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中学・高校受験:学びネット

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東京純心女子中学校・高等学校

 
  高校が募集停止、完全中高一貫校に 純心エデュケーショナルデザイン2010が始動
来春から高校の募集を停止し、完全なる中高一貫校を宣言した東京純心女子中学校・高等学校。同時に6年後の進路目標を数値化して発表した。カトリックのミッションスクールとしての建学理念を堅持しながら、より積極的な進学指導を行っていく方針を明確にした。今年度から中3段階で主要3教科の授業時数を増やすなど、カリキュラムの再編を実施。基礎学力を徹底して鍛え、数値目標達成に強い意欲を見せている。

校 長: 岩崎 淳子
住 所: 〒192-0011 東京都八王子市滝山町2-600
電 話: 042-691-1345
交 通: 京王線「京王八王子」駅、JR中央線「八王子」駅北口より西東京バス(戸吹、杏林大学、純心女子学園行き)乗車「純心女子学園」下車
学生数: 中学校  388名
高等学校 397名 (2010.07.1現在)
ホームページ: http://www.t-junshin.ac.jp/jhs/

 

6年後の目標
明確に示す

 朝8時。JR八王子駅前からバスで東京純心女子中学校・高等学校に向かう。登校時間とあって、バス停には純心生のずらりと整列した姿が見られる。乗車中は読書をする生徒が多く、おしなべて行儀が良い。カトリック精神をベースに他者へのまなざしを忘れない「こころの教育」と、綿密な学習設計による「知の教育」を実践している学校だ。

 これまで長く高等学校から入学する生徒を受け入れてきたが、来春からはこれを停止し、中高一貫生のみの募集を行っていく方針。併せて、新カリキュラム「純心エデュケーショナルデザイン2010」をスタートさせ、6年間の教育スパンを生かした進路の実現に力を入れる。

 新カリキュラムは、@英数国の主要3教科の授業時数の増加 A習熟度別授業クラスのさらなる細分化 B図書館とのコラボレーションによる教科学習の深化 C多様な進路に対応する選択制モデルプランの4本の柱からなる。

 すでに授業時数については、今年度より中1において、数学1を増やし、段階的に中2・中3で増やしていく。また、これまでも行われてきた習熟度別授業は、全学年の英語、数学でさらに細分化し、中3の古典と高1、高2の選択授業でも導入することとした。「わからない授業をただ一斉に聞いているというのは無駄。きめ細かな一人ひとりの生徒にあった授業の提供で、わかる楽しい授業を進める」と岩崎淳子校長。

 図書館とのコラボ学習は、同校の取り組みの中でも注目を集めている学習形態だ。特に国語、社会、芸術系教科で、担当教諭が学習を深める助けとなる資料の検索を司書に求め、司書はそれらを整え、一括して生徒に提供するというもの。このような取り組みに対する関心は高く、全国から教育関係者が視察に訪れている。

 選択制モデルプランは高2、高3を対象としたカリキュラムで、7つのモデルにより進路別教科を選択するというもの。プランは「国公立文系」、「国公立理系」、「国公立芸術系」、「私立文系」、「私立理系」、「私立芸術系」、そして「準理系(看護・医療・家政・保健等)」に分類されている。

 これら新カリキュラムにより、6年後の進学実績を飛躍させると岩崎校長は数値目標を示した。その内容は、最難関国公立大学に15、早慶上智に30、GMARCHと3大女子大に80、看護、保健、芸術、体育系大学に15、合計140人の合格者を実数で出すというもの。期待と注目の中、カリキュラムの一部はすでに始まっている。

こころを育む研修と授業

 全校生徒が中高一貫生となることで、6年間をいかに緊張感をもって送るかという課題にも対処するため、これまで高1で行われてきた海外研修を、期間を2週間に短縮して中3で行うこととした。研修先のオーストラリアのシドニー、ブリスベーンの学校にはすでに岩崎校長が視察に訪れ、現地生徒との交流を多く盛り込んだプログラムの検討が進められている。

 研修ではほかに高1で「純心のルーツを訪ねる長崎研修旅行」が実施されている。同校発祥の地で、創立者であるシスター江角ヤスの想いをたどるとともに、原爆を体験したお年寄りが演じる劇を鑑賞するなど、純心ならではのプログラムが組まれている。岩崎校長は「100歳近いお年寄りが、実体験を劇で表現してくださるのを観て、生徒はしっかりと日常を生きなくてはという気持ちになるのです」と研修旅行の意義を語る。

 長崎研修旅行は宗教科の学習の一環として、「こころの教育」を目的として行われているが、もうひとつ「労作」という授業もこころを育む同校独自の取り組みである。作物を自らの手で育て、収穫したものを食し、命のつながりから生き方そのものに至るまでを学んでいる。大根やジャガイモ、陸稲などを育て、収穫後は漬物を作ったり、餅つきをしたりと展開型の体験学習の一面も担っている。これまで各学年で取り組んできたが、新カリキュラムでは、中3次に週1時間実施されることになった。

日々の積み重ねで
知とこころを併せ育む

 取材当日はスポーツ大会に向けて朝練が行われており、生徒たちの元気な声援がグラウンドに響いていた。大会当日は、赤、ブルー、黄色などの学年のチームカラーを身に付けた保護者が応援に訪れるという。親子の結びつきの希薄さが指摘される昨今だが、学校行事を介し、生徒と保護者のさわやかで密な関係を垣間見ることができる。岩崎校長が話したある保護者のエピソード。その方から「私が悩んでいるとき、娘から聖書のある部分を読むことを勧められました」と聞かされたとき、岩崎校長は日頃、こころの持ち方について啓発していることが生きていると感じ、満ち足りた気分になったという。

 「知の教育」と「こころの教育」。二つを両立させることは使命でありながら、どちらも一朝一夕になせるものではない。創立以来の変わらぬ方針と積み重ね、そして6年を通じた着実な実践により、やっと小さな結晶を生むものであることを、改めて気付かせてくれる学校である。

 
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