生徒の3割が「塾の先生に相談」
「塾の先生に紹介されて入学するケースがここ数年増えています。特に他高校からの転入生の3割強は、何らかの形で塾の先生に相談しているようです」と話すのは市川匡史学院長。
不登校でも個別塾に通い、勉強を続けている生徒は多い。そんな中学生が塾の先生から紹介してもらい、入学するケースが増えているのだ。
また自ら同校に赴き、熱心に説明を受ける先生もいる。生徒の将来を考えると、個別指導をしてはいるものの、集団の中で生活できるようになったほうがいいと考えているからだ。
「本校の説明を聞くと『こういう学校があったのか。これなら社会に出ても何とかなる』と思っていただけるようです。塾の先生方は生徒との信頼関係が築けていると感じていますね」と市川先生。
また、不登校の生徒は塾の先生との結び付きが強いことから、塾からの問い合わせにも積極的に対応している。そうしたことからもサポート校の認知度をさらに上げていきたいと考えている。
出席日数が少なくても 留年なく3年で卒業
同校は週5日、9時30分に登校。朝のラッシュアワーを避けて通学できる。制服や校則もあり、ごく一般の高校生と同じスタイルだ。
特徴として、出席日数が少なくても留年しないこと。系列の通信制高校と連携し、週1日からの登校でも単位取得ができるよう指導している。
「生徒の多くは、『また不登校になったらどうしよう』と不安に思っています。生徒一人ひとりの状況に合わせ、午後から登校するなど、無理のないところから始めるようにしています。現在では生徒の約80%が週5日元気に登校しています」と市川先生。
それでも、ふとしたことから学校に来られなくなることもある。同校では一日休んだだけでも保護者と連絡を取る。迅速な対応で長期欠席を未然に防ぐとともに、保護者の不安もいち早く解消するための配慮だ。
「いたずらに生徒を甘やかすのではなく、小さなハードルでもいいから確実に飛べるようにしていきたいと思っています。本校では髪型や服装なども厳しく指導しています。サポート校=自由な学校ではなく、情緒が安定するまでの間の配慮は必要ですが、本来やらなくてはいけないことはきちんとやるのも大切です」
できることから始めることで、着実なステップアップを図る。それは学習面においても同じだ。
1年次は習熟度別のクラス編成となり、得意不得意の差が出やすい英語と数学はホームルームクラスと別のレベル分けがされている。他の教科でも遅れている生徒にはわかるところから丁寧に教えてくれる。
午前の授業は共通科目、午後は選択科目になっており、生徒自身が25もの授業から好きなものを選べる。「アニメ」「パソコン」「バスケット」「ギター」などの他、大学進学の必要な科目を履修することもできる。
同校は年に約50人もの転入生が随時入ってくる。教師も早く溶け込めるように指導を行っているが、「入学時から在籍している生徒がよく声がけをしてくれます」と市川先生は語る。「自分と同じ思いをした生徒の気持ちがわかるのだと思います。上手にクラスに溶け込めるようにしてくれています」
転入生の中には進学校から来た生徒、スポーツ推薦で高校に入った生徒もいる。そうした生徒の中にはリーダーシップを発揮し、他の生徒を引っ張る存在にもなっている。
「自分の通っている学校には難関大学に合格できる生徒もいれば、スポーツで活躍する生徒もいる。そう思えることで、在校生に明るい話題を提供してくれています」
高校生活でつまずき、不安を抱えてしまっても、東京文理には温かく迎えてくれる先生や友人がいる。さらに活躍できるステージも用意されているのだ。 |
高い大学進学意識
AO入試など柔軟に対応
近年、生徒の大学進学意識が高まっている。大学進学については、一般入試を希望する生徒には2年次から進学クラスを設け、一般推薦(通信制高校において所定の成績を収めた生徒に受験資格あり)や指定校推薦枠を使うこともできる。早稲田や上智など有名私大に合格する生徒も出ている。
「無理に有名大学を目指しているわけではありませんが、生徒の行きたい大学に進ませてあげたいですね。サポート校だから高望みはできないと思われることがないよう、我々も努力したいと思っています。本校は真面目な生徒が多い。心を強く持てるようになると、勉強にも集中でき、いい結果が出ています」
一般入試の他、AO入試も利用すれば、大学進学へのチャンスは大きく開かれる。同校では卒業後でも悩みごとがあれば相談に乗ってくれるから安心だ。
たとえ不登校になっても大学進学ができる。もう一度真剣に勉強をしたい中学・高校生にとって、東京文理は力強いサポーターとなってくれるだろう。
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