共学化に向けて
普通科と商業科を設け、一人ひとりの進路に沿ったサポートを行っている千葉商科大学付属高等学校。来春より普通科が共学になるため、早くから施設の整備や教師の研修など着々と準備が進めれてきた。
「施設は音楽室、美術室、書道室を使いやすさに重点を置いて全面リニューアルし、トイレ・更衣室なども清潔感と明るさをポイントに新設しました。今は、細かい点について教師の研修を行っているくらいで、準備はほとんど整いました」と遠藤行巳教頭は話す。
制服も決まり、女子はブレザー、男子は詰め襟だ。
「男子もブレザーにしたかったのですが、生徒たちが従来の詰め襟の方が好きだと言うので、そのままにしました。でも、襟元が窮屈でなく、着やすいデザインにしてあるんですよ」。
高大連携で大きなメリット
千葉商科大学は商経学部(商学・経済・経営)と政策情報学部があり、施設はもとより著名な教授も多い。同校は、大学と連携することで、より充実した学習環境と授業を展開している。
普通科の文系では2年次より簿記やビジネス基礎を選択することができ、数学ではパソコンが必修である。
トップレベルのIT環境を持つ大学とは光専用ケーブルで結ばれ、高速回線で情報が行き交う。高等学校の入学時にはメールアドレスが与えられ、パソコンはコンピュータ室だけでなく、各教室にも1台設置されており、自由に使用することができる。
偏差値重視から離れ、目的意識を持たせる
千葉商科大学へ進学できることが同校の大きな魅力のひとつだが、他大学進学者も3割おり、年々増える傾向にある。同校では何より大学とはどのようなことを学ぶのか、何をしたいのかなど目的意識を持つことを重視し、考える機会を数多く与えている。
「他大学とは言っても、もう偏差値で大学を選ぶような視点からは離れたいと考えています。大学もAO入試を実施しているところも多いですし、生徒たちには進路を偏差値に合わせて選ぶのではなく、しっかり夢をもって選んでもらいたい」。
そのために、1年次からエコグラムを導入することにより適性を調べたり、三者面談を行ったり、河合塾の講師を招き、進学講演会を行ったりしている。
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進路に合わせたコース制
入学時には普通科と商業科に分かれ、商業科は簿記、会計、情報処理などの資格取得のほか千葉商科大学との7年間教育を指針に指導していく。
普通科は、2年次より進路に合わせて3つのコースに分かれる。他大学進学を目指す「文系コース」と「理系コース」、そして「千葉商科大コース」だ。2年次でも進路がより明確になるよう、志望大学への見学会を行ったり、「千葉商科大コース」では、体験授業を受ける。
また大学進学で重要な英語、国語、数学の3教科は学期別習熟度授業になっており、その時の理解度に合わせて授業を受けることができる。
3年になると保健体育と公民以外はすべて主要教科の授業時間にあて、受験準備に入ることも大きな特徴だ。
ボランティアで千葉県福祉教育推進校に
「福祉教育推進校が男子校なんて珍しいですね、と驚かれました」と遠藤教頭は話すが、同校では1年次より授業などでボランティアを経験させることで、「心」を育む教育を行っている。
1年次の家庭科で学校近くにある知的障害者の福祉施設で福祉体験学習を行う。これをきっかけに、生徒の3割はボランティア委員に登録。夏休みに保育園や老人施設などで1週間のボランティアを行ったり、聾学校との手話交流会、あしなが学生街頭募金など対外的な多くのボランティア活動に全校組織で取り組んでいる。そして千葉県福祉推進校に指定され、テレビでも紹介された。
このほか「命の教育」も重視し、エイズや薬物乱用についての講座、救急指導会、交通
安全教室などを開いている。登下校時には、自転車通学の多い生徒の安全確保のために教師が駅や通学路に立つ。
これらの教育のため生徒たちは、優しく真面目なタイプが多い。
しかし、クラブ活動は非常に活発で、水泳部や卓球部は全国大会へ、ソフトテニス、軟式野球はじめ5〜6のクラブが関東大会へ出場している。
「運動部の男っぽい生徒たちが案外ボランティアに積極的に取り組んでいます。街頭募金など大声を出して、たくさん募金を集めてくるんですよ」と遠藤教頭は微笑む。
来春に向け、同校では順次説明会を開催しているが、会場には予想を大きく上回る女子の参加者が集まり、盛況である。心の優しい生徒が多い同校に女子が入り、また新しい校風ができるだろう。
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