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中学・高校受験:学びネット

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帝京中学校・高等学校

 
  中学入試で2年連続最高倍率更新 改革断行後の安定と「面倒見」が要因
機能的で最新の設備、メンタルケアを含めた生活指導など、学習環境の整備に力を注いできた帝京中学校が、2年連続で3割近い受験者数の伸びを見せている。“お家芸”といわれる野球、サッカーといった部活動がもたらす知名度を契機として、入学後の面倒見の良さを決め手に受験校に選んでいるのが要因と同校は見ている。効果的な教科指導を中心に、伝統と新風を織り交ぜ、機に応じた学校運営が見られる学校である。

校 長: 金野 眞行
住 所: 〒173-8555 東京都板橋区稲荷台27-1
電 話: 03-3963-6383(中学校)
03−3963−4711(高等学校)
交 通: JR埼京線「十条」駅から徒歩12分 / 都営三田線「板橋本町」から徒歩8分
学生数: 中学校  374名
高等学校 966名 (2008.05.1現在)
ホームページ: http://www.teikyo.ed.jp/

 

新入生と保護者へ 行事を通じた配慮

4月、新入生を迎え、学校が最も活気と緊張に包まれる季節、帝京中学校・高等学校では恒例のオリエンテーション合宿が行われる。特に、初めて地元を離れ、新しい環境に飛びこんでくる中学生にとっては、合宿とそれに続く行事が緊張をほぐし、スムーズに学校生活に溶け込んでゆくために、なくてはならないステップとなっている。

4月半ば、中学1年生は2泊3日で、福島県東白川郡棚倉にある研修施設での合宿に入る。グループで周辺の雄大な自然をハイキングしたり、食材の準備から火おこし、後片付けまでを協力して体験するバーベキューは、仲間意識を育て、互いの交流を深めていくねらいがある。

合宿の翌週には、親子で参加する「炊き出し訓練」が、日本赤十字社東京都支部および災害ボランティアの協力を得て実施される。この行事は本来、災害時を想定した炊き出しや救急法を体験するために催されてきたが、4月に親子で参加することで、同学年の保護者相互の交流やクラス全体の雰囲気を感じ取ることができると保護者に好評のようだ。炊き出しと同じ日に保護者会も開催されるが、ここに保護者間交流が一気に促進されるようにとの学校側の配慮がみられるのである。

最近、入学直後に学校が生徒間交流のみならず、保護者間の相互交流や理解の助けになる催しを実施する学校は増える傾向だ。教育目標の達成に家庭の協力、理解が重要なのは当然だが、保護者間の交流が生徒の交友関係においても好影響を及ぼし、ひいてはいじめや不登校といった問題への抑止効果があると考えられているからだ。同校の金野眞行校長は「本校の保護者の皆さんは教育活動に理解があり、今年も中学校の373人の生徒全員が揃って進級進学できたことをうれしく思っている」と話す。

同校ではまた、生徒のメンタルヘルスを守る観点から、30年近く前からカウンセリングルームを開設し、週3回、専任のカウンセラーが生徒と保護者のさまざまな相談にのっている。金野校長によると、学年が上がるにつれ、交友、進路、家庭の問題などで相談が増えるという。早い段階で相談することで悩みを解消し、いわばソフト面で学習環境を整えていくことが第一の目的だが、「万一、診療が必要なケースであっても、系列の帝京病院ですぐ診療を受けられる点はメリット」と金野校長。カウンセラーは入学当初のオリエンテーション合宿に同行し、早い段階から親しみをもって生徒に接し、必要なときはいつでも相談できるよう、あらかじめ信頼関係をつくっているとも。

また、同ルームのカウンセラーは高校で心理学の授業も実施し、臨床心理学系の大学へ進学する生徒のためのガイダンスも行っているという点がユニークである。

学習、生活面の面倒見のよさ
口コミで中学受験者数伸ばす

ハード面の環境整備としては、4年前に校舎の全面建て替えを行った。これに伴い、視聴覚室などの各特別教室は最新設備を充実させ、生徒が最も長い時間を過ごす普通教室は自然採光、通風といった面でエコロジーな設計となっている。

校舎新築に際しては前校地から移転したため、周辺地域にいかに溶け込み親しんでいくかが課題でもあった。たとえ人気校であっても、学校が移転してくることに敏感にならない地域はない。この点、金野校長は移転経験のある学校を視察し、事前に配慮すべき点、クレームなどが寄せられた場合の対処法に至るまでを細かに聞き、参考にしたという。その甲斐あってか、周辺の閑静な住宅街にすっかりなじんでいる。

スムーズに地元に受け入れられるための対策は、生活指導面とも密接に関連していることは言うまでもない。自転車通学のマナーを守り、制服を変形させないなど、日々の指導は生徒一人ひとりに対するしつけであるとともに、「帝京」の教育を地域に如実に発信することでもあるからだ。金野校長は「本校では生活指導、しつけ面は徹底して厳しく指導していますが、このことが教員の面倒見の良さとして、在校生の保護者に評価され、それが口コミで受験生とその保護者に伝わっているのではないか」と話す。

こうした地道な取り組みこそが、中学校入試で受験者数が2年連続3割増しとなり、結果として過去最高の倍率を記録した要因と同校は見ている。

変わる行事、変わらぬ行事
保護者の理解を得るために

以前、帝京中学校には労苦をいとわず、学級通信を毎日出すという教員がいたという。日々のクラスの様子が手に取るようにわかるということで、保護者には無論、好評であっただろう。そして、この取り組みがきっかけとなって、「学校だより」「学年便り」「保護者通信」を通じ、学校や学年での行事の様子や学期に応じた学習進度、各種アンケートや調査の結果報告、家庭生活での留意点、行事日程など、さまざまな情報を頻繁に保護者に発信している。

例えば昨年、中学2年生は秋の校外学習で宿坊を訪れ、普段、触れることのない寺院での生活の一端を体験した。午前3時半に起床し、4時10分に座禅、その後、薬膳を食し、作務を行ったが、その様子が「学校だより」によって写真入りでつぶさに伝えられている。思春期の子どもが一時的に家庭での会話が少なくなるのは仕方のないことだが、これらの通信が親子の会話の糸口を提供し、学校行事への関心を抱かせる役目を果たしているのである。

ところで、金野校長の話から同校が実施する学校行事には、毎年変わりなく実施される伝統的行事と、その学年の特徴に応じて柔軟に変化をもたせた行事があることに気づく。先に書いた入学後のオリエンテーション合宿や合唱コンクール、体育大会などは一貫して「帝京らしさ」を守りながら、校外学習や地元小学校との交流授業などは、該当する学年の様子や教員が求める学習のねらいによって、毎年行き先や実施方法がゼロベースから検討される。「教員自身が新鮮味を感じられないようでは、行事を効果的に実施できませんから、ボトムアップでやってもらっています」と金野校長。

ここ数年、ハード、ソフトの両面から学校改革を継続してきた帝京中学校・高等学校。現在、改革によりもたらされた「変化」を学校運営の中になじませ、安定させる時期にあるように見える。そうした状況は着実に受験生とその保護者に伝わり、中学校は前述のとおり、高等学校でも1年生は11クラスを有するまでの人気校の地位を占めている。今後の取り組みが楽しみな学校である。

 
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