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中学・高校受験:学びネット

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二松學舍大学附属高等学校

 
  論語で育む豊かな人間性 課外授業充実で難関大学に挑戦
夏目漱石をはじめ多くの著名人が学んだ二松學舍大学附属高等学校は、知行合一、温故知新を建学の精神として、豊かな人間性を育むことをスクールモットーとしている。併設大学と連携した授業や課外授業の充実で、国公立大や難関大への合格者を増やすべく改革が始まった。全国でも珍しく、国語の授業とは別に「論語」の授業を3年間通して行い、人としてあるべき姿、他者に対する思いやりの心を育てている。

校 長: 橋本 喜一
住 所: 〒102-0074 東京都千代田区九段南2-1-32
電 話: 03-3261-9288
交 通: 東京メトロ「九段下」駅2番出口より徒歩7分/JR「市ヶ谷」、東京メトロ「飯田橋」駅より徒歩15分/東京メトロ「半蔵門」駅より徒歩12分
学生数: 779名 (2009.09.1現在)
ホームページ: http://www.nishogakusha-highschool.ac.jp/

 

建学理念を継承し外部の声を聴く

 1877年、漢学者であり、かつ、法曹界の重鎮であった三島中洲によって「漢学塾二松學舍」として創立された私塾は、後に専門学校を経て大学へと発展、二松學舍大学と改称する。唐詩選、皇朝史略から孟子、史記、論語までを学んだ当時の学生の中には、夏目漱石、中江兆民、犬養毅、平塚雷鳥など著名人が名を連ねる。

 新時代を担う人材育成を目指した創立者がうち立てた建学の精神は、「知行合一(学ぶことは行うこと)」、「温故知新(古きを吟味し新しきを知る)」であった。その理念は130余年の時を経て、今日の二松學舍大学附属高等学校に受け継がれている。

 理念継承を具体化し実践しているのが「論語」の授業だ。全学年が週1回、国語科とは別に履修することで、他者を思いやる心をもつこと、学ぶことの意味、人としていかに生きるべきかを学んでいる。授業は国語科教員の中でも、「論語」専門の教員が担当。豊かな人間性育成のための取り組みを、漢文学習と一体化させている点が特徴である。

 高等学校としては創立61年目を迎えるが、60年を節目に改革に取り組んでいるのが橋本喜一校長だ。「入学した生徒が3年間を有意義に過ごすことはもちろん、卒業後の人生において国際社会で活躍できる人に、また、地域において一隅を照らす人になってもらいたい」と話す。「そのためには論語で国際社会に通用する『仁(博愛)』を学びとってほしい」とも。

 橋本校長は都立高校での経験から、開かれた学校づくりを就任当初から念頭に置いてきた。今年度はその方針を「学校運営連絡協議会」の発足で実現しようとしている。協議会は近隣住民や新聞記者、大学教授といった学識経験者および保護者8人からなる外部協議員と学校長、教頭、事務長などの内部協議員5人の計13人で構成される。学期ごとに開催し、学校側が外部の目から見た忌憚のない意見を聴くのがねらい。「学校というところは内部の者には見えない部分がある。耳の痛いことを言ってもらったほうがありがたい」と、新鮮な視点を学校改革に生かそうとする橋本校長。改革の一助と期待される。

チューター制導入高大連携も進む

 2年前に国公立大、難関私大への現役合格を目標にした「特進」コース(35名)を設け、4年制私大への現役合格を目指した「進学」コースと合わせた定員は250名。昨春の入試では266人が入学し、堅実さをみせている。その要因として、85%の現役合格率と教職員あげてのPR活動にあると橋本校長は分析する。

 さらに今年度からはチューター制を導入し、東大(工学部)とお茶の水女子大(文学部)の学生が週2回、生徒の質問や相談に応じる体制を整えている。「まずはチューターを通して国立大学生というものを身近に感じてもらい、大学生活の雰囲気や勉強の仕方といった受験の外枠から生徒に話をしてもらっている。2学期以降は、いよいよ受験に向けた演習を行うなど、実践的な内容に移行させていく」と橋本校長。

 受験対策としては3年生で「英語合宿(3泊4日)」を、1〜2年生では「勉強合宿(同)」を実施している。勉強に対する意欲を持たせることが狙いで始まった取り組みが、合宿から帰ってきた生徒の顔からは達成感を感じられるまでになったという。

 また、1学期と2学期の期末テスト後には、国、数、英の特別授業が行われており、対象は希望者のみだが、目的意識をもって参加する生徒は確実に増えている。

 道路を隔てて、向かい側にある併設大学、二松學舍大学との連携も始まっている。第二外国語の授業(中国語、韓国語)では同大学教員による授業が行われ、書道の授業にも21人の生徒が参加している。「漢字コース」と「かなコース」が用意されており、書道の教員免許を取りたいなど、目的を持って授業に臨む生徒もいるという。高大連携授業を選択した生徒で、将来、二松學舍大学へ入学した生徒は高大連携の授業時数が単位認定される。こうしたメリットもあって、毎年、250人のうちの25%前後の生徒が同大学へ進学している。

10年以上続く「朝読書」習慣

 着実な取り組みとして紹介したいのが、朝のホームルームの時間に続けられている「朝読書」だ。わずか10分だが、毎日、書物に触れることで、生徒の興味関心の幅を広げるのみならず、1日の始まりを心落ち着け迎える貴重な時間として10年以上続いている。生徒とともに教員もこの時間を共有し、ときに書物の推薦も行うという。

 国語科の教員は下村湖人の「論語」を、数学の教員は「零の発見」をというように高校生向けの1冊を選んでいる。橋本校長の推薦本はやはりというべきか「夏目漱石全集」である。「同調するも、批判するもよし。人生観を確立する好機ととらえて、一人の作家を系統立てて読む」ことを勧めている。こうした取り組みにも折にふれ、建学理念が垣間見えてくる。

 都心に位置し、斬新なデザインの校舎に最新の設備を整えた学校だが、そこに古きよき先人の営みを感じさせてくれる学校である。

 
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