質の高い生徒を確保する
受験しやすい入試スタイル
2010年度入試では、中学校の募集定員200名に受験者1,190人、高等学校の定員130名に884人の受験者を集めた。
「厳しい昨今ですが、おかげさまで受験者数・倍率は、昨年とほぼ変わりませんでした。ただ、中学校ではチャレンジ受験の層が減ってきています。確実に青稜に入れる、あるいは、それ以上の学力を持ったお子さんの受験が増えています。その中で人数が絞られますから、必然的に合格者の平均学力が高くなってきています」と生徒募集対策部長は分析する。
青稜中学校の入試は5回実施のうち、4回は2科・4科の選択。得意教科で受験できるので、受験生には選択肢が広がり、選びやすい、受けやすい私立中学としてイメージが定着しつつある。
それは高等学校でも同じだ。青稜高等学校の入試では「併願優遇入試」のシステムを一部実施。一定の内申の成績を上回っている場合、受験生は一般試験の結果を含めて、総合的に判断され、公立高校発表の翌日まで入学手続きを延期できるシステムだ。青稜では、他の私立高校とバッティングしないように2月12日を受験日に設定。公立のみならず、他の私立との併願も受け入れる形を取っている。そして学校側の攻めの姿勢として、2010年度の併願優遇入試では、内申の成績基準を上げた。これにより、高等学校のほうでも例年より学力の高い入学者を確保し、中高共に入学生のレベルの底上げが行われる結果となった。
「レベルが上がったとはいえ、本校はまだまだ発展途中の学校だと思っています。でも6年間なり3年間、本校で勉強すれば、上位校の生徒と同レベルの大学を目指すことができます」と生徒募集対策部長は、控えめながら確かな自信をのぞかせた。
合格実績の躍進を支える
手厚い指導と面倒見の良さ
2010年の主な大学合格実績は、国公立30人、早慶上智50人、東京理科大・ICU18人、MARCH175人。MARCH合格者は、昨年から59人増加。東大は2年連続現役合格、特に早稲田大学は、昨年の8人から31人へ、ほぼ4倍の合格者数を出した。
「MARCHレベルで妥協せずに、早慶上智を目指す生徒が多くなってきています」と生徒募集対策部長。
青稜のパンフレットでは、大学合格者数の実績とともに目標数も毎年必ず公開している。「無謀ではなく、可能性のある数字です。進路指導部がその年の入学者のレベルを細かく分析して、3年後・6年後の目標実績を出しています。全体的には毎年ほぼ達成していますし、学校説明会でも『全校をあげてサポートします』と保護者に伝えています」。2010年は、国公立は達成できなかったものの、早慶上智・MARCHは目標数を大きく上回った。
現役合格率約80%を誇る青稜の教育方針を、生徒募集対策部長はこう説明する。「手厚い指導につきますね。達成すべき合格目標に向けて、教員たちも高い意識で取り組んでいますし、基本的に毎日の授業を受けていれば、MARCHレベルに合格できるくらいの学力はつきます」。特に中学での面倒見の良さは徹底している。英語の授業は少人数制、数学は習熟度別クラス編成。授業以外にも、塾に行く必要がないほどのさまざまな講習(放課後講習、夏・冬・春の長期休暇講習など)、英語早朝学習を実施。月曜日の放課後の「質問の日」は、生徒が理解できるまで、教員はとことん付き合う。授業の担当以外の先生にも質問できるので、教科の苦手を作らない環境を整えている。
手厚いサポートを受けて、中学生のうちに自宅学習2時間という生活リズムが作られる。高校では2年生で3年間の学習内容をほぼすべて終え、高3では希望の大学受験に備えて、科目を選択する個別カリキュラムとなる。受験科目を中心とした選択科目の多くは習熟度別。そのほか、各種講座の充実ぶりは「高3になっても予備校に通わずに済んだ」という卒業生もいるほどだ。 |
多彩な人間関係の中で
バランスの良い人間形成を
青稜高等学校から入学した生徒と内部進学生は、高2で混合クラスとなる。
「ご父兄にもよく質問されます。『内部生だけで、6年間育てたほうが良いのでは?』と。でも、外部生は受験を経験して入ってきますから、内部生には刺激になり、気合いを入れ直す良い機会になるんです。また、違ったタイプの人間と出会うことも人間形成の上で大事なことだと本校では考えています」と生徒募集対策部長は語る。
人間形成の柱となっているのが、八ヶ岳の施設「青蘭寮」での研修だ。新入生オリエンテーションでは、集団生活のマナーを体得する。「食事の仕方や風呂の入り方など細かく指導します。そして時間厳守。『5分前集合』が原則です」と生徒募集対策部長。豊かな自然の中での山歩きやスキー教室、勉強合宿や、英語漬けのサマースクールなど、数多くの研修を通して、生徒たちはかけがえのない友情を築いていく。青蘭寮は卒業生にも予約制で開放されている。
「長期休暇になると『寮を借りていいですか?』とOBやOGが母校を訪ねてきます。昔の仲間たちと楽しみたいようですが、青蘭寮を通して、卒業生とのお付き合いが続いているのも嬉しいことです」と生徒募集対策部長は目を細める。
毎年高まる人気と入学者のレベル。入り口から出口まで、勉強から生活まで、生徒を温かく見守るサポート体制は、今後もさらに改善を重ねていくという。青稜を選んでくれた生徒の力を引き出すために――学校の挑戦は続く。
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