指導・学力・地域連携で 宮城県随一の私立高校を目指す
学校改革に取り組み、生徒・教員とも目覚ましい変化を遂げている東北工業大学高等学校。今年4月に久力誠校長が就任。宮城県立佐沼高校で国公立合格者を3年で倍増の74人にした実績と、22年度入試で倍率15倍という驚異的な数値をたたき出した仙台二華中学校・高等学校をつくりあげた久力校長の手腕に多くの注目が集まっている。目指すは「宮城県随一の私立高校」。その実現に邁進する久力校長に今後の展望を聞いた。

校 長: 久力 誠
住 所: 〒982-0836 宮城県仙台市太白区八木山松波町5番1号
電 話: 022-305-2120(入試広報室)
交 通: JR「仙台」駅西口バスプールから11番(市営バス)緑ヶ丘三丁目行、八木山南団地行、動物公園循環。12番(宮城交通バス)八木山動物公園経由長町駅行、いずれも「八木山神社前」下車徒歩3分
学生数: 1,056名 (2010.07.1現在)
ホームページ: http://www.tohtech-h.ed.jp

 

朝読書ではじまる
落ち着いた一日

 東北工業大学高等学校では、4年前に矢吹隆志前校長が着任して以来、大々的に学校改革を推し進めてきた。久力誠校長は「基本的な改革方針は変えず、矢吹前校長が植えてくれた改革のタネを大事に育て、形にしていきたいと考えています」と話す。最初に取り組んだのは、日々の学校生活の積み重ねをきっちりと行うことだった。

 徹底したのは一日のスタートとなるHR前の朝読書。今年は新年度が始まる前に生徒全員が読む本を決めた。本を忘れた生徒には新聞の切り抜きが用意されている。遅刻した生徒は教室には入れない。入らせないのではなく、ガラガラと扉を開ける音で静かな環境を壊さないため、別室で本を読むように指導される。担任も教室で一緒に読むほか、廊下で生徒指導をしている教員もその場で読書。

 「静かな時を共有し、心を学校モードに切り替える。授業へスッと入っていけるようになりました。それに読書は本との出会いですから、続けていけば心が育っていきます」と久力校長。4月からスタートしたこの取り組みは、始めたその日から大成功。これにより遅刻者が激減した。

パンケーキにDJ!?
大好評の出前授業

 同時に力を入れているのは授業研究だ。久力校長は昨年、学校法人の参与という立場で学校運営をサポート。ほぼ全員の教員の授業を見て、その後、授業のねらいや課題について話し合いを重ねてきた。

 昨年、地元中学から出前授業を依頼されたときは、数学、理科、工業(電子科)を担当する3人の教員とアイデアを練り合った。「高校の内容をそのままやっても面白くない。中学生が興味を持つような道具立てをしないと。それに電子科は本校の特色。すべてをかけてやりなさいと激励しました」
こうしてできた電子科の授業は「音を形にしてみせる」授業。使ったのはマイケル・ジャクソンのレコードだ。CDは人間の耳に届く波長だけを使っているが、レコードは違う。DJのように盤面をスクラッチし、CDとレコードの音の波長の違いをオシロスコープで見せた。理科は牛乳パックに電流を流してのパンケーキ作り。焼き上がるにつれ、電流が流れなくなる秘密を解き明かした。数学では1から100までの数字を書いた横断幕を教室に張り、その合計を出す計算方法から数の法則を考えた。いずれも生徒の目を引きつけ、「なぜ?」と思わせる仕掛けが秀逸。その後、他の学校からも出前授業のリクエストがきた。

 「手前味噌ですが、授業研究は県内で一番進んでいるのでは、と自負しています」と久力校長。

 今年になって、法人・東北工業大学・高校の三者による「東北工業大学高等学校 将来構想審議会」が発足した。大学の副学長や各学部長らと高校教員が一体となり、高校の質を上げていくとともに、大学の魅力も高めていけるような新しい学校像の創出を目指す。

 久力校長は、「私立に来て、本当に良かったと思ってもらえる学校にしたいと夢を持っています。忘れていけないのは、改革はあくまでも生徒のためということ。生徒の姿をよく見て、何が必要かを検討していきたいと思っています」。

全員が東北工業大学
一般入試合格レベルに

 朝読書に始まる生活指導、活発な授業研究の成果として、「学校全体が引き締まってきました」と語る久力校長。それには部活動も大きな役割を果たしている。

 これまで工大高校といえば、空手・レスリングが象徴だったが、新たな流れが起きている。昨年、野球部監督に就任した角晃司先生は「アマチュア球界きっての指導者」と言われた人物だ。そして今年、東北高校サッカー部監督だった大森貞夫先生がサッカー部監督に就任。今年サッカー部には50人が入部。野球部も60人が在籍と、生徒から熱い支持を受けている。

 「この二人の監督の薫陶を受けた生徒は、以前と全く変わりました。とにかくビシッとしています。今年の体育祭は生徒主導で行いましたが、ルールを守って全力を尽くす、スポーツマンシップが発揮されました。私も最後の講評では、心から生徒を褒めました」と久力校長は嬉しそうだ。文化部でも吹奏楽部が東北大会に進む実績をあげているほか、自然科学部は久力校長が所属する生物学の学会で発表するなど、活発に活動している。また、からくりロボット研究部は全国大会出場の常連である。

 学力向上については「全員、東北工大一般入試レベルを目指す」という具体的な目標を掲げている。推薦枠があり、毎年多くの生徒が同大学に進学するが、今年は推薦の生徒も一般入試問題をやってもらい、合格ラインに達していなければ、卒業する3月31日まで責任をもってフォローする予定だ。

 その予備段階として、今年の入学生から国・数・英の3教科で「小・中学校の内容の学び直し」もスタート。こうした一つひとつの積み重ねを大事にしながら、学力の底上げを図っていく。

地域に飛び出し
「お助けマン」に

 以前から夏休みに冷房の効いた校舎を小・中学生に開放、一般の人も参加できる授業公開など開かれた学校づくりを行ってきた同校。今年は一歩進めて、地域の「お助けマン」になろうという計画が持ち上がっている。

 同校の電子科電気工事士コースでは、卒業と同時に「第二種電気工事士」免許が取得でき、在学中に第一種の試験に合格する生徒もいる。そこで、電気工事士の免許を持つ教師と生徒が地域に飛び出し、「コンセントが壊れた」などの高齢者の悩みを解消しようと動き出したのだ。

 「自分たちの学んでいることは、社会で役に立つということを生徒は実感してくれることでしょう。今後は生活指導、学力、地域連携の3つの観点での学校づくりを目指していきたいですね」と久力校長は語った。

 
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