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中学・高校受験:学びネット

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富士見丘中学校・高等学校

 
  女子単学の中等教育学校 今春開校に向け準備着々
80余年の歴史を刻む富士見丘中学校・高等学校は女子教育のノウハウに新たな教育プログラムを加味し、今春、女子のための中等教育学校を開校(予定)させる。世界的視野に立った自己を実現できる女性の育成を教育目標に掲げ、実現に向けカリキュラムづくりが進行中だ。広大な校地移転先では新校舎建設も大詰めを迎え、横浜発、女子のための中等教育学校の取り組みに関心が寄せられている。(4月1日、横浜富士見丘学園中等教育学校へ改称)

校 長: 豊岡 稔
住 所: (現)〒220-0062 横浜市西区東久保町27-20
(新)〒241-0814 横浜市旭区中沢1-24-1
電 話: 045-231-0131〜2
交 通: (現)相鉄線「天王町」「西横浜」駅から徒歩8分・JR横須賀線「保土ヶ谷」駅から徒歩12分
(新)相鉄線「二俣川」駅北口より徒歩12分
学生数: 中学校  251名
高等学校 291名 (2007.1.1現在)
ホームページ: http://www.fujimigaoka.ed.jp/

 

3つのステージを節目無く

横浜市西区の閑静な住宅街で、女子教育ひと筋に歩んできた富士見丘中学校・高等学校が、創立から83年目にしてドラスティックに変わろうとしている。中等教育の一層の多様化に伴い、全国各地で中等教育学校の開校が相次いでいるが、同校は全国的にも珍しい私学女子校の中等教育学校として新たな校史を刻むことになる。校名も4月より横浜富士見丘学園中等教育学校と改称、同市旭区に移転し、これまでの3倍の校地に新校舎を建設中、間もなく完成する。

一般に、中等教育学校とは義務教育課程を前期とし、その後の3年間を後期課程として6年間の中等教育期を総合的かつ弾力的なカリキュラムにより学ばせようとするもの。いわゆる中高一貫校は、中学校と高等学校において、それぞれ独立した教育課程が学習指導要領により規定されているのに対し、中等教育学校は教育課程の実施上、より柔軟性を持たせられるというメリットがある。

こうしたメリットを最大限に生かし、新生、横浜富士見丘学園中等教育学校が目指す教育とは、「敬愛、誠実、自主の精神を重んじた人格形成」、「広い視野に立ったキャリアデザインの推進」、そして「高い学力と教養を基盤に自立した女性の育成」からなる。これらの教育目標を実現するためのカリキュラムが2年ごとに効率よく組まれ、6年間を通して同校教育内容の特色をなしている。

First stage(Junior1〜2)

生徒は全員がJRC(青少年赤十字センター)に加盟登録し、同センターとタイアップしながら高齢者・障害者を理解する研修を受け、老人ホームを訪問するなど奉仕の精神をこれまで学んできたが、今後もこの活動を通して、地域社会に貢献できるコミュニケーション能力を磨いて行く。また、礼法教育を授業に取り入れ、人との接し方の態度を学び、和の文化にも触れる機会を持つ。各教科の学習は1年次が34単位、2年次35単位で、学習習慣を確立させ基礎学力を充実させていく。

Second stage(Junior3〜Senior1)

このステージでの取り組みが最も特徴的。進路ガイダンスが始まり、大学研究をつぶさに行っていく。すべての生徒がセンター試験(5教科7科目型)を受験できるように学習体制を整える。5年次からは国立文系、私立文系、国立理系、私立理系の4系統に分かれるが、それまでは全教科をバランスよくじっくり学ぶ。先取り学習のみにこだわらず、重要単元は再復習を行うなど柔軟に対応する。同時にキャリアデザインには特段、力を注いでいく。将来の進路についての研修や面接相談を行う1泊2日の進路ガイダンスの実施、また
First stageで培った地域社会での交流から視野を海外に転じるためのドイツ研修を準備している。ホームステイしながら現地校で英語の授業に参加。ドイツ語も事前学習を実施し、第二次世界大戦時の強制収容所の一つを訪問、また、東西ドイツ統一の象徴であるベルリンの壁などを巡り、戦争と平和の意義を考える。併せてその土地の人に適った接し方を考えることで、1年次より身につけてきた礼法を応用展開する。

Third stage(senior2〜3)

最終ステージでは受験に向け、進路説明会・講演会が頻度を増して行われる。進路講演会では卒業生など生徒の年代に近い講演者から話を聞き、活きた情報を獲得させる。進学実績では近年、早・慶・上智、MARCHをはじめとする中堅〜上位校へ合格者を出しているが、新体制のもと、国公立や医歯薬学系への進路指導も充実させる考え。First stageより積み上げてきた礼法教育は、進学などの面接対策へと形を変えて行われる。

改革と新しい教育の同時進行

女子校の人気が低迷を続ける中、同校に対する問い合わせ件数は従来の約2倍にのぼり、地元での反応は徐々に高まっているようだ。3年前に就任した豊岡稔校長は“改革の人”で、本校でも次の時代に向けての新生に奔走してきた。

改革の第一歩は生徒、保護者の声に耳を傾けることといわれるが、同校も例外ではなかった。ある時、生徒の「先生諭の説明がわかりづらい」という声に、保護者から授業改善の要求が校長に伝えられた。豊岡校長は早速、教科主任とともに授業を参観し、改善点を見つけ出し当該教員に伝えた。わかる授業のためには当然の措置のように思えるが、実際に管理職の参観が行われる学校は決して多くはない。だが、こうした姿勢が着実に受験者数に反映することは確かで、同校でも数年前に比べ、受験者数は伸びてきている。

現時点での改善を進めながら、同時に新しい教育の形を提案することは豊岡校長の“時代の読み”によるところが大きかった。「これからの時代、社会で女性を必要とする分野が大幅に増えることは明らかで、人材の質的、量的確保が重要視されてきます。そうしたニーズに応えながら新しい時代の『女性の自立』を目指して、教育理念を再構築する必要がありました」と。女性の生き方に対する提案と社会的ニーズに即応できる教育の実現に、中等教育学校という仕組みを選択したわけだ。

選択は一気に開校に向けた歩みを加速させていった。中等教育学校は文科省および各都道府県教委によって、設立の要件が細かく規定されているが、これを満たすため新たな移転先での新校舎建設は不可欠となった。同じ創るならと、校舎は前期棟、後期棟と呼ばれる教室棟は木のぬくもりを感じさせる設計で、LAN環境を整えた図書室・マザーホール、最新の音響設備を備え、1,000名を収容できるアンジェラホール、利便性に富む洒落たリリベットカフェなど設備面でこだわりを表現している。

募集定員は初年度120名でスタートし、最終的には1学年160名まで増やす予定。その人数が「生徒の名前と顔を覚えられる限界」と豊岡校長。一人ひとりをきめ細かく見つめる教育を目指す考えである。なお、高等学校の募集は次回入試が最終募集となり、2008年度より中等教育学校入学生のみの募集となる。

余談になるが中等教育学校は中学校の卒業式、高等学校の入学式といった節目はなく、後期課程(高等学校課程)に進む際、入学金は不要である。同校入試広報部長の駒嵜健教諭は「経営的にはデメリットの面もありますが、保護者の方からすればメリットでしょうか」と。横浜発の新しい女子教育に関心を持つ保護者には、この点も一考の価値あり、ではないだろうか。

 
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