埼玉栄中学・高等学校は今年、中学校第9回目、高等学校第37回目の入学式を迎えた。中高ともに毎年多くの志願者を集める人気校だけに、入試を突破した新入生たちは晴れやかな表情で校門をくぐった。中学生は入学式の前に、記念館で家族と一緒に記念撮影。新しい門出の喜びをフィルムに焼き付けた。
そしていよいよ入学式。式場の総合体育館に、中学と高校を合わせて800名を超える新入生たちが緊張した面持ちで整列した。
入学式は国歌斉唱の後、入学許可が行われた。新入生は教職員や来賓・保護者らが見守る中、担任の先生から一人ずつ名前を呼び上げられると、「はい」という元気な声とともに次々と起立。佐藤栄太郎校長より入学許可を受けた。
続いて、佐藤校長が式辞を述べた。最初に同校の建学の精神である『人間是宝』の教えに触れ、「皆さん一人ひとりが本校にとっての宝であり、ご両親にとっても宝です。将来は国の宝ともなる。その誇りを胸に、勉学に精進してもらいたい」と呼びかけた。さらに、新入生にお願いしたい「三つのこと」として、校訓である『今日学べ』の実践と「けじめをつけること」「高い志を持つこと」を挙げ、目標を立てて、日々着実に努力することの大切さをわかりやすい言葉で説いた。そして最後に、「誰でも努力次第で立派な人間になれる。このことを今日のよき日に心にしっかりと記憶して、明るくたくましく学んでいただきたい」と激励した。新入生は背筋を伸ばし、真摯な表情で佐藤校長の言葉に聞き入っていた。
来賓祝辞や祝電披露の後、式典は新入生代表による「新入生誓いのことば」へと続いた。
中学新入生代表は、スーパーセレクトクラスの関根拓巳君。堂々と大きな声で「私たち新入生一同は、今日から本校の建学の精神『人間是宝』をいつも心にとどめ、校訓の『今日学べ』を胸に刻み、勉強にスポーツに精一杯努力します」と力強く宣誓した。
続いて、高校新入生代表の普通科・竹本真梨子さんと保健体育科・高野欣也君が声を合わせ、「本校は大学進学の実績をはじめ、日本はもとより国際的に活動している部活動など、数限りない栄光の足跡があります。私たちも先輩方に負けないように、『文武技芸』四道の活気ある本校で、守るべきこと、すべきことのけじめをつけ、何事にも一生懸命挑戦していきたいと思います」と誓いのことばを述べた。
最後に、中学・高校それぞれの校歌を声高らかに斉唱し、合同入学式を終了した。
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地に足をつけて伸びる
埼玉栄中学校は今年118名の新入生を迎えた。この数字は、昨年、一昨年と200名を超えていたのと比較するとかなり少ない。入試広報センター長の本間一行先生は「今年からは学則定員の120名を守りながら、レベルアップを図ろうという考えです」と説明する。
同校は開校4年後の2004年度入試より専願入試を廃止、入試改革を実施した。それ以降、高校の進学実績の上昇と比例するように受験者数が増え続けてきた。今年は3,569名の出願に対して実受験者数は過去最高の3,074名。入学者数を絞り込むために昨年よりも基準点を上げたところ、競争率は2倍を超えた。来年の春には、校門から3分の距離にJR川越線の新駅「西大宮」駅が開業することから、今年以上の厳しい入試となりそうだ。
本間先生は、同校が生徒・保護者の人気を集めている大きな要因として、「中堅校の割に進学率がよい」ことを挙げる。つまり、偏差値からみると入りやすいが、入学後に学力の伸びが期待できる学校というわけだ。
実際に過去3回の卒業生は、入試改革前の生徒たちであったが、埼玉大や早稲田・東京理科大・中央・青山学院など難関大学に合格を果たしている。入試改革後は、入学生の学力レベルが大きくアップしている。そのため、2年後は進学実績が飛躍的に伸びると予想されている。
「国公立大学合格者は15ないし20名を数えるでしょう」と本間先生は自信を見せる。
ただし、同校は進学一辺倒の学校ではない。部活や学校生活をエンジョイしながら、最終的にセンター試験の5教科7科目に対応する教育が行われている。
「上へ上へとつま先立ちで頑張っても安定感がありません。両足で踏ん張っている子は伸びしろがあります」。
保護者の支えも大きい。今年も新入生の保護者の7割は、何度も学校説明会に足を運んでくれた人たちで、教育方針を十分に理解したうえで入学を決めている。子どもに教員や公務員などの職に就いてもらいたいと願う人が多いという。
本間先生も「中堅校として私たちがすべきことは、子どもの将来を考えて指導すること」と話す。
地に足のついた一歩一歩着実に伸ばしていく教育は、保護者のニーズに応えるものとして、これからも人気を集めていくことだろう。
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