学部を超えたゼミで社会人の基礎を育成
2008年度入試において、前年比185%アップの1万5千人強の志願者が集まった武蔵大学。2009年度は隔年現象で減少するかと思われたものの、前年比101%増と微増。引き続き高い人気を誇っている。
説明会は第一部の入試説明会、第二部の武蔵大学紹介と二部構成で行われた。第一部の冒頭、平林和幸学長の挨拶でも高倍率となった入試について言及。志願者が増えた要因として、2006年の平林学長就任当初から打ち出している武蔵大学らしさを生かした新しい取り組みだ。
「全校で約4千人規模の本学は、数の力では大規模大学に太刀打ちできません。どうしたら本学の存在意義を示すことができるのか。そこで、全学部が4年間同じキャンパスで学ぶ特長を生かし、学部間で交流しながら行うゼミができないか考えました」
こうして誕生したのがゼミの進化形「三学部横断型ゼミナール」だ。企業からの課題に対し、三学部の学生が協働して取り組む新しいタイプのゼミである。協力企業から課題が与えられると、フレーズ1として各学部が専門性を生かして調査を行う。フレーズ2では三学部合同チームにより、調査・分析結果を統合。それを企業に提案する。
三学部協働を円滑にするために、武蔵大学では独自のSNSを使用。学部の違いから、直接議論し合う時間の少なさをカバーし、活発な意見交換が行われている。経済産業省の「平成19年度産学連携による社会人基礎力の育成・評価事業」にも選ばれた。
また、平林学長は日本IBMと共同で立ち上げた「デジタル協働学基礎」の授業についても語った。これは仮想の会社を立ち上げ、企業経営を擬似体験するもの。実社会で有用なパソコンソフトスキルや問題解決能力などの習得を目的としている。
「4年間で立派な社会人に育てあげるよう、教職員一丸となって取り組んでいきたい」と平林学長は締めくくった。
高得点採点方式で優れた点を評価
続いて、西村淳子入試委員長より2010年度の入試について説明があった。
武蔵大学の一般入試では、一般方式(個別学部日程・全学部日程)・センター方式で選抜されるが、一般方式入試では、全科目・全問がオールマークシート。国語は古文が選択問題となり「現代文のみ」または「現代文と古文」が選べる(日本・東アジア比較文化学科の個別学部日程は古文必須)。また、全学部日程入試は一回の試験で、すべての学部・学科に出願できる。
出題方針として、高等学校教科書に準拠し、難問奇問は出さない。さらに高得点採点方式を採用。全学部日程入試では、2科目入試だが、3科目3教科で受験した場合、得点の高い2教科で合否判定するなど、受験生の優れたところを評価する方式になっている。
来年は高倍率が敬遠され、志願者数が減ると予備校は予想しているが、受験生にとっては穴場になる可能性もある。「ぜひ、チャレンジしていただきたい。入試がゴールではなく、いいスタートになれば」と西村委員長は話していた。
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予選落ちを乗り越え見事奨励賞を受賞
第二部の武蔵大学紹介では、2008年度AC公共広告CM学生賞奨励賞を受賞した、メディア社会学科2年生の3人がプレゼンテーションを行った。
まず、AC(公共広告機構)のCM作成を始めるに当たり、3人が苦心した点を説明。環境問題、たばこのポイ捨てなどは、過去の受賞作品でテーマとして取り上げられているため、見落とされがちな社会的テーマを模索。家族のコミュニケーションに的を絞り、「孤食」というキーワードを導き出した。
作品では子どもに食事の絵を描いてもらい、そこには一人で食べている姿が多いと訴え、見事奨励賞を獲得した。
大変だったことは「機材の使い方、パソコンでの編集がわからなくて大変だった」「ナレーションの文言の選び方に苦慮した」等が挙げられたが、「実践的な学習ができた」「ディスカッションにより、自分では考えられなかった新しい発想が得られた」「学外の人にも作品を観てもらえた」など、得たものは多かったという。プロジェクターを使い、堂々と発表する学生の姿にも大きな成長が感じられた。今年は大賞獲得を目指しているそうだ。
最後に山嵜学生支援センター長より、就職状況についての説明がされた。
就職難の時代にありながら、武蔵大学では2008年度の就職内定率が97%。第一志望就職率(第一志望群の企業に就職を果たしたか否か)は83.6%と、多くの学生が自分の希望する業種に就職できている。その理由は、学生一人ひとりに専任の就職相談担当者が設けられていること。担当者は所属ゼミやサークルなども把握し、きめ細かいマンツーマンの就職指導を行っている。就職率の良さは、企業にとって有能な人材を数多く輩出していることの証明。教育理念である「知の実践の融合」の成果が高く評価されている。
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