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中学・高校受験:学びネット

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聖徳大学附属中学校高等学校

 
  内面を磨く礼法教育社会的認知、評価を上げる
「心の教育」が叫ばれて久しいが、その具体的方策が語られることがほとんどない教育現場にあって、聖徳大学附属中学校高等学校は、礼法によるしつけ教育を実践、社会的評価が高まっている。最初は形から入る作法も、なぜ、そうするのかという意味を繰り返し問ううちに、思いやりの心を涵養していく。女子の多様化する進学ニーズにも応えるため、進路指導体制を充実させ、大学合格実績を上げている。

校 長: 川並 芳純
住 所: 〒270-2223 千葉県松戸市秋山600
電 話: 047-392-8111
交 通: JR「松戸」駅からバス「聖徳学園行き」/JR「市川」駅からバス「聖徳学園行き」
学生数: 中学校  315名
高等学校 602名 (2007.9.1現在)
ホームページ: http://www.seitoku.jp/highschool/

 

心の教育としての礼法教育

聖徳大学附属中学校高等学校を訪れて、最初に目にした光景に、同校の教育実践を見た思いがする。というのも門から出てきた生徒が、くるりと学校を振り返り、一礼をし、下校していくからである。最初、不思議に思ったが、次々に同じ行動をとる生徒を見て、川並芳純校長に尋ねると、「珍しいかもしれませんが、本校では当たり前のこと」という。武道では試合前に一礼をし、甲子園では野球選手がグラウンドに入る際、出る際にやはり一礼をする。こうした礼法に通ずる所作は本来、日本で多く見られたものだが、今では特別な時、場所でしか行われなくなってきている――と川並校長。

今や一般週刊誌の「しつけ教育に力を入れている学校ランキング」で取り上げられるほど、同校の礼法教育は認知度を上げており、企業の人事担当者が視察に訪れるまでに高く評価されている。

実践の基本は、週1回の小笠原流礼法を授業として取り入れていることにある。無論、最初は形から入るが、「なぜ、そのように振舞うのか」という作法の原理、意味を理解していくよう指導が繰り返される。習った作法の一つひとつを、生活全般で実行に移すことで、相手に対する礼儀、思いやりの気持ちを6年かけて涵養していくのである。

小笠原流には、「無躾(ぶしつけ)は目にたたぬかは躾とて、目にたつならば、それも不躾」という教えがある。作法を身につけていないことは恥ずかしいが、いかにも作法を勉強しましたという雰囲気を前面に押しだしているようでは、作法としては未熟という意味である。この教えを踏まえ、「T.P.Oに応じた作法を、いかに表現するかは個人の感性であり、その感性を磨くことが、相手に対する思いやりの心に通じる」というのが、礼法を通じて行う心の教育と、川並校長はいう。

高度な礼法課程を修了した生徒には、小笠原流礼法宗家より、礼法許状「花鬘の伝」を、さらに優秀者には「花鬘の正伝」が授与されるが、同校の礼法教育が徹底されていると思わせられるのは、生徒のみならず、教諭全員が職務の合間を縫って、許状取得に挑戦している点である。まさに「師弟同行」の教育実践である。

心は一人では磨けない

「和を以って貴しとなす」という聖徳太子の教えを建学の精神とする同校は、あらゆる意味において、調和のとれた女性の育成を目指す。調和の形を教育方針として具体化したのが、「礼節・知育・勤労」の三本柱である。知育は学習、勤労は体を鍛えることに当たるから、それぞれ一人であっても鍛錬が可能であるが、礼節、すなわち心は人間関係の中でしか学ぶことができない、という考え方からこれまで、寝食をともにしながら、人間関係を深める取り組みを行ってきた。

蓼科高原での3泊4日の合宿がそれである。「兄弟が少なく、近所での付き合いも少なくなっている時代、どこで人間関係を構築し、心を育てるのか」。そもそも学校生活が人間関係構築の場ではないか、という考え方もあるが、その大半は授業で占められているため、たとえ40名が机を並べていても、教室では個々の生徒の真剣勝負の場である。人間関係を育む場としては、むしろふさわしくなく、別の機会を設ける必要がある、というのが聖徳のスタンスである。

日常的には、食育の観点から実施されている「会食」も、人間関係を育む重要な場といえるだろう。「会食」は、同校の全生徒と全教職員が一堂に会してとる昼食のことで、同校では「給食」とは呼ばれない。その違いは、単にお腹を満たすためではなく、ふさわしい話題を選び、仲間と楽しみながら食事をする。あわせて正しいマナーを習得する目的が、「会食」にはあるからだ。礼法実践の場でもあることから、使われる食器はすべて有田焼、ご飯は1テーブルごとに炊き、経済効率や大量提供による食に対する粗雑感を一切排除している。

校長はじめ、教職員が生徒とともに囲む食卓が、礼節をわきまえながらも親しげな雰囲気を醸し出しているのは、年代を超えた人間関係を構築する場として理想的といえる。また、自分の子(孫)と会食をした保護者から「家では食事の際、さんざん好き嫌いをいう子(孫)が、学校ではきれいに残さず食べるのを見て、本当にびっくりしました」という声が届けられたという。最初は形から入る会食も、学年を経るごとにその意味を見出し、食物や作ってくれた人に対する感謝の念が涵養されていくようだ。

今ひとつ、同校の人間教育の特徴として挙げられるのが、「友和班活動」である。6学年を縦割りにした清掃活動のことで、年齢差がある中で、敬い、庇い、協調し合う関係を築かせている。

これら学校生活の中に当たり前のように存在する、昼食、清掃といった活動にも心が成長を遂げられるよう一工夫を凝らすところに、聖徳スピリットが生かされている。

多様化する女子の進路にきめ細かく対応

ここ10年、女子校の進路指導は多様化するニーズに、いかに応えるかという課題を突きつけられてきた。女子校に併設大学がある場合は、旧来志望が多かった文系を中心とした学部編成となっていることが多く、近年の理系、医歯薬系に代表される、女子の新たなニーズに対する進路指導が強く求められてきた。

聖徳にあっても同様で、併設大学が強みを発揮する幼児教育、管理栄養士などの分野へ進学を希望する生徒には、高大連携授業の実施で優遇措置をとる一方、国公立、難関私大への進学指導の充実を図っている。

高大連携授業は聖徳大学への進学を希望する生徒に対し、高2から大学の授業を受講できるようにしたもので、在学中に最大20単位が取得可能となっている。単位を先取りした分、大学進学後は各種資格取得や教養の伸長に時間を有効利用することができるというメリットがある。

多様化する進学ニーズに対しては「広域選択授業」を実施し、少人数(2人の受講者でも開講実績)でも受講できる体制を整えている。最近では建築、造形といった分野への進学希望者に対し、美術の時間を十分に確保し、3教科型受験指導を充実させている。また、音楽科の生徒に対しては、2人の生徒に1人の教員がつく授業も実施されている。

国公立大や難関私大への進学を希望する生徒に対しては、補講は無論、習熟度上位層を対象にしたスーパーゼミや、東大生による学習コーチを起用し、志望校受験をサポートしている。

こうした対策の数々が奏功し、筑波大、千葉大といった国公立大への現役合格をはじめ、東京芸大、早慶、上智、ICU、東京女子医科大、津田塾、MARCHGといった難関私大へも続々と現役合格を出しており、今後に期待がもたれるところである。

 

 
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