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中学・高校受験:学びネット

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共栄学園中学校・高等学校

 
  「特進」に選抜クラスを本格導入躍進する実績、来年はさらに期待
国公立、早慶上理への合格者数を増やし、MARCH、学習院など難関私大を含めると、昨年の2倍の実績を確保した共栄学園中学校・高等学校。今春から特進コースに選抜クラスを本格導入し、担当教員を学校側の任命制とするなど、改革・見直しに余念がない。変わり映えがしないといわれる私立の組織改革に着手、中堅校から活力あふれる進学校へと“山が動く前兆”を取材した。

校 長: 倉島 新治郎
住 所: 〒124-0003 東京都葛飾区お花茶屋2-6-1
電 話: 0120-713601
交 通: 京成本線、京成金町線「お花茶屋」駅より徒歩5分
学生数: 中学校  273名
高等学校 960名 (2007.7.1現在)
ホームページ: http://www.kyoei-g.ed.jp/

 

外部の反応に手応え

京成本線「お花茶屋」駅から北へ5分という立地の共栄学園中学校・高等学校は、東京の下町葛飾区で69年目の歴史を刻む。近年、周辺区にはマンションが増え、住みやすい土地柄もあってか、ミドルクラスの流入が目立っている。この時期に魅力的な学校づくりをアピールできれば、確実に受験者数増に結びつくことは間違いない。

これまでも6年前からの共学化、校舎の新築、制服のモデルチェンジなど、さまざまな改革に挑戦してきたが、それらが奏功し、今春の大学合格実績は飛躍的に伸びている。国公立へ15、早慶上理へ15、明治、青山、立教、中央、法政、学習院、それに関西では関関同立といった私立難関への合格者数は合わせて約40名、昨年のおよそ2倍にも伸びている。
さらに、ここ1〜2年をかけてソフト面での新たな改革に挑戦し、進学校としての地位を確立するため、人事面、カリキュラム面などの見直しも進められている。道路に面した校舎壁面には合格実績をパネルで掲示しているが、道行く人の中には立ち止まって見る人も少なくない。スポーツクラブの全国レベルでの成績をたたえる垂れ幕には、慣れている地域の人々にも、少しずつ共栄学園の進学校としての新たなイメージが浸透している。

そうした中で、杉山晴彦広報部長は「今年初めて、中学校入試では100名を超える入学者を確保しました。しかも入学者の学力も向上傾向」と話す。学校や学習塾に説明のため出向く教員によると「面談者の感触もこれまでとは変わってきている」と、まさに山が動く前兆を感じ取っているようだ。

特進コース改革

今春から、これまで高校の特進コースに段階的に取り入れてきた「選抜クラス」の本格導入に踏み切った。高校1年次に中高一貫コースと高等学校からの入学組の全員を対象にクラス分けテストを行い、選抜された30〜40名で1クラスを作るというもの。以前から内部進学生やその保護者からも「外の風に当たってきた人と競争したい」という積極的な要望の声があった。

いわゆる外部生には「都立日比谷、筑波といった難関高校を受験した生徒もいますが、そうした生徒は塾で鍛えられているので、適切な補助さえあれば1学期中に内部生に追いつく生徒も多いのです」と話すのは、進路指導部長の山口順代教諭。過年度においても内部、外部といった枠を徐々に取り払い、ともに切磋琢磨する学習環境をつくりあげてきた同校だが、このことが大学合格実績の伸びに直結したといえる。また、山口教諭は「選抜クラスの効果は思った以上で、今年の3年生の平均的な成績は昨年を上回り、大いに期待が持てます」とも。

特進コースの大きな改革の柱として、昨年から実施されたのが教科担当の任命制度である。それまで、どの教員がどのコース、クラスを担当するかは教科担当者間で決められてきた。これを学校側が任命することで、教員チームのベクトル強化を図るねらいがある。伊藤裕高等学校教頭によると、「教科を超え、横の連絡が密であってこそ、総合的な学習効果をあげることができる。活力と協調性ある若手を中心に任命したが、一層、強い責任感を発揮してもらっている」という。

一般に、教員は自分が受け持つ教科において、進度や課題提出など思いのままに進め、生徒はそのすべてを受容せざるを得ない状況がある。例えば、何教科かの課題提出が同じ日に集中するかと思えば、比較的余裕を持てる週もある。課題が集中すれば、根気強く入念に取り組めないこともあるだろう。それでは学習効果が減退する。そうした点ひとつをとっても教員チームの横の連携は今後、問われてくるだろう。

任命制は中高一貫コースにも同時に導入され、あわせて同コースでは6年間を2年ごとのカテゴリーに分け、より効率的な教科指導を行っていく。中2終了時点で前期中等教育のカリキュラムを終了するため、同校では中3生に一足早く「高校生」という意識付けを行っていくという。高2の夏以降の生徒は「受験生」と呼ぶなど、学習面だけでなく、意識のうえでも先取りを行っている。

6年間特待制度と内部組織改革

教育的配慮にかける言葉だが、いわゆる「勝ち組」という言葉があることは、日本社会の現実である。一定以上の年収を得る保護者の子どもが、上位レベルの大学に多いともいわれている。こうした現実を前に同校が導入を決定したのが、6年、4年、2年の特待制度である。伊藤教頭は「例えば、母子家庭で医者になりたい夢を抱いている子どもがいるとすれば、そうした子どもの受け皿を用意するのも私立としての責務」と特待制度の意義を説く。制度の具体的内容は今後詳細を検討の結果、来年度入試までに公表の予定。来年の中学校入試では、2月1〜2日の午後入試日程を設置。募集を開始する一貫特進コースだけの入試と位置づけ、その中で「特待入試」を実施するという。それにしても6年間の特待を認定した段階で、学校側に大きな責任が課せられることは言うまでもなく、制度実施への強い覚悟が見て取れる。

さまざまな見直しや改革を続ける同校だが、伊藤教頭はもっとも困難で、また、それだけに実施する意味の大きい改革として、内部組織改革をあげる。つまりは人事面、教員の意識改革であるが、一般に教員全体のコンセンサスがとりにくく、成功を収める学校は少ない。

「制服のモデルチェンジや校舎の新築、カリキュラムの見直しといったものは、目に見え、比較的行いやすい改革だが、一番難しいのは教員の言動を変えていくこと。これが変わらない限り、学校の中味は決して変わらない」と伊藤教頭。目に見えない改革こそが重要で困難であるだけに、共栄の今後に注目が集まるだろう。

同校の教員はこれまでも非常に熱心。教材研究で、深夜11時ごろまで残っている教員も珍しくなく、そのモチベーションは高い。だが、伊藤教頭の見方は異なる。「遅くまで熱心に仕事をすることは尊いが、ここは学校であって、企業ではない。行き届いた指導を行うためには自分自身の健康管理に対する意識も重要。遅くとも8時ごろまでに仕事を済ませ、翌日に備えなければ」とあえて苦言を呈する。

教員が疲れた様子であれば、生徒は敏感に反応するものだ、教員自身も授業以外の生活指導やクラス運営といった場面で力を発揮し難いこともあるだろう。山口教諭は「名物教師は要りません。教員全体としてのスタンダードを上げていくことが重要。それ以上に推進力のある教員はさらに力をつけていただく」と、研修制度の一層の充実を断言する。

実にさまざまな改革を着実に実行に移してきた同校だが、進学校への挑戦は今後も続く。山は動くか、今後が楽しみである。

 
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