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中学・高校受験:学びネット

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和洋国府台女子中学校・高等学校

 
  見て、触って、やってみて、五感で体得! 自ら考え行動する力を育む理科教育
創立以来、60年余「実験学習を重んじる」という教育方針を貫いてきた和洋国府台女子中学校・高等学校。全教科で、体験型学習や対話型の授業に工夫を凝らしている。特に、実験・観察をふんだんに取り入れた理科教育は、同校の教育方針を最もよく表した伝統の教育だ。「理科離れ」が叫ばれる前から続けられ、実績を積み重ねてきた。実験・観察が子どもたちのどんな力を育てるのか、授業の現場から最新レポート!

校 長: 高橋 那昌
住 所: 中学校 〒272-0834 千葉県市川高等学校 〒272-8533 千葉県市川市国府台2-3-1市国分4-20-1
電 話: 中学校 047‐374‐0111
高等学校 047‐371‐1120
交 通: 中学校 JR総武線「市川」駅・JR常磐線「松戸」駅・京成線「市川真間」駅・北総線「北国分」駅からスクールバス/高等学校 京成線「国府台」駅から徒歩8分、JR総武線「市川」駅から京成バス約8分・JR常磐線「松戸」駅から京成バス約20分・北総線「矢切」駅から京成バス約7分、いずれも「和洋女子大学前」下車
学生数: 中学校  787名
高等学校 1,950名 (2010.07.1現在)
ホームページ: http://www.wayokonodai.ed.jp

 

仲間と協力し合い
楽しみながら学ぶ中学生

 「マイナスはどっち?」「この線もつなげよう」「オッケー」──中学2年生の理科Tの実験の最中、理科室のあちこちからにぎやかな声が聞こえてくる。行われているのは、家電製品の抵抗を調べるための実験。電流計などの実験用具を使って回路を作り、つないだ家電製品の電流を計測、その数値から抵抗の大きさを調べる。

 授業の冒頭、まず教員が実験の手順を説明。後方の生徒が十分に理解できるよう、細かい作業は映像で説明する。実験・観察の内容によっては、ハンディカメラや顕微鏡カメラをモニターにつなげ、教師の手元が全員によく見えるように心がけている。

 その後、生徒はラジカセなどの家電製品を選んで各班へ運び、実験を開始した。中には電子レンジなど重い家電もあったが、生徒たちは協力して素早くテーブルに運んでくる。わからないことがあると、即座に大きな声で質問。どの生徒も実験に積極的で、作業を楽しんでいる様子だ。抵抗を求めるときには、先に計算を終えた生徒が悩んでいる生徒に教え、グループで肩を並べて取り組む姿が微笑ましかった。

 実験助手として各班を回っているのは、同校を卒業した現役の和洋女子大生。中学校の実験では毎回、卒業生1人が助手につくが、生徒たちの未来を想像させる頼もしい存在だ。

複雑な装置も手際良く
自主性を増した高校生

 次に取材したのは高校1年生の化学の実験。塩化銅水溶液を蒸留し、水だけを取り出すというものだ。

 中学校同様、教員が手順を説明してから実験に移ったが、生徒たちの動きが格段に速い。冷却器やフラスコなどの器具を複雑に組み合わせ、蒸留装置を手際よく組み立てていく。教員は「自分たちで試行錯誤しながらやってください」と伝えて、なるべく手を貸さないが、生徒たちも教員を頼らない。同校の実験では、器具の組み立てから、どうしたらうまくいくかを自分たちで考え、行動する学習態度を大切にしている。

 もちろん、安全には細心の注意を払っている。時折、教員から「立ってやりなさい」という鋭い声が飛ぶ。薬品が目に入ることや転倒したガスバーナーで顔を怪我するのを防止するためだ。また、中学校では白衣着用が必須、高校では白衣かエプロンを着用する。

 生徒の顔つきも真剣そのもの。慎重な手つきでガスバーナーに火を付け、蒸留を開始した。「垂れてきた!」「すごい!」──冷却器の中を伝って無色透明の液体が流れ出すと、生徒たちから歓声があがった。ここで教員は「何が出てきた?」と問いかける。「沸騰した温度が100度だから…」の声に、生徒たちは元気よく「水!」。その後、硝酸銀を使って、水だけが得られたのかを確かめ、生徒たちは蒸留の仕組みをよく理解した様子だ。

“理科好き”を育て
理系への進学率も上昇

 同校では、中学1、2年生で週4時間の理科の授業のうち、2時間を実験・観察に充てている。1年生で年間約30テーマ、2年生で約40テーマの実験・観察を実施しており、生徒はこの時期に理科の楽しさを存分に味わう。

 「見て、触って、匂いを嗅いで体得してほしい。6年間の初期にそうした環境をしっかり整えることで、“理科好き”になってもらおうという方針です」と話すのは、本城敬造理科主任。「“理科好き”とは、身近なものに疑問を見つけられる好奇心を持つということ。理科の仮説・実験、検証というプロセスの実感が、自ら考え、行動する力につながります」

 この時期の実験・観察には、ブタの心臓やアジの解剖も含まれている。授業後はレポートを提出し、実験の現象から原因や結果を考察する仕組みだが、アジの解剖後に提出されたレポートには、「人間との違いがわかった」「最初は気持ち悪かったけど、やったら楽しかった」など、発見の喜びに満ちた感想が目立った。

 また、近所の池で渡り鳥を観察したり、校内の植物を分解し、観察に使うなど、豊かな自然環境が理科をより身近にしている。さらに中学校では、夏に海辺の生物を観察する臨海実習を神奈川県観音崎で実施、毎回定員を上回る人気を集めている。

 中学3年生からは大学入試を意識した授業に移行するため、回数こそ減るものの、遺伝子組み換え実験(高3)など、実験の内容はより高度に。6年間の学びは将来、さまざまな場面で通用する力を蓄える。「大学の志望理由書などを読むと、論理的な思考ができるようになったと感じます。考察力・分析力、情報収集力なども同時に身に付いてきます」と本城主任。

 再就職に有利な薬剤師や看護師、管理栄養士などの資格取得を推奨してきた同校。最近は薬学・農学分野の根強い人気に加え、理系進学率が伸びるなど、理科教育は進学面でも大きな成果を出している。高2のクラス分けで、文系が7割を占める中、一昨年は薬学部だけで20人もの合格者を出した。

 一昨年から、推薦入試に頼らず、一般入試へ全力投球する方向へシフトした同校。理科教育が育んだ自分で考え行動する力は、生徒の未来を大きく切り拓いていく。

 
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