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中学・高校受験:学びネット

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土浦日本大学中等教育学校

 
  持ち味を生かし伸ばす教育 ボーディング・スクールを通して、 6年間の友情を育む
中学校と高等学校の履修内容を6年間というタームで効率的、効果的にカリキュラムを設定できる中等教育学校が徐々に増えている。茨城県の土浦日本大学中等教育学校もそのうちの1校だ。その特色を生かして、海外でのボーディング・スクール(寄宿舎学校)を実施。言語研修はもちろん、自己の意見の確立と他者を尊重する国際理解教育を推進している。

校 長: 中川 弘
住 所: 〒300-0826 茨城県土浦市小松ヶ丘町4番46号
電 話: 029-835-3907
交 通: JR常磐線「土浦」駅より徒歩20分 スクールバス運行
学生数: 734名 (2008.09.1現在)
ホームページ: http://www.tng.ac.jp/sec-sch/

 

長期的視野で成果があがる
中等教育学校の特徴

 「言いたいことをしっかり言って、聞くべきことにこころを開く。ことばはゆきかう、国境を越えて、ことばは培う平和な地球…」。詩人・谷川俊太郎氏が作詞した校歌には、土浦日本大学中等教育学校のスクールモットーがそのまま表現されている。常に自らの意思と意見を持ち、他者の思いを尊重しながら、世界的視野で活躍できる人材の育成を目指す。

 自己の意見は自己を肯定した土台の上に確立するとの考えから、同校には生徒一人ひとりの持ち味を大切に、「規格化させずに多様な考え方を認める」教育方針が根底に流れる。個性をつぶさず活かす教育の実践は、中川弘校長のこんなエピソードからもうかがえる。

 「ある時、校内で茶髪など、生活指導上の問題点が散見されるようになり、教員の間では一気に生活指導を強化しようとする意見が出されました。私は強硬姿勢で臨むより、ひざ詰めで話し合い、生徒が納得する形での改善を目指すよう指示しました」と。何度かの葛藤はあったものの、教員の粘り強い指導に事態はほぼ改善されたという。「フリーではなくリバティを教えるには時間を要します」と中川校長。中等教育校ならではの長期的視野に立った教育が現れたひと言である。

 学習面においても、中学校卒業という区切りがない中等教育学校では、中高の学習内容の弾力的な運用が認められているため、効率的かつ効果的なカリキュラムを組めるのが特徴だ。中川校長は日大付属校の統一模試のデータをもとに、中等教育学校の学習効果について説明した。それによると、「本校の生徒は中学校卒業後、入試を迎える一般的な生徒と比較すれば、3〜4年生において、一時的に学力が及ばない時期があります。ところが、6年間の中等教育学校のカリキュラムを終えようとする時期でみれば、本校の生徒の学力はグンと向上しているのです」と、学習面での教育的効果を強調した。思春期というデリケートな発達段階に6年ワンタームの悠然とした教育実践が徐々に注目を浴びている。

国際性を磨く
ボーディング・スクール

 教師と生徒が寝食をともにしながら学ぶ寄宿舎学校をボーディング・スクールと呼ぶが、同校ではこのスタイルに基づいた海外研修を実施している。卒業時までに「国際的リーダーへの道標を形成する」ことを目指し、これまで、1年、3年、5年生において、イギリスのケンブリッジやアメリカのボストンで実施されてきた。一般的な語学研修と異なる点は、各回においてテーマを決め、実施学年の前学年で事前学習を行い、帰国後に総まとめとしての事後学習を行うことにある。現在、6年間で2回の実施へと見直しを進めている。

 例えば、5年生のボストンでのボーディング・スクールでは、週末にニューヨークを訪れ、グラウンドゼロ、国連に行き、世界平和について考えるプログラムが組まれているが、生徒たちはその事前学習として4年生で広島を訪れ、原子力爆弾の脅威に対する理解を深めるとともに平和学習を行っているのである。さらに、東海村の原子力研究機関から招いた講師の話を聴くなど、原子力に対する多角的な知識を深めている。

 一つのボーディング・スクールの学習効果を高めるために、事前・事後学習の充実を図り、時間をかけて一つのテーマを総合的に学習する方法がとられているのだ。22日間のボストンでのボーディング・スクールは、午前中に英語の授業が、午後はその他の教科の授業が行われるが、時には校外学習が用意されており、現地で見聞を広める時間も十分のようだ。国際理解教育に総合的学習の側面をプラスしたカリキュラムといえる。

 ボーディング・スクールは生徒全員が参加するプログラムであり、学校全体として日常的に英語力の向上に力を入れていることは言うまでもない。中川校長は「なるべく恥ずかしがらずに英語を話す機会を増やしたい」と、職員室への入室から退室までは、原則英語で用件を伝えるようにしたり、校内各室の表示板はすべて英語表記にするなど徹底した雰囲気づくりがなされている。

尊重から生まれる未来

 取材時は校長室に数多くのノートが積まれていた。聞くと中川校長自ら道徳の授業を受け持っているが、ノートはその時間に生徒が聞いた校長講話に対する感想が書かれているのだという。中川校長はこれらすべてのノートに目を通し、コメントを書き入れていく。「一定の考えを押し付けない、物事は多面的で、人の考え方や意見もさまざまで、それを互いに尊重する気風を育てていきたい」との思いは、同校の教育理念「3つのリスペクト」そのものだ。

 自分自身の可能性を信じつつ、日々の努力を怠らないRespect for yourself、自分以外の人やものに敬意を払い、理解しようとするRespect for others、環境の大切さを認識し、広い視野で世界を見つめるRespect for the environment。

 今春初めて1〜6年生の全学年が揃い、芽吹いたばかりの新しい学校の今後に注目したい。

 
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