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中学・高校受験:学びネット

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常盤木学園高等学校

 
  注目の「女子学」講座でさらに教育方針を明確化
「私たちは幸せになるために生まれてきた」。この当然のテーマを追求するために、何が必要かを考えさせることが教育であるなら、それを徹底的に実践し、わずか1年で教師、生徒の意欲、そして、外部評価までを一変させたのが、常盤木学園高等学校である。18歳までの女子を対象とした、生き方啓発講座「女子学」を導入し、マスコミの注目を浴びる同校校長をインタビューした。

校 長: 長野 雅弘
住 所: 〒980-0003 仙台市青葉区小田原4丁目3-20
電 話: 022-263-1755
交 通: JR仙台駅東口から徒歩15分、バス原町方面行き(35,36番乗場)/「常盤木学園前」下車、徒歩5分
学生数: 1026名 (2007.9.1現在)
(普通科:946名、音楽科:80名)
ホームページ: http://www.tokiwagi.ed.jp

 

18歳以下の女子のための
「女子学」に期待感

人が幸せに生きられるようにすることが、教育の本質であればあるほど、それは当然過ぎて、教育現場で問い直されることが少なくなっている。大学受験に照準を合わせるあまり、目前の目標を達成することに追われ、人生で最も輝いていられる時期に疲弊する高校生は増えている。

常盤木学園高等学校では、目標とする大学を決める前に、また、将来の職業を選択する以前に、まずは「どう生きていけば幸せになれるのか」というテーマを生徒に投げかけている。幸せになるために必要なもの、すべきことは何かを、生徒自らが日々問い直しながら、高校生活を充実させ、結果として学力の向上、進学実績の向上を現実のものとしている学校である。

同校の校長に1年前に就任したばかりの長野雅弘氏は、就任直後から学校改革というよりは、生徒と教員がともに幸せを追求できる学校を一から創り上げる意気込みで、仕事に当たってきた。これまで、中部、関西地区で女子校の立て直しを次々と手がけ、その手腕に期待して、全国の女子校から講演依頼が殺到、中には、校長職の兼務を打診してくる学校が現れるほど、女子校改革のエキスパート的存在として知られる。

その長野校長の提案で、常盤木学園において初めて実施される「女子学」なる講座がマスコミの注目を浴びている。「女子学」は18歳までの女子を対象とした、生き方啓発講座ともいうべきもので、幸せになる方法や手段を見つけるヒントに触れるための一勉強法である。

例えば、複数の男子校で「どんな女性が好きですか」とアンケートをとれば、最も多かった回答が「清潔感のある女性」であったことから、第1回目の女子学講座では、清潔感を持てるようにするにはどうすればよいかを取り上げた。そこには「見た目の清潔感」以上に「内面的な清潔感」が女性をより魅力的に輝かせるということを、生徒自身に気づかせたいという狙いがあった。

長野校長が、身の回りにいる「清潔感を持った人」について尋ねたところ、生徒からは同校の若い教諭の名が挙がったという。その教諭は運動部顧問を務め、日常はジャージ姿でいることが多いながら、一生懸命仕事に当たっていることを生徒に認めさせるだけの人物である。

「つまり見た目の清潔感もさることながら、心の清潔感、つまりカッコイイ生き方とは、目標を持って、一途に頑張っている姿であることを生徒たち自身が気づいたことは、幸せに生きるために重要なキーポイントを見つけたということ」と長野校長は生徒たちの中の“気づき”に感動する。

その後も、女子学講座はさまざまなテーマで回を重ね、その都度、生徒らが気づきによって体得した、幸せに生きるためのヒントの数々を毎回「女子学新聞」にまとめている。18歳以下の女子の“気づき”を引き出す面白い取り組みで、今後の進展が期待される。

私立は「アラカルト」の味を上げる工夫を

長野校長は、今後、ますます女性が社会のあらゆる場面で必要とされる時代であり、男女共同参画社会が進むアメリカ・ヨーロッパのように、日本でも女子のためのリベラルアーツ教育が求められるというのが、かねてからの持論である。社会は環境、福祉、子どもといった女性の知恵や感性を必要とする分野の充実が求められており、女性の社会進出への機会の平等は、今以上に保障せざるを得なくなる。そうしたときに、一人でも多くの女性が結果の平等を手にすることができるよう、大学進学後は各方面のスペシャリストを目指すとしても、高等学校までは女子に特化したジェネラリスト教育が必要との考えを強調する。

欧米では男女別学の中等教育が進むが、日本では逆に共学化が進んでいる。長野校長は「女子校を絶滅危惧種から救う唯一の方法は、女子教育を前提に、何をやっている学校なのかをはっきりさせること」と言い切る。公立は「定食屋」、私立は「アラカルト」で勝負するとの例えはわかりやすい。常盤木学園のアラカルトは「自立できる女子教育」である。経済的、精神的に自立して生きていく姿を常に意識させることで、結果として、在学中に学力が伸び、進学実績が上がってきている。このことは、同校が提供するアラカルト、つまり特色教育が成果を上げている証明に他ならないのである。

さて、アラカルトの味を上げるさまざまな取り組みの中で、生徒にではなく、教員に対する取り組みが大きな教育的効果を上げていることは、興味深い。子どもが安心して通え、授業を面白いと感じ、信頼できる学校であるためには、学校のもう一人の主役たる教員に、日々成長するための努力が求められる。

同校では授業改善講習を定期的に実施し、わかる授業を追求してきた。英語、数学、国語の授業は習熟度別クラスで行われ、無理なく個々の能力を上げていく工夫がなされている。また、定期考査ごとに、弱点克服のためのグループを編成し、目的別授業を実施するなど、必要なところに充分な手当てを行っているのが特徴だ。生徒は、授業がわかることで学ぶ楽しみを味わい、その喜びが、教員の明日への糧となって返ってくる。師弟が信頼し合えるサイクルが生徒を伸ばす鍵のようだ。

来年度入試に自信

教育方針や新たな取り組みがマスコミで紹介され、外部評価が高まっている同校だが、加えて、今春の入学者の学力レベルが、昨年に比べコース別平均偏差値で9ポイントの上昇が見られたと、来年度の募集にも自信を見せている。昨年の全コース(普通科、音楽科)の入学者平均偏差は41であったが、今年、コース別に数字を出してみると、特別進学が54、普通科が44、国際コース52、音楽科が52で、コースごとではあるが、平均すると50を越した。そして何よりも中学生・保護者、先生方が常盤木学園に好印象を持つようになったことを、長野校長は心強い要素と歓迎している。先日行われたオープンスクール入場者は1,000名を超し、一昨年の2倍近くにまで増えたことが実例としてあげられる。

各学科とコースの特徴について記せば、普通科コースは1年次からの国際コース以外に、2年次より進学コースとビジネスコースに分かれるが、進学コースでは入学時より、ほとんどの生徒の偏差値が上がる。また、ビジネスコースでは簿記、情報処理などの資格を取得しながら、経済、情報系の大学進学を目指す生徒も少なくない。

音楽科(共学)は、レッスン教室、演奏用の本格ホールなど充実した設備と、オーストリア・ウィーンへの修学旅行といった音楽科ならではのカリキュラムを組んでおり、東京芸大はじめ、全国の音楽大学は無論、海外の音楽大学へも進学者も多い。

夢や目標は各人各様であっても、友達、教員と一緒に「どう生きていけば幸せになれるのか」を常に意識した3年間を過ごす。そのことがその後の人生に、必ずや実りをもたらすと信じ、常盤木学園の実践は今後も続けられる。

 
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