研究のための話し合いも
発表もすべて英語のイベント
「K‐SEP」とは、「Kyoei Summer English Program」の略で、同校が提唱する英語教育の方針「リスニング力やディベートの力を養成する」ための体験プログラム。カナダから来日した大学生がリーダーとなって、さまざまなテーマで研究を行い、映画、人形劇、アニメなどの手法で作品にまとめる。それを最終日に発表するものだ。研究のためのコミュニケーションはすべて英語で、生徒は英語漬けの10日間を過ごすことになる。
昨年より内容を充実させるため、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで合宿が行われている。今年は7月8日からスタートし、合宿を経て7月17日、同校の多目的ホールで発表会が行われた。
「今年は新型インフルエンザの影響があり、開催が危ぶまれましたが、例年通り開催できて、本当に嬉しく思います」と宇野禎弘教頭。
発表会の会場には、3年生の他に保護者や2年生も集まった。2年生は来年、自分たちが「K‐SEP」を行うとあって、興味津々だ。
13グループが10日間の成果を披露
今年は全13グループがエントリー。最初はハロウィンについて調べたグループが、かわいい衣装をつけて登場。ハロウィンについて会話形式で紹介しながら、最後はダンスで締めくくった。次に登場したのは、授業中に居眠りをし、夢の中でカナダに行き、アイスホッケーやナイアガラの滝に行くという映画。ナイアガラの滝の水飛沫がかかる場面に客席からは笑いが起こった。
次は、カナダの大学生の一日を紹介するショートムービー。次も4人の共栄生がカナダに行き、さまざまな体験をする話を人形劇で表現。生徒の個性が表れた人形に、オリジナリティーが感じられた。
美しい絵画を研究したのは、「7人の有名な画家たちについて」と題して発表をしたグループ。自分が取り上げたい画家の絵を模写。パワーポイントで原画と模写した絵を並べて映し出し、画家について、流暢な英語で解説を行った。生徒が絵を描くという斬新なアイデアが光っていた。
「High School Horizon」を題し、自分たちのプロフィールや校舎や先生方を紹介したグループでは、スライドショーを使用。軽快な音楽にのって、実際にページをめくるように変わる画面が面白かった。
日本とカナダの文化について比較した発表では、お互いの国の国旗や国の面積、四季の様子、人気のスポーツ、食べ物、有名人などを紹介。カナダのポピュラーな飲み物はホットチョコレートやジンジャーエール、有名人は俳優のジム・キャリーや歌手のアヴリル・ラヴィーン等、生徒にとって身近なものが映し出された。
カナダに行った話を映画にしたグループでは、川下りやキャンプ、気球など、自然豊かなカナダならではの体験をフィルムにまとめた。同じようにカナダのことを紹介するにも、「あなたの知らないカナダ」と題して、ゲームショー形式で楽しく紹介したグループもあった。カテゴリーを「famous people」「sports」「geography」「culture」「animals」と5つに分け、100、200、300ポイントのクイズを用意。親しみやすいプレゼンテーションとなった。
個性的だったのは「The Three Samurai」と題したスライドショー。江戸を目指す3人の侍が、旅先で出会った娘のために浮世絵を取り戻すという、全編英語のサムライムービーだ。ナレーターの女子生徒も浴衣で登場するなど、日本文化を英語で表現する内容に大きな拍手が送られた。
今回、完成度の高さで出色の出来だったのが、「The Japanese Crane's Trip to Canada」と題したアニメーション。登場するのは、すべて生徒が作った折り紙の動物たち。日本から折鶴が旅立ち、カナダのいろいろな場所で動物たちと出会うストーリーが、落ち着いたクラシック音楽をバックに紹介された。客席からは「よくできてる」「すごいね」の声が上がり、今日一番の拍手となった。
次に登場したのは、「Amazing Canada」というニュースリポートをしたグループ。カナダの歴史から始まり、2010年にバンクーバーで開催予定の冬季オリンピックについても解説された。最後は冬のカナダのスポーツについての発表。アイスホッケーやスノーモービル、日本では2段だが、カナダでは3段重ねという、雪だるまについても紹介された。 |
今後の課題は楽しんでプレゼンを行うこと
すべての発表が終わると、フェアウエルパーティーが行われた。今までお世話になったカナダの先生たちに代表の生徒からお礼の言葉が述べられ、プレゼントを贈呈。また、お礼の歌を3年生全員で合唱した。中には、歌いながら涙ぐんでしまう生徒もいた。
「どのチームも短い期間にもかかわらず、アイデア・調査・構成力が素晴らしかったと思います。発表会において残念だったことは、元気がないチームがあったこと。聞いてもらおう、見てもらおうというのがプレゼンテーションであり、自分たちがもっと楽しんでやっている面を出したほうが、よりよくなるでしょう」と、宇野教頭。
「お互いの協力で作品が出来上がったことは、これからの学校生活での自信にもつながります。大学生の先生方以外にも、多くの人の支えでこのプログラムが実施できていることを忘れずに、こうしたプログラムに参加してほしいと思います」と締めくくった。
|