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中学・高校受験:学びネット

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東星学園中学校・高等学校

 
  2008年度から共学化刺激し合える学校づくりへ
東星学園中学校・高等学校はカトリック系のミッションスクールとして、女子の全人教育の道を歩んできたが、来春より一層幅広い教育を目指し、共学化に踏み切る。刺激し合い、挑戦できる学校へと生まれ変わる分岐点となるか、その過渡期を見守りたい。すでに対男子生徒への教員の指導研修や施設面の改修は完了し、関係者への周知に力を注ぐ。新たに上智大のAO入試枠も得て、進学メリットにも期待される。

校 長: 加勇田 修士
住 所: 〒204-0024 東京都清瀬市梅園3-14-47
電 話: 042-493-3201
交 通: 西武池袋線「秋津」駅南口より徒歩10分・JR武蔵野線「新秋津」駅より徒歩15分
学生数: 中学校  103名
高等学校 86名 (2007.7.1現在)
ホームページ: http://www.tosei.ed.jp

 

宗教教育が現代に持つ意味

西武池袋線「秋津」駅から住宅街を抜けると、行く手に空堀川が流れる。澄んだ水に大きな鯉が悠々と泳ぐ様には驚かされるが、東星学園周辺の緑あふれる一角も、まるでそこだけが別世界のような空間をつくり出していて、落ち着いた学び舎の印象を受ける。

同中学校・高等学校はカトリック系のミッションスクールとして、40余年の歴史を刻んできたが、併設小学校、幼稚園の設立はさらにその約30年前にさかのぼる。創立者であるフランス人宣教師、ヨゼフ・フロジャク神父が、学校教育に踏み出すもととなったのは、東京中野に建設した、結核患者の子どものための施設“ナザレトの家”であった。世の人々に対する福祉の志は時代を超えて現在に受け継がれ、病院、老人ホームといった施設運営も手がけている。

こうした奉仕の心が建学の精神となっていることは言うまでもなく、加勇田(かゆた)修士校長の言葉を借りれば、「神様への感謝と愛のうちに生きる誠実な心を養い、自分に与えられた使命の実現に向け、努力する人の育成」ということになる。無論、その精神は共学化をスタートさせることで、いささかも変わることはないが、一層わかりやすく具体的にその方針を示しているのが、4つの教育目標である。

その第一に挙げられるのが「誠実な人」。神様からいただいた命に対し、感謝と愛の心を持ち、何事にも誠実に生きる人を育むということだという。二番目は「努力する人」で、共同体の中で自分の果たすべき責任を自覚し、実現のために心を育て、知性を磨く。そして、三番目にくるのが「自立した人」。自分の立場を理解し、正しい判断力や正義を愛する心を身につけ、状況に流されず行動できる人の育成である。学園では特に自分自身の考えをどのように人に伝えるかという、構成的グループエンカウンターのエクササイズを通して、コミュニケーション能力向上のための取り組みが盛んだ。四番目には「奉仕の精神を持つ人」が挙げられ、人の尊さを知り、思いやりを持って、世界中の人と連帯して働く熱い心を培っていくことを目指している。

加勇田校長は「ミッションスクールの考え方では『人に仕える生き方』と『人を利用する生き方』のどちらかしか存在しません。人はいつもどちらかの側に立っているのです」という。どちらに立つべきかは言うまでもないが、それが揺らいでいるのが現代社会である。「本当は、人に仕える生き方を親も望んでいるはず。しかし、今の世の中では、親の力だけではそうした教育が難しくなっているのです。現代こそ教育に宗教的バックボーンが求められていると思います」という加勇田校長の言葉には説得力がある。

共学化へ準備着々

中高一貫校に共学化の波が押し寄せた時、それまで男子校だった学校の反応は比較的早かったのに対し、長年、女子校として歩んできた学校にとっては、男子解禁とするのに相当のエネルギーが必要であるように思われた。特に、キリスト教主義に基づく女子教育を行う学校では、一般に清楚、穏やかといったイメージが深く浸透しており、共学化によりイメージが変わることへの危惧があることも事実だ。

そこに敢えて挑戦する同校には、学校を活性化したいという目標はもちろんだが、互いに刺激し合い、興味、関心の幅を広げてほしいという教育的ねらいが優先していることも確かである。「事なかれ主義ではなく、神様から与えられた力を人のために使う教育」は、対生徒の目標だけでなく、新たな学校運営への挑戦でもある。

教員はすでに男子生徒に対する指導研修を積んでおり、共学化の後も継続していく方針だ。「今後は、厳しさと優しさの両面を発揮できる教師が求められます。受容と共感を持って生徒指導に当たれるよう研修を行っています」と加勇田校長。

叱る必要のある時には反発心をあおることなく、心に通じる叱り方をするというのは鉄則だ。教員らが受ける研修では「私(、)メッセージ」で言い聞かせることを訓練しているという。「あなた」を主語に据えた叱り方は、「あなたは校則に背いて…」「あなたがしたことは…」と批判一辺倒になりがちだが、「私」を主語に置くと「私はあなたが大切だから言います」「私はあなたが理解してくれなくて悲しい」というように、決して妥協せず、迎合せず、気持ちを伝えることができ、効果的というわけだ。

施設面ではトイレや自転車置き場の改修が完了しているが、今後、共学化により、部活動の形も変わってくることから、グランドの整備、将来的には第2体育館の建設なども視野に入れている。体育館建設の際には、付加価値の高いカフェテリアを併設することも構想中という。

上智大に優先AO枠

進学状況は、「これまで上智、白百合、清泉といったカトリック系の大学に負ぶさっていたところがある」と加勇田校長は本音を漏らす。これらの大学に指定校推薦枠を有していたことから、一般受験をする生徒が少なく、いわば”ぬるま湯“状態であったことは加勇田校長自ら認めるところだ。

進路保障は待っていてやってくるものでなく、かなり意識的につくり出していかなければならないが、これに正面から取り組むという覚悟が共学化に結びついた。男子が加わることで理系、スポーツ系を生かした進学も増え、学校全体の刺激になることを期待しているのだ。さまざまな受験に対応すべく、また、進路選択の意欲を高めるため2年前からカリキュラムを徐々に変えてきた。具体的にはキャリア教育を充実させ、中1段階から「キャリアカルテ」を作成する。中3で適職診断を実施し、職業意識を芽生えさせる。高1では適学診断を行うなど、全学年を通じてフィールド実習をふんだんに取り入れている。

また、今年から上智大がカトリックミッションスクールだけを対象に、AO入試を始めることも進路保障に明るい要素となっている。評定平均4.0以上の生徒に対し、すべての学科に同制度を5%の枠で設けるという。これまでの指定校推薦枠を堅持した上でのことで、注目に値する。

来春、濃紺の詰襟の制服を身に着けた男子生徒が入学してくる。その生徒たちが中高一貫を終える6年後、新たなイメージが加わった東星学園に出会えることを期待しながら取材を終えた。

 
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