大学合格率が年々アップ
小松原高等学校は、男子校として普通科・機械化・情報技術科・自動車科と4つの学科があり、幅広く生徒たちの進路に対応している学校である。
今春より普通科は、「進学選抜」・「進学」・「総合コース」の3つのコースを設定し、各々充実した指導を行っている。「進学選抜コース」は、国公立大学や難関私立大学合格を目指すコース。「進学コース」は、有名私立大学や中堅私立大学合格を目指すもので、どちらも7限や土曜日の授業、夏期講習、代々木ゼミナールとの提携による通信衛星授業「サテライン授業」(進学コースは希望制)など特別なカリキュラムが組まれている。
「サテライン授業は、非常にわかりやすいと好評です。しかし一方通行なので、7限目は、主にサテライン授業のフォローにあて、学習が深まるよう指導しています」と鳥井完教務部長は話す。進学には、68大学・204名もある指定校推薦枠が用意されているが、その他の国立大学への進学も合わせ年々合格実績は上がっている。
きめ細かい指導で大きく伸ばす
「入学してくる生徒たちは、決して偏差値が高い子ではないんです。なかには、不登校で勉強していなかったり、勉強は苦手だとか、できないというコンプレックスを持っている子も多い。しかし、それは要領が悪かったり、時間がかかるだけで、偏差値に押しつぶされていただけなんです」。
同校では、成績表は定期テストの点数だけで評価せず、日頃の努力も成績に入れる。コンプレックスを排除して自信を持たせ、きめ細かく指導していくことで、成績が伸び、特に理科、数学は驚くほど伸びるという。なかには、入学後めきめきと頭角を現し、東京大学大学院で博士号を取得した生徒もいる。一昨年のトップの成績の生徒も中学時代は、不登校だった。
「毎年中学のときに不登校だった生徒が入学してきますね。今年も5月に保護者と懇談を行ったのですが、ある生徒のお母さんが、『1週間もたないと思っていたのに、楽しそうに休まず通学しています』と喜んでおられました。子どもたちはちょっとしたきっかけで大きく変わります。あの子が!、と中学のときの先生がその成長ぶりに一番驚かれますね」
と鳥井教務部長は語る。
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なお、「総合コース」は、教養を身につけながら、興味や関心のある分野をのばしていくコース。2年次からの幅広い5つのパッケージ(科目選択群)が魅力だ。パソコンでの情報教育を行う「情報」、社会福祉の基礎など実務教育を行う「ライフワーク」、英語検定・危険物取り扱い資格など各種資格取得を目指す「ライセンス」、音楽・書道・美術の専門教育を行う「美術」、スポーツリーダーの育成を目指す「スポーツ」。1年次には共通のカリキュラムで授業を受けながら、2年次で5時間、3年次で12時間を割き、進路を模索できる。
専門性が高く、就職決定率100%の工業系学科
3つの工業系学科「機会科」・「情報技術科」・「自動車科」は、独自のカリキュラムで、実習教育を中心に指導が行われる。IT技術者の育成を目指す「情報技術科」や、県内では2校しかない、自動車整備士を目指す「自動車科」は人気だ。「機械科」は、自動精密機械を扱うとともに、コンピューター製図(CAD)、ロボットの組み立てなども学習し、機会技術者を育成する。卒業後は、さらに技術や知識を得るために大学や専門学校へ進学する生徒も年々増えてはいるが、充実した設備の中で高い技術指導が行われるため、即実践力として活用できると社会からの要望も多く、就職決定率は100%である。
全国で活躍する部活動
バトミントン部、自転車競技部、馬術部、自動車部をはじめとするクラブは、全国大会で優秀な成績をおさめている。
「自転車競技部は、高校から始めてもコツコツ休まず練習すれば、自ずと筋力がつき、強くなっていきます。全国高等学校選抜大会で準優勝しましたが、それは、まじめに毎日練習した成果。僕は何をやってもダメ、だと思っていた生徒がクラブで活躍し、自信をつけることもよくあるんですよ」と小松原校長は微笑む。
また、自動車部は、自動車科ばかりでなく普通科の生徒もおり、手作りの自動車で「ホンダ・エコノパワー燃費競技全国大会」の優勝に輝いた。この競技は、1リットルのガソリンで走った距離を競うもの。大学や成人も参加するなか、見事優勝した。
「生徒たちは自動車を作るのにも、走る技術を考えるのにも、教師たちの言うことをきちんと聞いて、まじめにやるんです。純粋で、ものすごく素直。そしてコツコツがんばるタイプが多いです。だからこそ努力した分、成果となって表れるように指導していきたい」と小松原校長は熱く語る。
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