5年一貫教育で技術を極め
専門職や大学進学を目指す
静かで緑の多い風景に、整然とした新興住宅地が並ぶ多摩境駅。そこより徒歩10分ぐらいの距離に、斬新なデザインのホールが特徴的なサレジオ工業高等専門学校がある。移転して4年目、広く明るい環境で、学生は各々の希望する研究を続けている。
サレジオ高専をはじめとする高等専門学校は、普通高校とは異なり、大学や短期大学と同じ高等教育機関に属する。5年間一貫教育で即戦力となる技術者を育成するため、就職率は非常に高いが、さらに勉強を続け、研究を極めたい学生には、大学進学(3年次への編入)の道も開かれている。なかでもサレジオ高専では、毎年平均して7割程度の卒業生が就職を希望、100%の就職率を誇る一方、一般科目(英数国)に割く時間もあるため、多くの大学から研究技術と高度な知識を持つ人材として重視。進学時には受験ではなく、5年間の研究や論文が入学対象評価になる。千葉大学や武蔵野美術大学といった難関国私立大学に進学したり、大学院で博士課程を修了する実力者も少なくない。また、サレジオでもっと学びたいという学生には専攻科も設けられており、卒業後の審査に合格すれば学士が得られ、国公私立大学大学院への進学をしている。
学生は受験時に、デザイン工学科・電気工学科・機械電子工学科・情報工学科の4科目から進路を選択。特に女子学生比率の高いデザイン工学科は、他高専にはないサレジオ高専独特の学科であり、他学科の学生もデザインセンスを持ったエンジニアになってほしいとのこと。もちろん他の学科でも、授業外の時間も使ってさまざまな試行錯誤を重ねるプロジェクト活動では、〈遊び心あふれる作品〉で、2007年NHKロボットコンテストのロボコン大賞を受賞し、鳥人間コンテストでも高実績を残している。また、ネット環境やハード・ソフト両方に対応、情報管理のできるデザイナーや、情報システムやメディアを理解し、プログラミングを学ぶなど、どの学科も各々の特徴を持っている。
こういった科目を後押しするさまざまな設備が十分に整ったサレジオ高専への入学希望者は、日本全国に広がっている。地方からの入学希望者には、男子・女子各々の寮が整備されており、実際に熊本や新潟、秋田といった遠方に実家を持つ学生が入寮して、勉学に励んでいる。
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心に寄り添う教育で
人間性豊かな技術者を育成
サレジオ高専の創立者ドン・ボスコは、学生たちにとって、教師が常に身近に感じられるような教育『アシステンツァ』を目指しており、その意志は、現在も同じく教育の基盤に根付いている。現在、その意志を受け継いでいる小島知博校長は、40代の若さながら教師の厳しさと神父の優しさの両面を持ち、『教師は心から学生たちに寄り添い、知識だけでなく、精神面でのバックアップをいつでも行うような立場であるべき』との見解から、校長という繁忙職と兼任して、毎週8時間の授業を受け持っている。
「校長という立場でも悩みや不満の声を聞けるよう、できるだけ学生の側で人間的な成長を導きたいのです」
小島校長の語るように、ミッションスクールであるサレジオ高専では、人間育成も大切な教育のひとつ。16歳からスタートする5年間の教育期間では、卒業時にはほとんどの学生が成人を迎えていることになる。卒業と同時に良き社会人として社会から認められるには、自らの考えで行動し、その行為に責任を持てる人間でなければならず、そのための心の教育や、仲間とのコミュニケーション能力の指導も、サレジオ高専の特徴だ。
一方、海外交流も積極的に行われている。カトリック修道会・サレジオ会系の学校は、全世界に1,700以上、高等教育機関だけで20ヵ国54ヵ所がある。このため、ニュージーランド語学研修やオーストラリアホームステイ、ヨーロッパ研修旅行などは、同じサレジオ系の学校と行うことができ、安全・安心な渡航が可能。言語や文化の異なる風土に触れ、広い視野と考えを持つことができると好評である。
こうして人間性・技術ともに磨いた学生は、4年生になると、インターンシップと呼ばれる企業実習や大学との共同研究・オープンキャンパスで、外部社会に飛び込む。その評価は高く、中にはこの段階で認められ、就職内定をもらってくる者もいるほどだ。
「理科や数学、技術に興味を持ち、将来は理系大学進学や技術系企業就職を考えている中学生は、ぜひ一度来校し、自分の目でサレジオ高専を見ていただきたい。パンフレットでは表現しきれない良さを必ず実感してもらえます」
現在、日本トップクラスの企業からオファーが多数あり、今後もその数は増え続けると予想されるサレジオ高専。普通高校では手にできないものを得られる進路として、多くの受験生から注目が集まっている。
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