特進選抜コース導入で
国公立大現役合格者増を目指す
2009年度の受験より、現在の「特進コース」「国際コミュニケーションコース」「文理コース」の3コース制から、「特進選抜コース」「特進コース」と「総合進学コース」の新3コース制に生まれ変わる東洋高等学校。特進コースでは主に国公立を中心とした進学への対応を、総合進学コースでは多様な目標のニーズに応えられる、幅広く深い知識と学力を育成していくことになる。さらに特進コースの中から成績優秀者を選抜した特進選抜コースでは、首都圏の最高レベル国公立大学への現役進学を目指していく。
「特進選抜コースへの入学希望者は、特進コースへの願書提出時に、『選抜コース希望』を明記してもらいます。推薦入試単願受験生は、適性検査の結果次第では入学を優遇されますが、選抜コースに入れるかどうかは成績次第であり、コースの合格ラインに達しなかった生徒には、特進コースとして学ぶ道が残されています」
そう語るのは高橋徹入試広報主任。
選抜コースは大学入試センター試験に合わせた5教科7科目の授業の充実や、現役東大生によるサポート、週6日制、長期休暇中講習の充実と、工夫を凝らしたカリキュラムなどを整え、来年度のコース変更へ対応したシステムが次々と採られている。もちろん、選抜コースだけでなく、特進コース全体からも、成績優秀者には率先して国公立大学へ挑戦するよう呼びかけるつもりである。
「国公立大学は私立大学と異なり、一人一校しか受験できません。さらに各大学の競争率は4〜5倍という状況があり、数字の上で現役合格生を40人以上輩出するためには、国公立に対応した指導方針で、育成した生徒が200人近く受験する必要があります。そして、できればその全員が現役合格できるよう導くのが、来年度から選抜コースを受け入れる東洋高校の使命と考えています」
すでに昨年度の受験生より、国際コミュニケーションコースの生徒募集は中止されており、現1年生は、来年度に向けてのプレクラスの形で現在勉強を進めている。また、現在の2年、3年でもさまざまな取り組みが行われており、その中から効果をあげたものを選択して、来年度からのカリキュラムを作成する予定となっている。
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プレクラスとなる現1年でも
特進全員国公立受験へ対応
今年度の現役国公立受験者数は282人中58人。その中で合格したのは13人である。昨年度まで、毎年400人近い生徒の中の2〜3人だったことを思えば、非常に高い数字といえるだろう。今年度の1年生は、この卒業生を育成した学年担当団が受け持つ学年であり、すでに国際コースの募集を停止して、2コースのみでのクラス編成を行うなど、プレ特進・総合進学コースとして動き始めており、他学年への良い刺激となっている。高橋先生も、この学年団を構成する高い指導力を持つ教師の一人である。
「元々、東洋高校は文系・理系に分けた指導を行う印象の強い高校です。これをあえて分けることなく、全員が5教科7科目で充分な力を付け、国公立受験に対応していくという当たり前のことを始めるだけ。現2年生の特進コースが偏差値平均60以上という高い数字を出していますので、この状況を見ながら、さらに改善した内容の授業を1年生に行っています」
各学年ごとに現在の学習到達度を図るスタディチャージを年数回にわたって行っているが、今年の1年は、現段階で現役国公立合格を狙える生徒が130人以上いるという結果が出ている。これは、中学での基礎基本を身に付けたハイレベルの成績を持つ生徒が高い割合で存在することを示している。
「確かに現2、3年生のレベルは高く、特進コースで国公立を狙える生徒も少なくありません。しかし、生徒の多くは私立受験対応の授業を受けているため、全科目受験となるセンター試験で高得点を狙えない状況です。現1年生はこの事態を避けるため、2年進学時に文系・理系に分かれても、5教科7科目対応授業の体制は変化させないつもりです」
ただし、学年が進むごとに、成績上昇組と挫折組の2極に分かれていく危険性も含んでいる。この2極化阻止のため、導入を予定されているのが、核となるクラス編成。現在5クラスある特進コースの中から、成績の高い生徒を集めたクラスを選抜、文系・理系で各1クラスずつ分け、学年全体の意識向上につないで、全員が良い状態のまま受験期を迎えさせることが、1年学年団の目標となっている。
「クラブ活動ではインターハイ出場を果たしたクラブをはじめ、多くの部が活気づいています。この勢いを授業にも持ち込み、体力、成績ともにしっかりした力が付く学校と言われるよう、頑張りたいですね」
また、現在の2年は、英数国の3教科に関して必修の土曜講習を開講。1年は必修ではないが、現役東大生による土曜講座が実施されている。いずれ、この両者の良い部分を総合し、東大生をメイン講師ではなくチューターとして迎え、複数名による授業を行うという企画案も立てられており、これからの大きな変化が期待される学校である。
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