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中学・高校受験:学びネット

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京華中学校・高等学校

 
  生徒の成長確認を着実に大学現役合格率93%を達成
今年4月、京華中学校・高等学校の校長に就任した金井康氏は、同校“生え抜き”の校長である。長年にわたって京華の生徒を見つめ、最も効果的な指導法を知りぬいた人だ。レディネス(=教育を受ける心身の準備)を高め、自信を持たせ、コツコツと頑張れる生徒を育て上げる。あわせて、定評ある面倒見の良さも手伝って、今春の大学現役合格率は93%(昨年比19%の伸び)に跳ねている。

校 長: 金井 康(かない こう)
住 所: 〒112-8612 東京都文京区白山5-6-6
電 話: 03-3946-4451
交 通: 都営地下鉄三田線「白山」駅A1出口徒歩3分/東京メトロ南北線「木駒込」駅1番出口徒歩8分/東京メトロ千代田線「千駄木」駅団子坂出口徒歩18分
学生数: 中学校  395名
高等学校 697名 (2007.9.1現在)
ホームページ: http://www.keika.ed.jp/

 

地域に見守られ
大学合格実績も急伸

今年、創立110年周年を迎える京華中学校・高等学校が、現在の文京区白山に学び舎を移したのが80余年前。移転に際しては、かつて学校があった本郷東竹町(現、本郷二丁目)から学校とともに現在の地に移ってきた商店もあったというから珍しい。白山駅から学園に至る道筋は、その名も校名にちなみ「京華通り商店街」。通学する生徒を商店街ぐるみで見守っていると聞けば、今の時代にあって、なんとも微笑ましく、ホッとする話である。

近隣は白山神社、小石川植物園、樋口一葉ゆかりの地として、さらに永井荷風の「断腸亭日乗」にも登場する街として、歴史的、文化的色彩が色濃く残る土地柄である。今春、就任したばかりの金井康校長は「地元商店街の皆様には、ときに生徒を直接叱ってくれる方もおられ、ありがたいこと」と、地域の教育力に感謝する。最近では、苦情だけを学校に寄せるおとなが多い中で、貴重な教育環境といえるだろう。

さて、金井校長は長年、同校の教職にあって、5年間高等学校の教務主任を、その後、7年間、中学校と高等学校の教頭を務めた、いわば生え抜きタイプの校長である。言うまでもなく、京華生のカラーを知り尽くした人で、生徒をどう指導すればより効果的かを見極める目は鋭い。

今春の大学合格実績では国公立、早慶上理、G−MARCHといった難関校で、合格者数を飛躍的に伸ばしている。全体では現役合格率93%という数字をはじき出した。約10年前の現役合格率が50%台であったことからすれば、少子化で大学側の状況に変化が生じていることを考慮しても、京華の実力は確実に向上したといえる。

金井校長にはまず、同校が3年前に導入した「特進」「進学」の2コース制の特徴と、今後目標とするところについて聞いた。

「特進」(2クラス)は国公立大受験に主眼を置き、5教科7科目網羅型のカリキュラム体制をとっているのに対し、「進学」(5クラス)は得意教科をより伸長させるため、難関も含む私大の3科目受験対応型カリキュラムを組んでいるという。さらに、「進学」の5クラス中、「文系選抜クラス」と「理系選抜クラス」をそれぞれ1クラスずつ設置し、難関私大の一般受験での合格に目標を置いている。

ただ、今春の卒業生は、特進コース設置以前のカリキュラムで学んできた。従来の進学コースでも、難関大への合格者を増やしていることから、新カリキュラム導入以降に入学した生徒、つまり今年度の卒業生にさらに期待がもたれるところだ。それぞれのコースの特色を、生徒、保護者によく理解してもらった上で、希望する進路の保証に力を注ぎたい考えだ。

多面的授業と教師の危機感

なぜ、生徒を伸ばせるかについてだが、授業に一工夫あるようだ。京華中学校では学習指導要領で定められた授業時数を標準単位として、それを大きく上回る授業時間を確保している。中学校の3年間でみると、国語で525時間(標準単位350時間)、社会420時間(同295時間)、数学630時間(同315時間)、理科420時間(同290時間)、英語735時間(同315時間)と、主要5教科で1.4倍から実に2.3倍の授業時数を確保していることになる。

この豊富な授業時間を活かし、足場をじっくり固め、基礎力を充実させる授業が、同校の特徴といえる。「京華では基本的に先取り学習を行っていません。その代わり、基礎学力を養成するために多面的な授業を行っているのです」と金井校長。多面的授業を説明するには、京華中学校の生徒像について書く必要がある。

同中学校に入学してくる生徒の入試時点の偏差値は40前後。こうした生徒の学習定着度を上げていくには、一面的な説明、解説だけでは理解の助けにはならない。別の角度からのアプローチ、違った説明の仕方が求められる。そうした工夫を重ねた上で、生徒の理解を待ちながらの授業が実践されているのだ。「自力を蓄えさせる素地づくりに時間をかけます。昨日のその生徒よりも、今日のその生徒が成長しているという確認作業を常に行うのが本校のやり方」と金井校長。無論、クラス全体の理解が早くなれば、当然ながら先取り学習を行っていくこともある。

なるほど、現役合学率93%を確保するには、上位の生徒だけを鍛えていては出せない数字であり、中位、下位の成績の生徒に、いかに目を配っているかの証ではないだろうか。

もうひとつ、今春の大学合格実績向上の要因があるとすれば、それは「教師の危機感」からもたらされたと、金井校長は見ている。例年、1学年230名ほどの卒業生を送り出すが、この年の卒業生は171名。入学時の生徒数の減少は学校にとっては“翳り”である。そこに危機感を抱いた教員集団の意地が、国公立へ19名(うち現役19)、早慶上智、東京理科大24(同18)名、G−MARCHへ61(同41)名、大学全体で560名(同438)という合格者を出したというわけだ。

自信のない生徒をどう育てるか

歴史ある同校にとって、大学の指定校推薦枠の数は学年生徒数を上回っている。だが、金井校長はこれまで生徒に言い続けてきた。「指定校推薦を最初から狙うと、君の実力はその時点でとまってしまう」と。そして、これも京華生のひとつのカラーと金井校長が見ているのが、男子は女子に比べどこか、のんびりしているという点と、「依存体質」の二点である。こうした生徒を、どう育て上げていくかを知るエピソードがある。

昨年の高3生の一人。成績は最下位層で高3の夏を前に「専門学校に行く」か「就職する」と言い出した。だが、本心は違う。大学進学が希望だった。生徒の気持ちを知っている担任が、生徒の成績、特徴をすべて洗い出し、何とか合格できそうな大学を見つけ出し、オープンスクールへの参加を勧めた。最初、諦めきっていた生徒だったが、受験し、合格を手にした。AO入試による8月時点での合格だった。この事実を知ったほかの生徒たちも、年明けの受験に向けて一念発起。少なからず影響を与えたという。

要は、自信をもてない生徒、自分の力を諦めかけている生徒の本心をどこまで教師が察し、励まし、引き上げていく教育ができるかということだ。この点において、京華の真に面倒見の良い指導が、今回の取材を通して伝わってきた。京華で頑張ることの楽しさを知った生徒は、大学進学後も遊ばず、コツコツ努力を続けるという。これが金井校長のいう「学びのレディネスを高める」教育だと納得させられた。

 
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